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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

マダガスカル:昨年から続く干ばつ 子どもたちの命を救う農村の保健スタッフ

【2010年5月26日 マダガスカル発】

© UNICEF Madagascar/2010/Andriamasinoro
治療を終え、マダガスカルのアンドロイ地域にあるキリモサ保健センターを出るフィタハントソアちゃんと母親のフィディソアさん。

マダガスカル南部では、昨年、数千人の子どもたちが重度の急性栄養不良で治療を受けました。この地域では、今年も雨不足と穀物の不作が続き、食糧不足が懸念されています。この地域の23万人以上の5歳未満の子どもたちが、栄養不良に陥る危険性を抱えているのです。

極めて多くの子どもたちが危険に晒されている中、ユニセフが、ヨーロッパ人道援助事務局(ECHO)とともに行っている重度の急性栄養不良の子どもたちを対象にした様々な活動は、大きな成果を上げ始めています。この活動は、深刻な症状の子を早期に発見し、早い段階で必要な治療を施すことで、子どもたちの生存の可能性をより高めることを目指しています。

早期発見
© UNICEF Madagascar/
2010/Andriamasinoro
定期的な子どもたちの栄養状態の検査の一環として、子どもの体重を測るマダガスカルアンドロイ地域の保健スタッフ、ゼアビン・ヘルティーンさん。

フィディソアさん(32歳)は、生後10ヵ月の息子のフィタハントソアちゃんが病気に陥った時、怖くなってしまったと話します。「息子はぐったりとしてしまって、食べる元気もありませんでした。」「夫と一緒に、8人の子どもたちを養わなければなりません。でも、家には食べるものが何もないんです。ですから、子どもがこんな状態になってしまったのです。」

フィタハントソアちゃんは、アンドロイ地域にあるキリモサ保健センターに入院しました。フィタハントソアちゃんは、マダガスカル南部に暮らす多くの子どもたちと同様に、重度の栄養不良状態にあると診断されました。

フィタハントソアちゃんの自宅近くで、彼を最初に診察した地元の保健スタッフ、ゼアビン・ヘルティーンさんは、フィタハントソアちゃんが緊急に治療を必要としている状態であることは明らかだったと話します。「すぐに、彼を村から一番近い8キロ離れた保健センターに連れて行くことを決めました。」

ヘルティーンさんをはじめとする7,000人以上の、農村部で活動する保健スタッフたちは、昨年、ユニセフが実施した研修を受けました。村の中で、定期的に子どもたちの栄養状態を検査することで、フィタハントソアちゃんのような状態にある子どもたちを早期に発見し、治療を受けさせるために保健センターに連れて行っているのです。彼女たちは、こうして、何千人もの子どもたちの命を救う手助けをしているのです。

成功例

こうした研修活動を支援しているECHOは、地元の保健施設に最新の設備も提供しています。「ECHOの支援によって、重度の栄養不良の子どもたちの早期発見・治療に必要な体制が維持されているので、支援を必要としている子どもたちに、時機を逸せずに対応することができるのです。」ユニセフ・マダガスカル事務所のブルノ・マエス代表はこう話しました。

重度の急性栄養不良が早い段階で発見されたフィタハントソアちゃんの例は、こうした取り組みの成功例です。フィタハントソアちゃんは、8ヵ月間の治療の後、保健センターを退院し、自宅に帰りました。今年も穀物の不作が続く恐れが残っているにもかかわらず、フィタハントソアちゃんのお母さんは、ようやく安心したようでした。

フィタハントソアちゃんを最初に診察した保健スタッフのヘルティーンさんには、自らの活動が、自分が生まれ育った村の人々の役に立っているという深い満足感があります。

「数ヵ月間で、20人の子どもの命を救うことができました。」「これまでに、その子どもたちは、一人残らず危険な状態を脱しています。私は今、その子どもたち一人ひとりの健康状態を引き続き確認しています・・・。自分の仕事を誇りに思います。」(ヘルティーンさん)

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