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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

グルジア:不発弾から子どもたちを守る教育

【2009年6月17日 グルジア発】

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© UNICEF/2009/Degan
ソソ・キルクヘリ君は、昨年の武力紛争で残った不発弾を触り、手を失った。

昨年、多くの犠牲者を出した南オセチア自治州をめぐり勃発した武力衝突。ゴリ近くに位置するキルバリ村の学校に通う子どもたちのほとんどは、徐々に普段の生活を取り戻しつつあります。

しかしながら、ソソ・キルケリ君(15歳)は、武力紛争によって残された残酷な後遺症に今も苦しんでいます。ソソ君は、学校の近くで見つけた爆発性と見られる手榴弾を手にし、腕を吹き飛ばされてしまったのです。

ソソ君は、その爆発物を拾った後、ポケットに入れて教室まで持って行きました。ポケットが暖かくなってきたと感じたソソくんは、外に捨てに行こうと教室を離れました。そして、ちょうどポケットから出そうとした瞬間、爆発したのです。

「あれが何なのか知らなかったんだ。もし知っていたら、拾うことなんてなかったのに。他の男の子たちと同じように拾っただけだよ。あれが何なのか分からなかった」と、ソソ君は話しました。

ソソ君だけが犠牲者となったわけではありません。ゴリ近郊のシバ・クルトリ地域では、ほかにも数人の子どもたちがこうした不発弾によって手足を失っています。

危険を理解すること

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© UNICEF/2009/Degan
ゴリ近郊にあるキルバリ村の学校で、ニノ・サンクハラドゼちゃん(7歳)は、地雷に関する危険を啓発する教材を読んでいる。

ユニセフは、人道支援組織「ヘイロー・トラスト」やグルジア教育省と密接に協力して、子どもたちが不発弾の危険性を理解したうえで、危険なサインを認識し、危険に見える物体を見つけた時の対処法を身につけることができるよう活動しています。

ユニセフが実施している地雷の危険性を教えるための教育プログラムは、ゴリ地域の5万人近くの若者に、紛争の影響を受けた地域が抱える危険について教えることを目的としています。このプログラムのための特別な学習教材が現在学校で利用されており、子どもたちは、その教材を家に持って帰って家族に見せることもできます。

「教師たちに子どもたちを教育するための基礎的な技術を教え、アニメなどを使用した子どもにも分かりやすい教育方法を活用することによって、全ての子どもたちにこの危険性について知ってもらうことができると確信しています。」ユニセフ・グルジア事務所のベンジャミン・パークス代表はこのように話します。

農村部の人々への危険性

ブロトスレティ村の近くの果樹園で、「ヘイロー・トラスト」のスタッフは非常に危険なクラスター爆弾のような不発弾を処理するために、ゆっくりと慎重に作業しています。

この地域で、武力紛争によって残された爆発性の残留物を全て撤去するには、時間がかかるものと見られています。

「ヘイロー・トラスト」の不発弾等の撤去専門家のニック・スマート氏は、子どもたちがクラスター爆弾のような不発弾の危険性について学ぶことが重要だと話します。

「こうした残留物には手を触れてはいけませんし、遊ぶものでもありません。見てお分かりいただけますように、ここは人々が働いている農地です。もし、不発弾を放っておいた場合、人々が不発弾に関する知識を持っていなければ、とても危険なことになることは一目瞭然です。」スマート氏は話します。

ケアと保護の権利

武力紛争によって影響を受けた全ての子どもたちは、保護され、ケアを受ける権利を持っています。

腕を失う前、ソソ君はスポーツを楽しみ、ボクサーでもありました。ソソ君は、将来何らかの形でボクシングを続けたいと望んでいます。今のところ、彼はこの事故で生き残ったことと、クラスメートたちを傷つけることがなかったことに感謝しています。

「みんな僕に起きたことを見ていました。僕のような目に遭う人がこれ以上いないことを祈っています。友達には、むやみに物を触らないこと、それから僕に何が起きたのか忘れないように話しています。」

ユニセフは、グルジア教育省と共に、紛争の影響を受けた子どもたちが地雷や爆発性の残留物の犠牲にならないよう活動を続けていく予定です。

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