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日本ユニセフ協会
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「子どもにやさしいまちづくりシンポジウム」開催報告
「子どもにやさしいまちづくり連絡会」発足
2016年11月18日@ユニセフハウス

【2016年11月18日  東京発】

(公財)日本ユニセフ協会は、2016年11月18日、「子どもにやさしいまちづくりシンポジウム」を開催しました。また、「子どもにやさしいまちづくり連絡会」も発足しました。

ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」とは

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©日本ユニセフ協会/2016

11月18日、ユニセフハウスで開催された、子どもにやさしいまちづくりシンポジウムの様子。

ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」(Child Friendly Cities and Communities Initiative=CFCI)は子どもの権利条約を市区町村レベルで具現化する世界的な活動です。子どもとの距離が最も近い行政単位である市区町村が実践する事業です。その特徴は、当該市町村の人々がみんなでみんなの“まち”を作っていくこと、とりわけ、子どももまちづくりの主体、当事者として位置付けていることです。子どもに「やさしい」というのは、誰にでも「やさしい」ということです。地方行政の政策や法律、事業そして予算において、子どもの権利につき、どのように反映されているかがポイントとなります。子どもにやさしいまちでは、子どもたちがまちの活動に活発に参加し、彼らの声や意見が考慮され、まちの決定や手続き等に反映される事が大切です。

ユニセフ本部 マルタ・アリアス  「CFCIは非常にパワフルなツール」

ユニセフ本部 民間協力渉外局、マルタ・アリアス アドボカシー担当マネジャー。

©日本ユニセフ協会/2016

ユニセフ本部 民間協力渉外局、マルタ・アリアス アドボカシー担当マネジャー。

ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」は子どもの権利条約を市区町村で実現するための非常に有効なツールです。子どもの権利条約があっても、子どもにとって身近な行政単位である市区町村で生かすことができなければ子どもには届きません。この事業は行政、市民社会、経済界、子どもたち等が連携して行われることが重要です。子どもに「やさしい」とは子どもを権利の主体としても捉えることで、権利の客体としてのみ捉えることではありません。言い換えると、「子どもにやさしいまち」とは、子どもが、①子どもたちが望む“まち”の在り方に関して意見を言うことが出来る②教育や保健などの基礎的サービスの供与に預かる等です。こういった様々な要素が統合されたシステムが「子どもにやさしいまち」です。

ユニセフはこの「子どもにやさしいまち」を作るのに、その基礎となる9つの柱を提案しています。この9つの基本項目を満たすことで、「子どもにやさしいまち」ができるのです。ユニセフはこの事業を世界中でもっと広げるために「子どもにやさしいまちツールキット」を作成しました。その際、この事業を実践している国の調査を行いました。国の状況が異なるが故に取り組みは様々な型式でなされていますが、この基本の9項目についてはどの国でも適用していました。この活動を国内外の“まち”同士で連携したり深めたりするために、このツールキットを役立てて欲しいと期待します。9つの基本を既に実施している国がどのように取り扱っているのか、また、子どもへの影響評価をどのように実施すれば良いのかなど、「子どもにやさしいまちづくり事業」に参考となる事例が盛りだくさんです。このツールキットの活用を通じ、みんなで子どもにやさしいまちづくりの促進をして欲しいと思います。日本でも「子どもにやさしまちづくり事業」を広めて欲しいと思います。

北海道ニセコ町長 片山健也氏  「子どもも参加する住民自治の取り組み」

片山健也氏(北海道ニセコ町長)

©日本ユニセフ協会/2016

片山健也氏(北海道ニセコ町長)

ニセコ町は全国に先駆けて「ニセコ町まちづくり基本条例」を策定し、住民自治を制度化したまちづくりを行っています。町の行政を行う際に、住民と行政が情報共有し、住民が行政に参加するまちづくりを促進しているのです。そして、その条例の第11条では 「満20歳未満の青少年及び子どもは、それぞれの年齢にふさわしいまちづくりに参加する権利を有する」と規定し、子どもの参画を扱っています。子どもにやさしいまちづくりで、この点はとても大事なことです。町の会議は原則として全て公開し、透明性を高めた議会運営を行う事により住民が町政に積極的に参加しています。子どもたちも町政に関与します。例えば、子ども議会や子どもまちづくり委員会等の仕組みを通して色々な提言をしています。廃棄物の処分や節電、ゴミの分別等について子どもたちから提言がなされ、町議会で予算化される等、具体的な成果を生んでいます。こうして、子どもたちはニセコ町に親しみや誇りを持つようになってきています。そのせいか、まちの子どもの人口も大きく増加しています。

福岡県宗像市長 谷井博美氏  「教育現場を巻き込む子どもの権利浸透の取り組み」

谷井博美氏(福岡県宗像市長)

©日本ユニセフ協会/2016

谷井博美氏(福岡県宗像市長)

宗像市には、「宗像市子ども基本条例」があり、子ども・子育て支援施策の根幹となっています。子どもたちの意見を取り入れるため、子どもとの座談会や、民間団体との意見交換等を経て、全会一致で可決されました。この取り組みでは教育現場との関わりが大切です。教職員に子どもの権利を正しく理解してもらい、子どもに正しく教えることは学校の大事な役割です。このため市の組織改編も行いました。教職員研修前は、「こんな授業、何でしないといけないのか」「だいたい、子どもの権利を教える前に、まずは、義務とかやるべきことを教えないけんやろ・・・」と言っていたのが、研修後は、「ちゃんと教育課程に位置付けて、学校として取り組むべき内容」である、「子どもの権利や子ども基本条例は、子どもたちが学ぶよりも、先生や保護者に学んでもらわないといけないね」と、変わりました。すべての教職員が、正しく子どもの権利を理解し、子どもの気持ちをしっかり受け止め、子どもの最善の利益を保障できれば、学校は、すべての子どもの居場所になるでしょう。

奈良県奈良市長 仲川げん氏  「ユニークな条例制定を通じた子どもにやさしいまちづくり」

仲川げん氏(奈良県奈良市長)

©日本ユニセフ協会/2016

仲川げん氏(奈良県奈良市長)

仲川市長は、子どもの参画を社会の中でどう実現するのかをライフワークの一つとして位置付けています。そうではあっても、市長一人がそれを声高に叫んだところで市という大きな行政は動かないし、市民一人ひとりには伝わりません。この現実を見据え、「まちづくり」に子どもの視点も反映されるには、行政だけでなく、市民、地域社会等を含んで広く検討がなされる事が大切でした。そうした討議を通じ「まちづくり」をどのようにしていくかという共通の概念として、子どもの視点も認識され、「奈良市子どもにやさしいまちづくり条例」の制定につながりました。子どもたちが参加できるまちづくりを明確にするために、これまでにないほど時間をかけこの条例が制定されました。条例を作ってそれで終わりではなく、条例を作る過程を市民と共有することが重要でした。子どもにやさしいまちづくりを進めていこうとしていることを、大人にも子どもにも認識してもらい、共通の未来観を持ってもらうことが大切なのです。こうした共通認識が今後の展開に有効となります。 

パネルディスカッション(司会:千葉大学大学院教授 木下勇氏)  「日本でももっと『子どもにやさしいまちづくり』を」

パネルディスカッション の様子。司会は木下勇氏(千葉大学大学院教授) 。

©日本ユニセフ協会/2016

パネルディスカッション の様子。司会は木下勇氏(千葉大学大学院教授) 。

日本での「子どもにやさしいまちづくり事業」の第一人者である、木下勇教授の司会でパネルディスカッションが行われました。

社会の持続的発展のため、「未来を担う存在」としてのみならず現行社会の構成員の一人として子どもを位置付けた施策の導入と実施を世界中に呼びかける「子どもにやさしいまちづくり事業」が始まってから今年で20年。ユニセフは、改めてCFCIの実践に役立てることを目的に「ツールキット」を作成するとともに、日本でもこのキットを活用し「子どもにやさしいまちづくり事業」の推進を図ろうとしています。「子どもの権利」を否定的に捉える日本の状況にあって、この取り組みをどのように展開すると良いのか、パネルディスカッションのなかでも、建設的な提案がなされました。

厳しい環境を乗り越えて、日本でも子どもの権利に関する条例等を制定し、活動を促進する自治体が増えて来ているのは、この取り組みが受け入れられて来ている証拠です。子どもたちが、子どもの時に自分たちの権利を正しく理解し、発達に応じた形で社会や地域に関わり、“まち”はみんなで作るという意識を持つことが大切です。これにより大人になった時に権利の考え方が定着します。様々な価値観が存在する豊かな社会を持続するべく子どもにやさしいまちづくりを日本でも推進してきましょう。

「子どもにやさしいまちづくり連絡会」が発足

ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり連絡会」とはすべての子どもの健やかな成長を図るため、子どもにやさしいまちづくり事業に関心を持った市区町村から構成される横の繋がりです。子どもにやさしいまちづくりを推進するための情報や課題知見等を共有し、日本型の子どもにやさしいまちづくり事業の促進を目指しています。私たちの社会で子どもも枢要な位置を占める一員として認められ、子どもにとって暮らしやすい社会、すなわち皆にとって暮らし安い社会を促進する市区町村の連携の場です。事務局は日本ユニセフ協会が担います。


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