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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

グルジア:紛争の傷跡を癒す「子どもに優しい空間」

【2009年3月30日 グルジア発】

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©UNICEF Georgia/2009/Amurvelashvili
ユニセフが南オセチア州の紛争地域近くにあるサカシェティ村に設置した「子どもに優しい空間」で学習する子どもたち。

2008年8月、南オセチア自治州をめぐり勃発したグルジア国内での武力衝突。この影響はいまだ続いており、何万人ものグルジアの人々が臨時或は常時避難所での生活を余儀なくされています。現在、アブクハジアと南オセチア自治州からやってきた人々が多数を占める国内避難民の数は、推定約3万人。うち約1万2,000人が子どもたちと見られています。

この武力紛争から数ヵ月間のうちに、ユニセフは、国際NGOなどのパートナーと共に、グルジア国内60箇所に「子どもに優しい空間」と呼ばれるセンターを設置しました。トビリシ、ゴリ、シダ・カルトリ地域の3歳〜17歳までの子どもたちがこのセンターで過ごしています。国内避難民キャンプには、幼稚園と小学校が新たに設置されました。「子どもに優しい空間」は、子どもたちやコミュニティの人々が不自由な避難生活の中で受けている様々な精神的影響を緩和し、子どもたちが学校に戻る機会を提供しています。

日常生活の回復

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©UNICEF Georgia/2009/Amurvelashvili
ユニセフの支援で開設されたサカシェティの「子どもに優しい空間」で授業に参加するグバンツァちゃん(9歳)。シャラプネにある彼女の家は、2008年に起きた武力紛争で破壊された。

「武力紛争によって、子どもたちの日常生活がめちゃくちゃにされました。この紛争が子どもたちに短期的、そして長期的な悪影響を及ぼすことを懸念しています。」ユニセフ・グルジア事務所のジオバンナ・バルベリス代表は話します。「子どもたちに日常生活を取り戻させることが何よりも大切です。」

教育は、子どもたちが日常生活を取り戻すための重要な要素です。学校での生活は、毎日決まった生活習慣を子どもたちに求めます。友人や先生との交流を通じて、子どもたちの心理的なストレスが軽減されます。こうした事を通じて、子どもたちは、紛争後の生活への準備をすることができるのです。

ユニセフの支援で設置されたサカシェティ村にあるセンターには、地元のコミュニティから訓練を受けた教員が配属されています。また、レクレーション・スペースや遊具、ゲーム、教材なども用意されています。

このセンターに通う子どもの一人、グバンツァちゃん(9歳)は、この居心地の良い空間で勉強したり遊んだりすることが大好きです。彼女は他の子どもたちと一緒に、毎日センターでお話を聞いたり、スポーツをしたり、友達と一緒に遊んだり、芸術や文化的な活動をしたりして過ごします。子どもたちは、通常学校で教えられる授業の他に、コンピューターの使い方や健康に関する知識なども教わっています。

子どもたちは、武力紛争や避難生活の中で受けた心理的なストレスを軽減するため、カウンセリングも受けています。

心のケア

避難生活の中で、人々に、子どものためにおもちゃや本を買う余裕などありません。家の再建や田畑を整えることの方が重要な問題なのです。こうした中、「子どもに優しい空間」は、親や子どもの面倒を見ている人々が、子どもたちの安全や健康について心配することなく、安心して毎日の活動に子どもたちを参加させられる場所になっています。

「私の子どもたちは夜になると怖がるんです。このセンターは、子どもたちにとってリハビリを受けるところなのです。」 早期幼児教育の専門家で、このセンターに通う2人の子どもの親でもあるゲラタシャヴィリさんは話します。「(センターの活動は、子どもたちだけではなく)私たち大人にも良い影響を与えてくれています。子どもたちと一緒にいることで、私たちのリハビリにもなっているのです。」

このセンターがオープンしてから3ヵ月が経ちました。センターは、子どもたちが、自らの個性や感情を解放して自由にふるまえるようにときめ細かな配慮を持って設計されました。『お話の時間』には、小さなカーペットやまくらが床に一列に並べられ、子どもたちがゆったりと過ごせるように配慮されています。寒い時期には、センターはほどよく暖められ、本棚や人形のお家、電車などの玩具が用意されているほか、室内でやわらかいボールを使ってできるバスケットボールのリンクも用意されています。

暖かで親しみやすい「子どもに優しい空間」の環境は、武力紛争の影響を受けた子どもたちが負った心の傷を癒すために意図的にデザインされているのです。

「夕方になって帰る時間がきても、家に帰りたくないの。」セイス・カティアちゃん(10歳)は、こう話します。

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