メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ソマリア:生きるための術を教える若者相談員

【2010年7月12日 ケニア・ナイロビ発】

© UNICEF Somalia/2010/Njoki
ソマリアのハルゲイサで開かれている「研究グループ」をまとめる若者相談者のムナ・アリさん。

ムナ・アリ・ヒルシさん(24歳)は、ソマリア北西部で、12歳から21歳までの若者たちの相談に乗り、ライフスキル(生きる術)を教えている、活発でやる気に満ちた若者です。

ヒルシさんは、20人の若者をまとめて、武力紛争や政情不安を背景に持つコミュニティで彼らが直面している問題についての活発な議論を促しています。こうした彼女の姿を見たり、彼女の話しを聞いたりすると、ヒルシさんが、かつては気が小さく内気だったとは信じられないことでしょう。

「以前は、とても内気でした。」ヒルシさんは、微笑みながらその当時のことを思い出して話します。「学校でも、何かに参加することはできませんでした。ひとりで市場にも行けませんでしたし、布で全身を隠していました。話すこともできませんでした。自分に自信がなかったのです。」

重要な情報

3月、ヒルシさんは、ハルゲイサで行われた「ライフスキル(生きる術)を基盤にした教育」についての2週間の研修に参加して、人生が変りました。

「ライフスキル(生きる術)を基盤にした教育」は、若者の自己認識力や問題解決能力の向上、対人関係を維持する力、リーダーシップを発揮する能力、意思決定力、効果的なコミュニケーション術、困難な状況へ対処する術を発達させることを目的としています。

約180人の若者が、コミュニティ内の他の若者と、お互いの知識を共有することを目的に、この研修に参加しました。参加者した若者は、5つの地域から集まっていました。

そのうち30人が、若者相談者として選ばれました。ヒルシさんもそのひとりです。

この研修で、ヒルシさんは自分自身に対する自信を高め、他の若者を助けるための技術を学びました。「全国放送のテレビの前でも、話すことができます」と、ヒルシさんは話します。「問題に関する人々の注意を喚起し、自分の意見を話すこともできます。」

選択肢の開拓
© UNICEF Somalia/2009/ Morooka
ソマリアの若者相談員が、知識やライフスキルを仲間と共有する研究グループの参加者のひとり、イブラヒム・ジャマさん(18歳)。

「ライフスキル(生きる術)を基盤にした教育」の相談者として、ヒルシさんは、若者自自身が決めたテーマを話し合う「研究グループ」を主導しています。ステートハウス国内避難民キャンプ内にある青少年センターで、ヒルシさんの研究グループのメンバーは、移住について話し合うことにしました。

ステートハウスには、3,200人以上の人々が暮らしています。その80パーセントは、11歳から24歳の子どもと若者です。そのうち、学校に通える金銭的な余裕がある子どもたちは、わずか10パーセント。若者たちは、多くの子どもたちが学校を退学しているのは、教育を続けるだけの余裕がないからだと説明しました。また、より良い生活を送るための唯一の希望は、移住であると考える若者もいました。

そのとき、ヒルシさんは、研究グループのメンバーに、不法移住に伴う多くの危険や、より良い生活のために若者たちが選択することができる、不法移住以外の方法やチャンスについても考察するように促しました。

若者の参加

「ライフスキル(生きる術)を基盤にした教育」プログラムは、若者が同世代の仲間たちから学ぶ機会を提供し、生活を向上させ、自己肯定感を高め、良く考えてから決定することができるように考えられています。

相談者として、ヒルシさんは次のように話します。「若者たち、特に女の子たちに、自信を持つように、そして、家族や国の決定にも参加できることを伝えたいと思います。このコミュニティでは、女の子が教育を受ける権利や参加する権利がないということが社会化されています。研究グループでの話し合いに参加して、私も自分の意見を話してもいいのだということを学びました。他の女の子たちに、彼女たちもこうしたことができるということを伝えていきたいと思います。」

日本政府からの支援によって、ユニセフは、ソマリア北部で2009年からこうした活動を開始しました。必要な知識を得てライフスキルを身につけることで、あらゆる形態の暴力、虐待、搾取の危険に若者が晒されることを防ぐべく、1万人の若者への支援を目指しています。

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る