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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

FIFAワールドカップ2010開催が近づく南アフリカ
サッカーを通じたユニセフの支援

【2010年6月2日 南アフリカ発】

© UNICEF South Africa/2010/Bloemen
FIFAワールドカップ2010の開催地南アフリカで、ユニセフの支援で開催されている子どもたちのサッカー大会。その試合会場で、南アフリカ全土で広がっている「ディスシー・ダンス」を踊る若者たち。

子どもたちが、音楽と手拍子に合わせて、腰を曲げてぐるぐる回りながら踊っています。『ディスシー・ダンス』と呼ばれるこの踊りは、新たな「国民的」なダンスとして、間もなく開幕するFIFAワールドカップ 2010が近づくにつれ、熱気に包まれている南アフリカ各地で、その盛り上げに一役買っています。

大きなタウンシップ、フフンディの中心部にあるスタジアムには、約300人の子どもたちが、丸一日掛けて行われる子どもたちのためのサッカー大会に集まっていました。この人口約4万のコミュニティは、北西州にある農業の町、フライブルグ郊外に位置しています。

南アフリカの他の多くの地域と同様、このタウンシップにも、アパルトヘイトという負の遺産の影響が残っています。以前は、黒人の多くが社会から取り残され、差別されていました。こうした人々は、いまだに深刻な貧困に苦しんでいます。

勇気を与えてくれるサッカー選手たち
© UNICEF South Africa/2010/Bloemen
FIFAワールドカップ2010の開催にあわせ、ユニセフの支援で全国で開催されている「開発のためのスポーツ大会」の会場で、試合の準備をする女の子たち。

フフンディで開かれるサッカーとネットボールの試合に参加するために集まっている若者のひとり、ロナルド・ラペロング君(15歳)の夢は、プロのサッカー選手になることです。ロナルド君は、一年前、両親を亡くし、現在は伯母さんと一緒に暮らしています。

「僕たちの国に、たくさんの有名なサッカー選手がくるので、とても興奮しています。」「彼らは、僕たちに、元気と勇気を与えてくれます。」

フフンディで開かれるこのスポーツ大会は、5月から7月に掛けて全国21箇所で開催されているサッカー大会のうちのひとつです。その開催地の中には、農村部のこの国で最も貧しい地域も含まれています。

ユニセフは、地元NGOや南アフリカ教育省と共に、「開発のためのスポーツ事業」を展開しています。この大会も、そうした活動の一環として、ユニセフがその開催を支援しています。本大会は、子どもたちにスポーツの才能を発揮させる機会を提供しているだけでなく、参加する子どもたち自身の国でワールドカップが開催されることをお祝いするイベントなのです。

「まず、最も支援を必要としているコミュニティを見つけます。そして、現地の学校を通じて、またコミュニティの中に入って、支援を行っています。」北西州でこの事業を統括するマランガ・ムパシさんはこう話しました。この活動は、現地の学校で行われている体育の授業の質の改善と、一般的に若者が直面している社会問題に警鐘を鳴らすことを目的にしています。

健全な代案
© UNICEF South Africa/2010/Bloemen
フフンディのモエテ小学校で開催された大会に参加するネットボールの選手たち。

大学生のバーバラ・サラチェラさん(22歳)は、フフンディの多くの女の子たちの良き相談相手です。現在、州都マフィケングでスポーツ科学を学んでいるサラチェラさんは、毎週末、ネットボールをプレーに、また、地元の女子ネットチームのコーチとしての仕事をするために、毎週実家に戻っています。

サラチェラさんにとってスポーツは、子どもたちを、様々な危険から遠ざけるための重要な手段でもあるのです。

「今日ここには、本当にたくさんの子どもたちが来ています。もしこの大会が開催されていなかったら、今日ここに来ている子どもたちはどこにいたでしょうか。」 「子どもたちは、家の中で悪さばかりします。例えば、特にこのコミュニティでは、非常に多くの女の子たちが10代で妊娠しています。飲酒したり、麻薬を使う子どもたちもいます。」(サラチェラさん)

「ですから、子どもたちを忙しくさせ続けることが大事なのです。」サラチェラさんは、さらにこう語ります。「そして、子どもたちは成長するに従って、何かに積極的に取り組むようになり、その中で、彼らの才能が発揮されるんです。」

スポーツでの「成功」と人生での「成功」
© UNICEF South Africa/2010/Bloemen
南アフリカのサッカーの応援で使われるエアホーン、「ブブゼラ」を吹く男の子。

フフンディで、「開発のためのスポーツ事業」のコーディネーターをしているモハウ・セトルホディさん(22歳)は、大会で、試合の順番を待つ10代の若者たちの間を歩いて回っていました。この2年間、ボランティアとして活動しているセトルホディさんは、スポーツが、フェアープレーの精神を学び、チームワークや他者への思いやり、そして自分への自信をつける機会を与える重要な役割を果たすことを知っています。

大会の最後に、表彰式が行われました。優勝した子どもたちは、誇らしげに賞状とメダルを手にしました。

この大会に参加している子どもたちのほとんどは、テレビ画面でしかFIFA World Cup 2010を見ることができないのかも知れません。しかし、世界で最も大きなサッカーのイベントが南アフリカで開催され、彼らのヒーローが自分たちの国にいるということを、子どもたちは誇りに思うはずです。子どもたちの心は刺激され、さらなる練習に時間を割き、サッカーでも人生でも、成功することに繋がるのです。

『サッカーとユニセフ展』@ユニセフハウス
© 日本ユニセフ協会

世界を変えるには、まず子どもたちから。そう考える時、サッカーが重要な役割を果たします。
こうした考えをもとに、国際サッカー連盟(FIFA)とユニセフは、子どもたちのために地球的規模の提携を結びました。

子どもの権利を守るための世界的な誓いである「子どものための約束」(Say Yes for Children)を訴えた、2002年のワールドカップ・日韓大会。

「子どものために。平和のために。」(Unite for Children. Unite for Peace.)を訴えた、2006年のワールドカップ・ドイツ大会。

「女の子に教育の機会を!」(Goals for Girls!)を訴えた、2007年の女子ワールドカップ中国大会。

こうしたFIFAとのパートナーシップの他にも、2006年から続く「子どもたちのために、ともにエイズと闘おう。」
(Unite for Children. Unite Against AIDS)を訴える、FCバルセロナとのパートナーシップや、1999年に始まった、「ユニセフのための連携」(Unite for UNICEF)を合言葉にしたマンチェスター・ユナイテッドとのパートナーシップなど、サッカーという世界共通語を媒介にした、世界で困難な状況に置かれている子どもたちのためのパートナーシップは、世界各地で広がり続けています。

6月7日(月)から、東京・港区のユニセフハウスで開催中の『サッカーとユニセフ』展では、こうしたユニセフの取り組みをパネルで紹介。世界の有名サッカー選手が出演する、本展会場でしかご覧いただけないユニセフの公共CMも、期間限定で公開しています。

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