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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

キルギス:オシの人々に“日常”をもたらす学校の再開

【2010年9月13日 キルギス発】

© UNICEF Kyrgyztan/2010/Eliassen
生徒会の代表として新学期に向け、準備を進めるナズビイケさん(中央)と2人の友人。

今年6月、民族衝突が勃発したキルギス。あれから3ヵ月。オシの人々は、立ち直り始めています。通りには、焼きたてのパンのにおいがたちこめ、並べられたたくさんのメロンやトウモロコシが、通りを鮮やかに彩っています。長衣とスカーフを身にまとった年配の女性たちは朝の支度に追われ、子どもたちは、新学期の準備をしています。

まだ新学期は始まっていませんが、ナズビイケさん(17歳)は、もうロモノソブ学校に通っています。ナズビイケさんは、他の2人の生徒と一緒に、生徒会の代表として、新学期にむけた準備をしているのです。ナズビイケさんは、6月にオシの人々を震撼させた政治的な紛争が勃発してから、夏の間中、家から一歩も外に出ることはありませんでした。しかし、紛争から3ヵ月。徐々にではありますが、最も武力紛争の影響の激しかった地域のひとつ、フルカトにある自宅から外に出ることができるようになりました。

民族紛争の傷跡
© UNICEF Kyrgyztan/2010/Eliassen
ユニセフが配布した「スクール・イン・ア・ボックス(箱の中の学校)」に入っている学校用品を手にするロモノソブ学校のシャキロバ・アリア・ファニリエブナ校長。

他の多くの子どもたちと同様、ナズビイケさんは、学校が再開してクラスメートに会う日を待ち望んでいます。しかし、何人かのクラスメートには会えないということも知っています。多くの子どもたちが、6月に紛争が始まってから、家族と共にオシから避難したのです。

オシを離れ、ウズベキスタン近隣のビシュケクに避難した生徒のひとり、ジルドイズさんは、ナズビイケさんの親友です。ナズビイケさんは、ほぼ毎日ジルドイズさんと電話で話し、早くオシに戻ってくるように説得しています。

ナズビイケさんは、6月の民族衝突の後、ロモノソブ学校の先生74人中12人がこの地域から避難してしまったため、数人の新しい先生が来ることも分かっていました。避難した先生の中には、ロシアやカザフスタンに逃れた人もいました。ロモノソブ学校のシャキロバ・アリア・ファニリエブナ校長は、オシを離れた先生の代わりとなる先生を見つけるために懸命です。

「良い教員に居てもらうことは、とても大切です。」ファニリエブナ校長はこう話します。「教師の子どもへの接し方は、極めて重要なことです。教員は、(教室を船に例えれば)船長のようなものなのですから。」

平和教育
© UNICEF Kyrgyztan/2010/Eliassen
ユニセフが配布した「スクール・イン・ア・ボックス(箱の中の学校)」を受け取るオシにあるアリシェル・ナボイ学校の校長とその友人。

ファニリエブナ校長は、この度の民族衝突の発生を受け、キルギスの教育に、平和教育や紛争をなくすための教育を取り入れる計画が進んでいると説明してくれました。それによれば、新学期開始から一ヵ月間は、平和と和解のための授業にほとんどの時間が割かれることになっています。ユニセフは、教育省と共に、正規のカリキュラムに組み込む予定となっている平和構築の指導書をまとめています。「ピース(平和)、フレンドシップ(友好)、トレランス(寛容)、ハーモニー(調和)」という言葉が書かれたポスターも教室の壁に貼られていました。

オシの子どもたちが直面している問題は、教員の不足だけではありません。もうひとつ懸念されていることは、特に、学校から離れた場所に暮らしている教師と子どもたちの安全面の問題です。安全を確保するために、キルギス政府は、警備員を配置し、子どもたちを送迎するスクールバスを準備しています。ユニセフは、オシとジャラル・アバドに、24台のスクールバスを提供する予定です。

ですが、ファニリエブナ校長は、楽観的です。(人々の間に)嫌な思い出は残っているものの、オシ全体に溢れる教育への熱意が、オシの人々の恐怖心を克服する一助となっているのです。ファニリエブナ校長は、ロモノソブ学校の1800人の子どもたちの大半が、学校に戻ってくると確信しています。

ファニリエブナ校長がこのような話をしてくれている間に、オシの他の学校から、数人の女の校長先生が、ロモノソブにある支援物資の配給施設にやってきました。ユニセフが、オシとジャラル・アバドの約277校の学校に提供した、80人分の学用品や教材が入った「スクール・イン・ア・ボックス(箱の中の学校)」を受け取りにきたのでした。

学校は、“日常”の感覚を取り戻させてくれる場所

ナズビイケさんにとって、学校に通うことはとても大切なことです。これからの1年は、彼女にとって、おとなになるための最初の一歩として重要なものなのです。

「わたしの半生は、教育に左右されてきました。親友も、学校で見つけましたし。」と、ナズビイケさん。「それに、学校は、平和構築のための大きな可能性を秘めています。異なる民族の子どもたちがひとつになっている場所ですから。」

「例えば、ロモノソブ学校には、14の異なる民族の子どもたちが通っています。」「私たちは、今でも話もするし、友人のままです。私たちは、こうした関係が、親やコミュニティにも同じように影響を及ぼしていくことを望んでいます。」

ナズビイケさんは、彼女の両親も、学校の主な役割は、コミュニティに平和を取り戻すことだと気がついていると思っています。学校に教師と生徒が戻り、新学期がスタートすることが持つ本当の意味を、オシの人々は判り始めています。学校の再開によって、今、オシで切実に求められている“日常”の感覚が取り戻されるのです。

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