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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

中央アフリカ共和国:
危険と常に隣り合わせの子どもたち
−子どもの保護専門官による報告−

【2014年4月9日 中央アフリカ共和国発】

ユニセフ・中央アフリカ事務所
小川亮子・子どもの保護専門官による報告

武装集団の攻撃に備えて家具などで壁を築いている。
© UNICEF/CAR/2014
イスラム教徒が身を寄せる避難所。武装集団の攻撃に備えて家具などで壁を築いている。

現在62万人を超える国内避難民のうち、20万人が首都バンギで避難生活をおくっているとされています。ユニセフは、刻刻と移り変わる状況を把握し、支援状況と問題点や改善点を探るため、各セクションでモニタリングチームを形成し、国内避難民が身を寄せる避難所のモニタリングを行っています。私はこのチームに、子どもの保護セクションから参加させていただきました。

これまでに15カ所ほどモニタリングをして、避難所ごとに状況は様々ではあるものの、全般の印象として強く感じることは、生活環境の劣悪さです。水はけがよくないため、頻繁に起こる強風を伴う大雨で多くの避難所は至る所で洪水状態となり、水がひいたあとも水たまりが残ることで、衛生状態はさらに悪化し、マラリアなどの危険性も高まります。住居は防水シートをありあわせの木や藁などと組み合わせる場合が多く、風、雨、暑さへの耐性はなく、これから始まる雨季にはさらに状況は困難となります。プラスチック製の大型テントに居住している場合でも、限られたスペースに多くの人が雑魚寝をする状態で、プライバシーは一切ありません。

■常に安全を脅かされる生活

また、治安は常に避難民の生活を脅かしています。イスラム教徒が避難するPK12、PK5という地域の避難所では、キリスト教系のアンチ・バラカという武装集団がイスラム教徒を標的として頻繁に攻撃をしています。先週3月29日にも、PK12の避難所で攻撃があり、子ども、女性を含む避難民が銃で撃たれる、斧などで切りつけられるという残忍な攻撃の犠牲となりました。イスラム教徒の避難民は、安全を求めて北方のチャドなどへ避難することを切望していますが、移動の安全が確保できず、バンギにとどまっている状況です。キリスト教徒が多く集まる避難所でも、イスラム教系の旧セレカの攻撃への恐怖、強盗、性犯罪を含む一般犯罪の増加、武装集団による子どもへの影響など、避難民は常に安全を脅かされながら生活しています。

かつてイスラム教徒が多く居住していた地域
© UNICEF/CAR/2014
イスラム教徒が多く居住していた地域。略奪にあい、建物も破壊されている。
授業をうける子どもたち
© UNICEF/CAR/2014
授業をうける子どもたち。
笑顔を見せる子どもたち
© UNICEF/CAR/2014
笑顔を見せる子どもたち。

■長引く避難生活と雨季の到来で、高まる支援の必要性

小川 亮子・子どもの保護専門官
© UNICEF/CAR/2014
国連ボランティアとしてユニセフ・中央アフリカ事務所に赴任している小川 亮子・子どもの保護専門官

このような状況のなか、ユニセフは飲料水の確保、トイレの設置、予防接種、乳幼児の栄養改善、学校の設置、子どもの保護をパートナー団体と実施しています。私が所属する子どもの保護セクションは、国内避難民が身を寄せる避難所で「子どもにやさしい空間」や子どもの権利の侵害に関する聞き取り所を設置しています。また武装集団に徴用された子どもの認定や引き離し、保護、武装集団との対話を通じた子ども兵士の予防などを行っています。多くの子どもが家族を殺されるなど悲惨な暴力を目にしたり、厳しい避難生活で精神的に追いやられ、避難生活においても性的暴力を含むあらゆる暴力の危険に晒されています。長引く避難生活とこれから来る雨季に対して、支援の必要性は増すばかりです。

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