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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

イラク:
2000年以降初めてのポリオ感染報告
専任のポリオチーム、さらなる予防接種キャンペーン

【2014年3月30日 バグダット発】

© UNICEF/Iraq-2014/Brecher

ポリオの予防接種をうける子ども。

イラクでは、ポリオ予防接種キャンペーンの準備が進められています。この予防接種キャンペーンは、イラクで14年ぶりにポリオの発症が報告されたことを受けて実施される予定です。

世界保健機関(WHO)は、バグダッド近郊の6カ月乳児が、一般的には5歳未満児に多い、衰弱性ウイルスにかかったと報告しています。シリアで発見されたウイルス株と型が一致すると言われているものの、イラクの子どもの感染経路は明らかになっていません。WHOは、イラクのアンバール県やシリアで続く武力紛争による避難民から感染が広がった可能性があると述べています。

この新しい感染報告により、まだワクチンが行きわたっていない子どもたちがいることが示唆されるため、次のポリオ予防接種キャンペーンが4月6〜10日に予定されています。これは、ウイルスを媒介とする感染症の発生を受けたイラクにとって不可欠な対応です。

「ポリオは、子どもがかかる可能性のある、最も衰弱性の高い疾患の一つです。治療法はありません。ポリオの感染を防ぐ唯一の方法は、予防接種を実施することです」と予防接種を行う27歳のザイナブさんは述べています。「私は、家から家を回り、子どもの数を数えて経口ポリオワクチン(OPV)を渡します。一人の子どもも見逃されてはいけません。さもなければ、その地域社会全体が危険にさらされていることになります」

2013年10月にシリアでポリオが確認されたときに、警鐘が鳴らされ、地域の対策が講じられました。現在までに、26のポリオの感染例が確認されています。イラクでは、シリアで最初にポリオが発生してから、5歳未満児の子どもたちに経口ポリオワクチンが行きわたるよう、追加で5回の大規模な予防接種活動も行いました。一部の地域では、5歳以上の子どもにも予防接種を実施することができました。これまでのところ、東地中海地域2,200万人以上の子どもたちに行きわたっています。

2014年3月初旬の最後の予防接種キャンペーンの際には、イラクの地理的な広さや移民、治安の問題があるにもかかわらず、イラクの子どもたちの92%に予防接種を実施することができたと言われています。

専任のポリオチームが集められ、次の月間キャンペーンで、ウイルスが蔓延することを防ぐために必要とされる重要な基準点である、95%以上のイラクの子どもたちに行きわたるように国内および国際的なパートナー団体への支援を強化します。

「親たちが、子どもたちにとって一度の予防接種では不十分であるということ、ワクチンを何度も摂取させなければならないということを理解することは非常に重要です」とユニセフのイラク事務所代表マルッチオ・バビーレは語りました。「それがおとなたちとイラクのすべての子どもたちをウイルスから守る唯一の方法です」

十分なワクチンの確保に加え、ユニセフは、イラクの医療従事者や家庭での意思決定者、そして医療や文化、宗教の指導者を対象に、ポリオ予防接種キャンペーンや定期予防接種に関する知識の普及や、予防接種への参加を高めるための啓発活動に力を入れています。

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