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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ナヤプール——
子どもクラブの取り組みを通じてきれいなコミュニティづくりを
<ネパール>


 シュリーシタラ・コミュニティ中学校は、ネパール西部の丘陵地にある、典型的な農村部の学校です。2003年に、この中学校は運良くカスキ地区委員会に選ばれて、学校トイレと公衆衛生教育プロジェクト(SSHEP)に参加することになりました。

このプロジェクトが開始される前、コミュニティには児童用の小さな仮設トイレしかありませんでした。ネパールではごくわずかな学校にしかトイレがありません。その数少ないトイレの中には、外からの光が厚い壁にさえぎられて届かず、吐き気がするほどの強いにおいがただよいます。子どもたちもよほどのことがない限りトイレを使いません。コミュニティの10家族のうち、家庭にトイレを持っているのはたった4家族だけ。子どもたちとその親のほとんどが、木の茂みや草むらなどにそれぞれお決まりの場所を持っていて、毎朝早く用を足しに行きます。

シュリーシタラ中学校が参加校として選ばれると、地域監視管理事務所(RSMO)の社会学者、プレム・ニティさんが校長先生を手伝い、年齢、性別に関係なく参加できる子どもクラブを設立しました。またニティさんはトイレと公衆衛生、リーダーシップおよび子どもの権利に関する研修も行いました。学校運営委員会、校長、教員や地域の指導者などを対象にして追加の研修も行われ、子どもたちの取り組みを指導・支援する方法が教えられました。RSMOやユニセフからの経済的・技術的支援、また地域コミュニティの貢献によって同中学校には新しく男女別々の常設トイレが備え付けられました。トイレの建設が終わると、子どもクラブは清掃日課を設けて、生徒全員で責任を持つようにしました。きれいでいやなにおいのないトイレのおかげで、急にトイレに行きたくなってももう困りません。子どもたち、とりわけ女の子はプライバシーが守られて喜んでいます。子どもたちはまた、研修を通じて、トイレがきれいな環境を保つ上で大切な役割を果たしていることを知り、それが健康状態の改善にもつながるということを理解するようになりました。新しい自信と若い意気込みで、子どもクラブのメンバーは学校では石けんによる手洗いキャンペーンを、コミュニティではトイレの利用を促す運動を始めました。

また、みんなで一緒に村をきれいにする運動も始めました。手始めは、コミュニティにある全ての家庭を訪問し、トイレのない家庭や、学校に通えない子どもを見つけ出す調査です。学校に通えない子を見つけた子どもたちは、後にこの家庭を再訪問し、両親に子どもを学校に通わせるよう説得することにしました。膨大な時間と労力をかけてお父さん、お母さんたちと話し合いを重ねた結果、ストリート・ドラマや家庭クリーニング運動、クイズコンテストを組織するとともに、ポスターを貼り出すことを決めました。コミュニティの人びとは、徐々に毎日の生活の中での保健と衛生の重要性に気付き始め、家庭にトイレを取り付けるようになりました。子どもたちから発信された熱意が伝わり、やがておとなたちも親戚や近所の人にトイレの建設を促すようになったのです。ストリート・ドラマやその他の文化活動を計画することで、子どもクラブは自分たちの資金を作り出すこともできました。この短期間のうちに、トイレのある家庭は急増し、家庭のトイレ普及率は95パーセント以上にまでのぼっています。

学校衛生プログラムの影響は学校の中だけに留まらず、それ以外の場所へも大きく広がっています。シュリーシタラ・コミュニティ中学校子どもクラブのメンバーの努力が功を奏し、ナヤプールとその周辺のコミュニティは以前よりもきれいになりました。衛生プログラムは学校の環境作りだけでなく、効果的な管理システムの構築にも生かされています。子どもクラブに参加する子どもたちは、会議の開き方、キャンペーンの企画方法、また親やおとなを動かす手段等を身に付けました。さらに、子どもクラブのメンバーの活動や頑張りを知って、近隣地区からこの学校に入学する子どもも増えています。

「私たちの社会に大きな変化をもたらしてくれたのはこの小さな子どもたちで、彼らの頑張りを私たちおとなは認めてあげなければなりません」おとなたちは口を揃えてこう話しています。

2005年5月2日
ユニセフ・ネパール事務所

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