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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2002年10月7日 掲載>

パレスチナ:学校に行けない子どもたち
<ヨルダン川西岸とガザ地区>


 すでに新学期が始まって1カ月。パレスチナ自治区のユニセフ事務所特別代表ピエール・プパールは、イスラエルがパレスチナ側に課している規制のために、パレスチナの子どもたちが学校に行けない状態にあり、その状態が憂慮されると表明しました。

 「イスラエル軍が、パレスチナの子どもや教師を学校から遠ざけている」「パレスチナの一世代を代表する子どもたちが、教育を受ける権利を剥奪されている」とプパール代表は述べました。

  パレスチナの子どものほとんどが新学期に入り、いつもの学校に戻ったり、別の形で教育を受けたりしていますが、226,000人以上の子どもたち、ならびに9,300人の教師が学校に行くことができないままでいます。580校はイスラエル軍による外出禁止令、封鎖のせいで学校自体が休校状態にあります。

 ユニセフは、「ジュネーブ第4条約」(文民の条約:戦いに直接参加しない一般の人たちを守る)と「子どもの権利条約」により、パレスチナの子どもたちにも教育を受ける権利があり、イスラエルはそれを守り、尊重しなければならない義務があると述べました。最大限譲歩したとしても、学校で授業が行われている間は、パレスチナ自治区において、パレスチナ人の移動の自由が認められるべきであるとも言っています。ナブルス、ジェニン、トゥルカレムとヘブロンに住んでいる子どもたちは、特に大きな影響を受けています。

 移動規制が行われているこれらの地域では、学校に代わる代替教育システムがとられています。パレスチナの子どもの多くは、自宅で親に教わったり、モスク(イスラム教寺院)、地下、廊下など、仮設教室で学んでいます。「学校に代わるシステムをとらなければならないことからも、パレスチナの子どもたちがどれほどひどい影響を受けているかが分かると思います」とプパール代表は言います。

 ユニセフは、家庭で教育が行われたとしても、それがどれだけのものか分からない以上、その内容の良し悪しを保障できない、ただ、これに携わっている教師や関係者たちは、何よりも「子ども最優先」を心がけて欲しい、と言っています。

 学校にとどまることができないほど、経済的に厳しい状態にあるパレスチナの子どもたちを支援するために、ユニセフでは現在「バック・トゥ・スクール<学校に戻ろう>」キャンペーンを行っています。このキャンペーンを通して、学校の制服、通学カバンなどの資材を提供し、子どもたちが学校に行けなくなる原因を断つ努力をしているのです。このキャンペーンにより、14,000人の子どもたちが支援を受け学校に行っています。

 「今年は、経済自体が破綻をきたしているため、パレスチナ自治区の家族は子どもを通学させる余裕がありません。ユニセフでは、募金者に対してさらなる支援を呼びかけています」とプパール代表。317,000人のパレスチナの子どもが財政的な困難に直面し、支援を必要としています。

 前年度、ユニセフでは、コミュニティ・ベースの教育プログラムを、ヘブロン、ハンユニスで実施し、紛争により教育の機会を失った12,250人のパレスチナの子どもたちに支援を送りました。今年度、学校に代わる自宅学習イニシアティブが正式に認定されたのを受け、ユニセフでは支援プログラムの拡大を行う予定です。

エルサレム、2002年10月2日

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