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財団法人日本ユニセフ協会

写真_UNICEF/2007/Izwina Mohd Din

マレーシア:
ユニセフのエクイティー(公平性)プログラムのもと、登録のない子どもも学校へ

【2011年5月16日 マレーシア/カンプン・ヌンバク発

地図は参考のために掲載したもので、国境の法的地位について何らかの立場を示すものではありません。

マレーシア・ボルネオ(ボルネオ島の北部)の海岸沿いにある村、カンプン・ヌンバク村の住人の家は、海の上に、高床式に建てられています。道路代わりになるのは、歩くと音を立てる、桟橋のような通路、家の屋根は鋼板製です。

コタ・キナバル市の北側に位置するカンプン・ヌンバク村には、フィリピンからの移住労働者たち8,000人が住んでいます。いずれも正規の登録をしていない人たちです。最近まで、公式な登録(本人の出生登録等の公式登録)がない限り、子どもたちは正規の学校に通うこともできませんでした。移住者用の教育施設がないわけではなかったのですが、数は少なく、子どもが溢れ、資金不足の学校ばかりでした。

「学校に行けない子がいるのはかわいそうなことです」と語るのは、自身8人の子どもを持つ教師、セレナ・ビンティ・ヒジ・ピルソンさんです。人生のほとんどを、ここカンプン・ヌンバクに住んでいます。「学校に行けない子は、釣りにいったり、海のそばや桟橋の下で遊んでいます。それが彼らの日常でした」

それが今や変わりつつあります。これもユニセフのエクイティー(公平性)戦略のおかげです。ユニセフの資金提供をもとに、コミュニティが教育センターを作ったのです。そして、なんとマレーシア政府もこの支援プログラムに参加。おかげで、カンプン・ヌンバク村の未登録の子どもたち、320人が授業を受けられるようになりました。

劇的な変化

© UNICEF Malaysia/2011
ユニセフが支援する教育センターに通学する少女たち。この学校は、サバ州カンプン・ヌンバク村の登録していない子どもたちを受け入れている。かつては、出生登録がない子どもは学校に通うことができなかった。

「この支援プログラムは、とても重要です」と語るのはユニセフ・マレーシア事務所のハンス・オルセン代表です。

この教育センターでの授業は、国のカリキュラムに則って行われており、最初は読み書きに重点が置かれます。裁縫、大工仕事、船作りなどの職業訓練は、後々追加される予定です。ユニセフは、この教育センターが、就学していない未登録の子どもたち推定4万4,000人に、教育の場を提供するモデル例になれば、と考えています。

「未登録の子どもたちに教育を提供することによって、子どもたちが読み書きできるようになり、後々には職業訓練もできるようになれば、彼らの将来は明るいものとなります」とハジ・モハムド・プアダ教育副大臣。「だからこそ、彼らに教育の場を提供したいのです」

学びの場

© UNICEF Malaysia/2011
ユニセフが支援する教育センターで算数の授業を受けるベンハル・ビン・ムイジビン君(11歳)。彼はマレーシア生まれですが、出生登録されておらず、正規の公立小学校に通うことができません。

ベンハル・ビン・ムイジビン(11歳)君は、マレーシアに生まれましたが、出生登録証を持っていません。そのため公立の学校に通うことができません。彼は、ユニセフが支援する教育センターの5年生です。

学校に通うことができないと、村の多くの子どもたちはギャンブルに手を出したり、盗みを働いたりしてしまう、と彼は言います。「学校に行って、友達に会うのがとても楽しみなんだ。頭が良くなるように勉強したい」

ベンハル、そのほか、困難な状態にあるマレーシアの子どもたちは、出生登録証があろうと、なかろうと、教育を通して、家族の将来を形作るお手伝いもできるようになったといえます。

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