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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

教育の充実 貧困脱出のカギ
<バングラデシュ>


 ここはバングラデシュの首都、ダッカ市内にあるニューマーケット。魚、肉、野菜、米、お茶などがずらりと並ぶ大きな市場です。買い物をしていると大きなかごを持った子どもたちが寄って来ます。「ぼくを使ってくれない?」。彼らは買い物客の荷物をかごに載せて運ぶポーターです。1回に30−90円というわずかばかりのチップが彼らの収入なのです。

サラウティンもその一人。まだあどけない笑顔と小柄な体のために9歳という年齢よりもずい分幼く見えます。働いて家の借金を返すため、サラウティンはお父さんとお兄さんと一緒に故郷からダッカへやって来ました。お母さん、妹とは離ればなれです。ニューマーケットで働く子どもたちの多くがそうであるように、サラウティンもお兄さんも学校へ行くことができません。「本当は勉強させてやりたい。でも仕方がないんです」とお父さんがつらそうに話してくれました。

バングラデシュの初等教育の純就学率は男子が66%、女子が58%ですが、第5学年まで残っているのは47%。バングラデシュでは少なくとも1800万人の子どもたちが教育を受けられないでいるといいます。働かなければならないために学校へ行く時間がなかったり、仕事で疲れきって学校へ行く元気がなかったりと、児童労働は就学を妨げる大きな理由のひとつです。ユニセフはこのような子どもたちも働きながら通えるような学校やカリキュラム作りを支援しています。このような学校では仕事をしながらも勉強を続けられるようなさまざまな工夫がなされています。

ユニセフが支援しているUCEPという学校を訪れました。UCEPでは一日に3回のシフトがあり、子どもたちは自分たちの仕事のスケジュールに合わせて授業を受けることができます。先生はその地域の出身者から選ばれ、念入りなトレーニングを受け、働く子どもたちの興味や必要に根差した授業も行います。また今後もっと条件のよい仕事に就けるように自動車修理、紡績などの職業訓練を行う部門もあり、UCEPの卒業生を採用したいと希望する雇用主は多いとのこと。「学校にいる時が一番楽しい!」と子どもたちは目をきらきらさせていました。

教育を受けられないことが貧困を生み、貧困が児童労働を招き、児童労働が教育を妨げます。この悪循環を断ち切るためにはすべての子どもが学校へ通えるようにすることが必要です。サラウティンが学ぶ楽しさを知り、その大きな瞳をいっそう明るく輝かせる日が一日も早く来ることを願いつつダッカを後にしました。

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