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財団法人日本ユニセフ協会




アフガニスタン緊急・復興支援 第7報
完全母乳育児の普及を進めるユニセフ

【2009年8月3日 アフガニスタン発】

© UNICEF Afghanistan/2009/Walther
世界母乳育児週間がスタートした8月1日、アフガニスタン・カブールのマラリ病院で生まれた女の子。

「赤ちゃんに飲ませるだけの十分な母乳が出ないんです。」 生まれたばかりの赤ちゃんを母乳だけで育てられるかを尋ねられたアルゾさん(20歳)は、こう答えました。

「看護師さんたちは、赤ちゃんに母乳だけ与えるようにと言います。出産後病院にいる24時間以内に、赤ちゃんの抱き方や私自身が摂るべき食事の内容などを教えてもらっています。でも、母乳がたくさんでなかったらどうしたらいいでしょう?」アルゾさんは話します。

アフガニスタンの他の多くの女性と同じように、アルゾさんも赤ちゃんに母乳を与えることをためらっています。8月1日から始まった世界母乳育児週間は、子どもたちが人生の良いスタートを切ることができるようにする機会を世界のお母さん方から奪っている“迷信”を払拭することを目指しています。

お母さん方への支援
© UNICEF Afghanistan/2009/Walther
カブールのマラリ病院で、アルゾさんの赤ちゃんを抱く看護師。病院では、生まれてから一年間は完全母乳育児を実践することを奨励している。

過去数年間で、生後一年間は母乳だけで赤ちゃんを育てたいと望むアフガニスタンの女性のための組織的な支援体制が整備されました。病院が、母親たちにこうしたサポートを提供する唯一の場所ではありませんし、あるべきではありません。しかしながら、病院は、出産の“前”と“後”にお母さん方が必要とする重要な支援を継続して提供することができる施設の一つなのです。

2007年、ユニセフ・アフガニスタン事務所は、子どもと妊産婦の命を守るための試験的事業をスタートさせました。この中で、生後一年間母乳だけで赤ちゃんを育てること=完全母乳育児は、非常に重要な要素です。

この事業では、お母さん方が幼い子どもたちに必要なだけ母乳を与えられる環境と、お母さん方自身が十分な食事と休養を取れるような環境を、家族が整えることを奨励しています。また、コミュニティの中で、完全母乳育児を妨げるような習慣や考え方などがないか、コミュニティの住民自身が考え、そうした問題を克服できるよう支援しています。

赤ちゃんに優しい病院

こうした取り組みと目的を共有する取り組みの一つが、ユニセフと世界保健機関(WHO)が全世界で展開している「赤ちゃんに優しい病院イニシアティブ」(BFHI)です。BFHIでは、母乳による育児の推進のために、最適な支援を行っている病院や助産施設を「赤ちゃんに優しい病院」として認定しています。

「赤ちゃんに優しい病院」は、母乳育児を実践しているお母さん方に、赤ちゃんにうまく栄養を与えるために必要な情報と技術を提供し、続けていくための自信を与えています。現在、世界中で1万4,000以上ある赤ちゃんに優しい病院では、母親と生まれたばかりの赤ちゃんが常に一緒にいられるように配慮され、生まれてすぐに母乳による育児が始められています。

アフガニスタンには、現在、カブール、ジャララバード、ヘラートの4つ病院が「赤ちゃんに優しい病院」として認定されていますが、今年中に、更に4つの施設が設置・認定される予定です。

一年間の母乳育児

アルゾさんは、そうした病院のひとつ、首都カブールのマラリ病院で出産しました。アルゾさんは、今のところ赤ちゃんに母乳しか与えていませんが、義理の母親のファティメさんは、彼女が家に帰ってから母乳の代わりにと、粉ミルクを買ってきてしまいました。

「子どもに母乳を与えるには、彼女は貧弱すぎます。母乳を与えて彼女の体力がなくなってしまったら、家族の面倒を見ることができますか?」 ファティメさんは、その理由をこう説明します。

一方、ハフィザさん(25歳)の場合は、全く違う状況です。「この子は次男です。長男と同じく、一年間、母乳だけで育てるつもりです。私の母親は6人の子どもを産みました。母も皆、母乳で育ててくれました。」ハフィザさんは話します。

「村には、粉ミルクを買う場所がありません。もしあっても、とても高くて買うことができません。」ハフィザさんは笑顔でこう付け加えました。

8月1日〜7日は世界母乳育児週間です。
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