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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

国連「食糧サミット」開催の影で・・・
10万人の子どもたちが栄養不良の危機に
ユニセフ、エチオピア子どもたちへの支援を求める

【2008年6月2日 エチオピア・シラロ発】

写真:重度の栄養不良の子どもに、スプーンで治療用のミルクを与える母親。

© UNICEF/ HQ08-0451/Tegene

重度の栄養不良の子どもに、スプーンで治療用のミルクを与える母親。エチオピアのシラロにあるカトリック教会内にある栄養センターで。

ユニセフは、現在、エチオピア全土で、10万人を超える子どもたちが、緊急に治療的な支援を必要とする重度の栄養不良状態に置かれていると推計しています。そしてこの数は、食糧危機が広がるにつれ増加するものと見込まれています。

ユニセフはまた、エチオピア国民340万人が、今後3ヶ月間食料支援を必要な状況にあり、600万人の子どもたちが栄養不良の危険にさらされるだろうとも予測しています。

現地時間3日(火)にイタリア・ローマで開催される国連の「食糧サミット」。国連の食糧援助専門機関は、エチオピアでこうした危機に置かれている子どもたちに食料が届くようにするためには、1億4700万米ドル(約153億円)が必要になると試算しています。

食糧危機 子どもたちへの影響

ある朝、子どもたちを含む300名が、エチオピアのシラロにあるロピ・カトリック教会の庭に集まり、大きな半円の列を作りました。ユニセフが提供する、F−75と呼ばれる子どもたちの栄養不良を治療するための特別な粉ミルクの配給を受け取るために待っていたのです。

雨季に降るはずの雨が降らず、食料価格は急激に高騰。しかし、人々の手には、そうした危機を防いだり対応したりする仕組みのための資源が全くない・・・こうした悪条件がすべて重なってしまった現在のエチオピア。干ばつに見舞われた大地で暮らす人々、特に子どもたちに甚大な影響が出ています。

ロピの教会に集まった母親の一人、ドゥレティ・デゲフィさんはこう話します。「(天候不順で)とうもろこしの収穫に失敗してから、食べるものが何もないんです。話を聞いてくれるというから話しますが、お腹が空いて仕方ありません。子どもは病気です。誰かの助けがなければ、生きて行けません。」

「支援の地域格差」を埋めることが急務

緊急に治療的な栄養支援を必要とする子どもたちは、その多くがロピにあるようなセンターで治療を受けています。ところが、このセンターには、すでにその対応能力を超えた数の子どもたちで一杯なのです。にも関わらず、センターを訪れる子どもたちの数は、増える一方です。

「重度の栄養不良の子どもは、死の危機に直面しています。この瞬間にも、ユニセフのパートナーのNGOが、現地当局などとも協力しながら、55の地域で子どもの栄養不良のために支援を行っています。40〜50%の子どもたちを治療できるようになっていますが、残り60%近くの子どもたちは治療を受けられない状況なのです」(ユニセフ・エチオピア事務所代表 ビビアン・バン・シュタイルテゲン)

エチオピアでは、以前から800万人を対象にした食糧支援事業が展開されていました。しかし、ここシラロに住む340万人以上の人々は、こうした支援の対象ではありませんでした。最近、シラロでも雨が降りましたが、人々が自給できるだけの食糧を生産できるようになるまでには、まだ、数ヶ月はかかると見られています。こうした地域での緊急支援が求められています。

栄養不良の子どもたちの治療用食品も不足

ロピのセンターの外では、重度の急性栄養不良状態にある子どもたちへの外来治療が並行して進められています。外来に連れて来られた子どもたちは、栄養状態の検査を受けた後、「プランピーナッツ」と呼ばれる、封を空ければそのまま食べることができる急性栄養不良治療用の栄養治療食を一週間分受け取ります。

治療用の特殊な粉ミルクや「プランピーナッツ」は、エチオピア全土で、何千人もの子どもたちの命を守っています。しかし、その「需要」の拡大は止まらず、ユニセフなどが持つ在庫は急激に少なくなっています。今後3ヶ月に、およそ2,000トンのプランピーナッツが必要になると見込まれているのです。

写真:母親に抱えられる、重度の栄養不良の少女。

© UNICEF/ HQ08-0451/Tegene

母親に抱えられる、重度の栄養不良の少女。ユニセフが支援するロピ・カトリック教会の栄養センターで

「5年前、エチオピアが今回と同様の干ばつに見舞われたとき、ユニセフをはじめとする現地で活動する支援機関には、残念ながら緊急事態に対応するための十分な準備がなく、多くの子どもたちの命が失われました。(こうした苦い経験を踏まえ)エチオピア政府保健省は、ユニセフなどの協力を得ながら、こうした理由で子どもたちの命が失われることがないよう全力で体制を整えてきました。現在の私たちには、体制は整っています。しかし、具体的な支援をするための物資や資金が足りません。」(ユニセフ・エチオピア事務所のビヨン・ユングヴィスト)

ユニセフなどによるエチオピアの食糧危機への支援要請を受け、国際社会からも、支援(寄付)が集まり始めています。欧州評議会の人道支援部会は、180万米ドル(約1億8700万円)の資金を提供。また、他の人道支援基金からも500万米ドル以上(5億2000万円)の支援が。さらに、国連中央緊急対応基金は、とうもろこしと大豆の混合食料を購入するための基金を設立しているところです。

しかし、現在も拡大しつつある食糧危機を回避するためには、さらなる支援が求められています。エチオピアの子どもたちが直面している食料と栄養の緊急事態に対応するために必要な資金は、現在、およそ5,000万米ドル(約52億円※)に上ると試算されます。また、もし状況が更に悪化し続けるなら、必要な支援金額はさらに増大してしまうでしょう。

※ユニセフを含む、エチオピアで活動する国連機関などが見込む合計。

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◇ 募金のお願い ◇

 財団法人日本ユニセフ協会では、アフリカの子どもに対するユニセフの緊急援助を支援する「アフリカ緊急募金」の受付を行っています。皆様のご協力をよろしくお願い致します。

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