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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

コンゴ民主共和国:記憶から紙へ
(子どもたちにつきまとう暴力の記憶の苦しみを、絵を通じて和らげる)

【2013年1月11日 コンゴ民主共和国発】

© UNICEF video
「子どもに優しい空間は、混乱にさらされている中で、日常の感覚を取り戻せるように支援することを目的にしています。最悪な状況を目にしてきた子どもたちのために、安心して遊べる場所を確保し、心理社会的な支援を行うことを目指しています」ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所のバーバラ・ベンタイン代表はこう話しました

ジョルズ君は、お絵かきのクラスに参加しています。このクラスは、ユニセフのパートナー団体「AVSI」が運営し、数千人が避難生活を送っているコンゴ民主共和国北キブ州のムグンガ第3避難民キャンプに設置されている「子どもに優しい空間」で実施されています。

「今までの体験を思い出しちゃって、なかなか眠れないんだ」 鉛筆で下書きした絵に色をつけながら、ジョルズ君は、語ってくれました。「見たことを紙に描いて、頭の中からそういうのを追い出しているんだよ」

つきまとう暴力の記憶

2012年4月から、反政府武装勢力3月23日運動(M23)とコンゴ民主共和国国軍(FARDC)の戦闘の影響で、人々は住む場所を追われ、北キブ州の州都ゴマ市内とその周辺地域の避難場所に避難を余儀なくされました。多くの子どもたちがこの紛争を体験しています。全ての子どもが目にした暴力の様子を話せるわけではありません。

サム君(12歳)の家族は、紛争から逃れるため、昨年の7月、ルガリからカンヤルチンヤ避難民キャンプに避難しました。しかし、11月、そこで戦闘が勃発したため再び避難を余儀なくされ、サム君と両親は、ムグンガにやってきたのです。

「森の中からこの男が出てきたんだ」サム君は、描いた絵を説明してこう話します。「この男は制服を着ていて、銃を撃ちながら僕たちを追ってきたんだ」サム君は、続けます。

「この女性が連れて行かれて、刺されたんだよ」

苦しみを和らげる場所

ユニセフは、パートナーと共に、ゴマ周辺に設置されている避難民キャンプに避難を強いられているできるだけ多くの子どもたちに手を差し伸べるため、7つの移動可能な「子どもに優しい空間」を設置。こうした移動式と常設の施設を合わせて、平均で、1日に男の子2500人と、女の子3,000人が、「子どもに優しい空間」による支援を受けています。

お絵かきの時間に、子どもたちは最近体験したことを描くように勧められ、それがプレッシャーや苦しみを和らげる一助となっています。絵を通して、多くの女の子が、親しい友人や近隣の人々が家事を手伝っているときに襲われ、レイプされたことを描写しています。

ゴマ北部ルツル出身のアンナさん(15歳)は、親友が薪を集めに森に行った時のことを描いています。「帰る途中に、制服姿の男に会いました。その男は銃を撃ち、彼女はおびえて、薪を捨てて逃げました」「男は彼女を捕まえて服を脱がせ、連れて行ってしまいました」アンナさんはその時のことをこう話しました。

暴力から子どもを守るために

「目にしてきた全てのことを思うと、悲しくなります」アンナさんは話します。「戦争が始まる前の素晴らしい時のことを思い出しています」

「暴力から子どもを守るという切迫した責任があります」。こう話すのは、ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所のバーバラ・ベンタイン代表です。「子どもに優しい空間は、混乱にさらされている中で、日常の感覚を取り戻すことを目的としています。ユニセフは、最悪な状況を目にしてきた子どもたちのために、安心して遊べる場所を確保し、心理社会的な支援を行うことを目指しています」

「多くの子どもたちは、上手く話すことができません。しかし絵を描くことはできます。子どもたちの描いた絵から、子どもたちが考えていることが分かるのです」子どもに優しい空間のコーディネーターを務めているAVSIのリーサ・ムルンガさんは、このように強調します。「子どもの成長を理解し、子どもたちにさらに必要なサポートを見極めるためにこうした活動をしなければならないのです。」

ユニセフは、全ての関係当事者に、教育、保護、福祉に対する子どもの権利を守るよう求めています。

*子どもの名前は全て仮名です

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