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  • 子どもの権利条約の考え方

子どもは権利の主体

子どもの権利条約は、子どもは「弱くておとなから守られる存在」という考え方から、それだけではなくて、子どもも「ひとりの人間として人権(権利)をもっている」、つまり、「権利の主体」だという考え方に大きく転換させた条約です。子どもを権利の主体ととらえ、おとなと同様にひとりの人間としてもつ様々な権利を認めると同時に、成長の過程にあって保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めているというのが、子どもの権利条約の特徴です。

子どもの権利(child rights)とは、子どもの人権(human rights of children)と同じ意味です。子どもは生まれながらに人権(権利)をもっていて、それは、義務と引き換えに与えられるものではなく、また、何かをしないと取り上げられるものでもありません。

子どもの権利条約においては、子どもが「権利の保有者(rights holders)」であり、それを守る「義務の担い手(duty bearers)」は、国(おとな)です。国は、法律や政策などを通じて、条約に定められた子どもの権利の実現につとめます。また、条約には、子どもを育てる責任はまず親にあり、国がそれを支援するということも書かれています。

子どもの権利条約の
4つの原則

子どもの権利条約の基本的な考え方は、次の4つで表されます。それぞれ、条文に書かれている権利であるとともに、あらゆる子どもの権利の実現を考える時に合わせて考えることが大切な、「原則」であるとされています。これらの原則は、日本の子どもに関する基本的な法律である「こども基本法」にも取り入れられています。

差別の禁止 (差別のないこと)

差別の禁止(差別のないこと)

すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。

子どもの最善の利益 (子どもにとって最もよいこと)

子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)

子どもに関することが決められ、行われる時は、「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えます。

生命、生存及び
発達に対する権利 (命を守られ成長できること)

生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)

すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

子どもの意見の尊重 (子どもが意味のある参加が
できること)

子どもの意見の尊重(子どもが意味のある参加ができること)

子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。

※以前、ユニセフは「子どもの権利条約に定められている権利は大きく分けると4つ(生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利)」との説明をしておりましたが、現在はその説明を使用しておりません。

当サイトにおいても、過去の説明を残すことで、上記「4つの原則」とまぎらわしいこと、また、権利が4つしかないような誤解を招きかねないこと等の理由から、該当記述を削除いたしました。

子どもの「意味のある参加」

子どもの参加(子どもが子どもに関わる事柄について意見を表し、それがおとなに十分に考慮されること)は、それ自体が子どもの権利であるとともに、条約に定められた他の権利が実現するための大切な手段でもあります。子どもの参加の方法は、子どもの年齢や状況によって様々な形があります。参加する「場」、意見を言える環境、意見を聴くおとなの存在があり、そして、参加が実際の意思決定に何らかの影響を与えることによって、「意味のある参加(meaningful participation)」となることが大切です。子どもに関わる事柄とは、その子どもに直接関わることのみではなく、広く子どもに関わる環境や政策等も含まれます。

また、子どもが参加する際には、倫理面にも配慮する必要があります。国連子どもの権利委員会は、効果的で倫理的な参加のための基本的要件として、次の9つを挙げています。

①透明性、②任意、③子どもの尊重、
④関連性、⑤子どもにやさしい、
⑥包摂的、
⑦研修の実施、
⑧安全でリスクに配慮、
⑨説明責任(子どもへの報告)

おとなは、子どもが意見を表しやすいようわかりやすい情報を提供すること、また、意見を聴いた結果について子どもに報告することも大切です。

日本には、子どもに関わる政策に子ども・若者の意見を反映するための「こども若者★いけんぷらす」というしくみがあり、子どもの参加が積極的に進められています。