メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

ウガンダ:遊牧民の子どもたちに希望を与える「移動教室」

【2009年12月14日 ウガンダ発】

© UNICEF Uganda/2009/Nybo
ウガンダ北東部のモロト地区ナマトワエの「アベクセンター」での勉強を終え、ノート代わりの小さな黒板を頭に載せて帰る子ども。

ウガンダ北東部のモロトでは、夜明け直後、まだとても朝早い時間にもかかわらず、ナマトワエの「アベクセンター」と呼ばれる、通常の学校に通えない子どもたちに代替的に基礎教育の機会を提供するセンターに向かう子どもたちの列が続いています。

この“学校”は木の下にあります。灰できれいな四角に描かれた線が“教室”。その線には“ドア”の場所も描かれ、子どもたちが、その“ドア”から続々と教室に入ってきます。

子どもたちは、2歳から10代後半まで様々です。年上の子どもたちの中には、幼い弟や妹を背中におぶって学校に通っている子もいます。

小さな女の子が、農家から小さな黒板を抱えてアベクセンターに通っています。この女の子は、“教室”の最前列で、その小さな黒板を木に立掛けて勉強していました。他の二人の子どもたちは、小さな黒板とチョークが入った箱を抱えています。この箱は、この“学校”で子どもたちに配られることになっています。

全ての子どもたちに教育の機会を
© UNICEF Uganda/2009/Nybo
アベクセンターで、黒板にノートをとる子ども。

ナマトワエは、モトロに設置された111箇所のアベクセンターのひとつです。こうした活動は、カラモジャの子どもたちの基礎教育を受ける権利を実現するために始められました。この地域で暮らす人々の多くは、遊牧で生計を立てています。このため、彼らの生活スタイルや経済活動は、家畜を中心に回ってきました。

「遊牧を生業とする人々は、常に移動しながら生活しています。ですから、学校を一定の場所に固定してつくってしまうのは、彼らの生活スタイルに合わないやり方なのです。」ナドゥンゲットにあるアベクセンターの運営・管理を任されているサミュエル・ロドゥクさんはこう話します。

こうしたことを背景に、カラマジョングと呼ばれる遊牧民の人々のニーズに合わせて作られたのが、いわゆる「移動教室」のアベクセンターなのです。授業は早朝に行われます。男の子たちは、授業が終わった後、草を食べさせるために牛を外に連れ出し、午後遅く家に戻ります。

より良い生活のための機会

「村を回り、親御さんに、子どもたちを学校に通わせるように説得しています。子どもたちがより良い生活を送るための機会を逃さないようにするべきです。」ナドゥンゲトでセンターの運営スタッフをしているローズ・ナクトさんは話しました。

ナンギロ・ロウヨさんは、ナクトさんのこうした活動で考え方を変えた一人です。彼は、父や祖父と同じように人生を牛の放牧だけに費やしてきました。しかし、子どもたちがより良い未来を築けるよう自分の幼い3人の子どもたちを学校に通わせることを決めたのです。

ユニセフの役割

ユニセフは、この移動学習センターの活動を応援するため、教材などがセットになっているスクール・イン・ア・ボックス(箱の中の学校)や、スポーツや遊びのための様々な遊具が入ったレクリエーションキットを提供しています。

また、全てのコミュニティから選ばれたアベクセンターの教員や運営スタッフの訓練も実施しました。英語と地元の「ンガカリモジョング」の言葉で作成された教則本が使われ、センターでは、読み書きと計算が教えられています。

「学校はとても大切です」と、ロウヤさんは話します。「教育は希望の光です。」

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る