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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ハイチ:HIV母子感染の悪循環を断ち切れ!

【2007年7月30日 ハイチ・ポルトープリンス発】

 
© UNICEF Haiti/2007
ボンバルドポリスで、HIV母子感染予防プログラムの運営にあたるエルマニスさん

ハイチ北西県の人里離れた村に住むデラさん。北西県は不毛な乾燥地域で、ハイチの10県の中でももっとも貧しい地域のひとつです。

ある日、デラさんはひどく体調を崩してしまいました。「お腹の中の赤ちゃんのことが心配でたまりませんでした」。デラさんは当時を振り返ります。そこで彼女は、オートバイのタクシーに乗って15キロ以上離れたボンバルドポリスの病院へ向かいました。「道の状態はとても悪く、特に、妊娠5ヶ月のデラさんにとってはとても大変なことでした」と、エルマニス・ジャックさんは説明します。エルマニスさんは、人道支援組織「ケア」のスタッフとして、ボンバルドポリスでHIV母子感染予防プログラムの実施にあたっている女性です。

デラの夫は、エイズのために4年前に亡くなり、その後、彼女は再婚しました。長い道のりを経て病院にたどり着いたデラさんは、そこで、自分がHIVに感染していることを知らされたのです。

リスクを減らす

ハイチでは、推定1万2000人の妊産婦がHIVに感染しています。ユニセフはケアのようなパートナー団体と協力して、HIVの母子感染予防と、小児治療の提供に取り組んでいます。

「遠方のコミュニティでは、貧困、政情不安、教育の欠如が、HIV/エイズの蔓延をさらに悪化させています」。ユニセフのHIV/エイズ担当官、セシリア・サンチェス・ボダスは言います。「予防策がとられなければ、HIV陽性の母親から生まれる乳児のおよそ3人にひとりが、妊娠、出産、母乳育児を通じてHIVに感染してしまうのです」

医師からの助言にもとづいて、デラさんはユニセフが支援するプログラムに参加しました。そのプログラムでは、HIVに感染している妊産婦に対して医療ケアを提供し、女性たちを支援しています。このようなプログラムによって、HIVの母子感染を最大50パーセント削減できることが、予備的結果ながら明らかになっています。

デラさんの赤ちゃんは、母子感染の危険性を減らすため、出産後72時間以内に抗レトロウィルス薬の投与を受けることになるでしょう。そして、小児ケアを受け、生後18ヶ月がたった時点でHIV感染の有無を調べる検査を受けるのです。一方デラさんは、カウンセリングや、適切な栄養の与え方についてアドバイスを受けます。赤ちゃんもHIV陽性であると判明した場合には、お母さんと同様、抗レトロウィルス薬治療を受けることになります。

勇敢な女性たち

HIV感染につきまとう差別と偏見に立ち向かうため、デラさんは心理社会的サポートが受けられるコミュニティのサポートグループに参加しました。「グループに参加して、HIV陽性だからといって人生が終わったわけではないことがわかりました。病院で定期的に治療を受ければ、健康を保つことができます。医師は、私の健康状態をみて、治療を行ってくれますから」。彼女は語りました。

デラさんの人生は、サポートグループに参加してから良いほうへと変わりました。彼女は、出産後もグループに参加し続けようと考えています。自分の経験を同じ境遇にいるほかの女性たちに伝え、困難な状況に置かれた女性を支えたいと考えているのです。ジャックさんは語ります。「デラさんのような勇敢な女性は、このグループにとってなくてはならない存在です。妊産婦の支援に取り組む私たちのプログラムを支え、より力強いものにしてくれるのは、彼女たちなのですから」。

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