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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

中央アフリカ共和国:
銃弾の標的となる子どもたち
ユニセフが支援する小児病院

【2014年1月13日 バンギ発】

©UNICEF Central African Republic/2014/Flynn
母親と一緒にベットで眠る幼い子ども。(首都バンギにあるユニセフが支援する小児病院にて)

武力衝突で治安が著しく悪化している中央アフリカ共和国の首都バンギでは、子どもたちの命が危険にさらされ続けています。ユニセフはこの暴力の最も幼い被害者である子どもたちを保護し、医療面の支援を続けています。首都バンギ入りしたユニセフのケント・ページ広報官が報告します。

* * *

11日の早朝、私は中央アフリカ共和国で活動するユニセフの緊急支援チームの一員として、バンギに到着しました。飛行機がバンギ空港のターミナルに到着したとき、私たちの目に入ってきたものは、空港の敷地内に広がる、広大な簡易式キャンプの光景でした。そこでは、戦闘を逃れるために空港に避難してきた10万人の人々が、間に合わせのもので精一杯の生活をしていました。

数時間後、私たちは、中央アフリカ共和国に唯一ある小児病院を訪れました。

昨年の暮れ、11歳の小さな少年ブルノくんは、家を襲撃してきた男によって撃たれました。ブルノくんの父親を見つけることができなっかった男は、ブルノくんを銃で撃ったのです。ブルノくんの頭蓋骨を撮影したレントゲン写真には、頭の左側に撃ち込まれた弾丸がはっきりと写っています。

弾丸はユニセフが支援するこの小児病院の医師によって取り除かれ、ブルノくんの頭の傷は今、白い包帯でぴったりとまかれています。

この勇気ある少年の状態は回復に向かっているものの、母親は心配でなりません。なぜなら、ブルノくんの身体の片側はわずかに麻痺していて、彼は右手でレントゲン写真を持ち上げることができないのです。

©UNICEF Central African Republic/2014/Page
頭に銃弾を受け治療された男の子のレントゲン写真

この病院には、最近起きた戦闘によって傷を負い、治療を受けている子どもたちが数名おり、ブルノくんはそのなかの一人です、とカナゴ医師は説明します。隣の病室には、腕に厚い包帯を巻かれた3歳の男の子がいます。彼は報復銃撃のさなか腕を撃たれました。そしてその隣の部屋には、脚を撃たれた14歳の男の子がおり、傷は順調に回復に向かっています。

さらに衝撃的だったことは、ブルノくんのような子どもたちの多くは、故意に銃撃の標的にされたという事実です。この病院には、他にも流れ弾によって傷を負った子どもたちも治療を受けています。

ユニセフの小児病院の支援には、保健キットや栄養補助食の配給、緊急時の保健ケアの支援などが含まれています。またユニセフは栄養センターの拡大のための資金も支援しています。栄養センターの拡大は、重要です。なぜなら、戦闘が発生すると、より多くの子どもたちが銃弾や手榴弾、大型の刃物によって傷つけられるだけでなく、戦闘が長引くにつれ、子どもたちの栄養状態も悪化の一途をたどるからです。

治安悪化のため、過去3週間病院に寝泊まりしているカナゴ医師によると、重度の栄養不良に陥り治療を受けている子どもの症例数はこれまでの3倍になっています。現在この病院では、ユニセフや他のNGOの支援を受け、重度の栄養不良に陥った子ども125人が、命を守るための栄養治療を受けています。

私が到着する前夜、バンギでは、少なくとも3人が殺害され、その他大勢の人々が負傷しました。そして、ユニセフの職員一人の家を含む多くの家屋は、略奪の被害を受けました。治安の悪化と止まらない武力衝突は、家族を住んでいた家から避難させ、首都バンギの経済活動を阻んでいます。

ユニセフが支援する小児病院では、負傷や栄養不良で治療を受けている子どもたちの治療を無償で行っています。

※記事内の子どもの名前は仮名です。

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