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財団法人日本ユニセフ協会




UNICEFアフリカ緊急支援情報[緊急募金を受け付けています]

◆ナミビア緊急報告2004年4月6日◆

1.緊急事態概要

image1  アフリカ南部に位置するナミビアでは、3年におよぶ干ばつと22%まで上がったHIV感染率によって、特に5才未満の子どもたちやエイズ孤児など弱い立場にある人々の栄養・健康状態は厳しい状況にあります。特に、干ばつの影響を最も受けている5つの地域は、貧困に苦しみ、HIV感染率が高く(カプリビ43%、オシャナ30 %、オムサティ28%、カヴァンゴ22%、オハングウェナ19 %)、マラリア患者数も増加しています。

 外国からの資金協力の目処が立たず、国内資金だけでは緊急の需要に十分に応えることができない状況で、政府は、2003年11月に国際干ばつ報告をまとめ、食糧支援を呼びかけました。現在はまだ雨季が始まったばかりで5月の収穫期までにはまだ時間があるため、依然として食糧難は続いており、人々の栄養状況は悪化する一方です。

 国際的に栄養不良緊急事態と認められている数字が10%であるのに対し、最近の国連の調査では、ナミビアの5才未満児栄養不良率は15%でした。また、ナミビア健康人口統計調査(NDHS)によると、5才未満児の23%は発育不全、26%が低体重、9%以上が衰弱していると報告されています。以上のデータからも、数年来の干ばつと、貧困およびHIV/エイズによる影響を窺い知ることができます。

2.ユニセフの活動

 ユニセフは、国連世界食糧計画(WFP)と協力して、食糧危機への緊急支援を行なっています。さらに予防接種、マラリア対策、栄養状況調査、緊急事態に対応可能な保健制度の構築など、重要な保健事業への支援を呼びかけています。ユニセフは、ポリオ撲滅や予防接種、小児疾病の総合管理(IMCI)、マラリア抑制と予防、HIVの母子感染予防(PMTCT)など現在進行中の保健・社会事業省への支援を基盤に、さらに保健・栄養分野の支援活動を強化していきます。

 ユニセフは、もっとも被害を受けやすい子どもや女性50万人を対象に、半年間の支援活動を行いますが、それには栄養状況調査や、はしかの予防接種、ビタミンAやマラリアを防ぐ蚊帳、薬の配給などの予防事業を含んでいます。また、WFPの緊急活動を補完するため、ユニセフは栄養調査システムの構築や、特に栄養状態の悪い子どもたちを対象とする栄養補給支援も行ないます。さらに保健、栄養いずれの分野においても、中心となる保健員に対する緊急対応や深刻な栄養不良の管理に関する研修が実施されます。これらの活動は、WHOによるコールドチェーンシステム調査などの保健・社会事業省への支援や、UNDPによる国連ボランティアを活用した緊急管理部門への支援などにより、さらに強化されます。

 HIV/エイズに関しては、従来の予防とケア、定期的な母子保健プログラムを基盤に展開されます。HIV/エイズプログラムへの資金はこれまで活用されてきているものの限られており、カウンセリング、在宅ケア、母子感染予防などを含む保健制度の改善のためには未だ資金が不足しています。また、必要なHIV/エイズのケアは多岐にわたるため、マラリア対策、下痢の予防など通常の予防・医療サービスに影響を及ぼしています。ナミビアは、広大な土地に人口が分散しているため、サービスを行き渡らせるための最大の課題は、遠隔地への交通整備です。特に、交通網整備は、カプリビなど毎年2、3ヶ月間にわたって洪水の被害を受ける地域のためにも重要です。

3. 見込まれる成果
 ユニセフの包括的目標は、保健・栄養問題の解決と病気感染の予防であり、特に以下のようなことが焦点となっている。

  • 特に女性と子どもなど、最も深刻な被害を受けている人数の確認を行い、栄養状況調査や予防接種事業の評価などを通じてニーズへの理解を深めること。
  • はしか、マラリアや他の感染症の発生予防。
  • ワクチンや、必須医薬品、その他予防のために必要なものの提供。
  • 栄養不良の子どもに対するケースマネジメントの改善とリハビリテーション。
  • 最も深刻な被害を受けている地域の人々に対する栄養改善と5才未満児の栄養状態のこれ以上の悪化を防ぐこと。

4. 必要資金額
 干ばつ政府により緊急の干ばつ対策などへの支援のため、ユニセフは今後半年間の資金として合計616,000ドルの支援を呼びかけています。

2004年9月までの必要資金額

分野 必要資金額(米ドル)
保健 250,000
栄養 140,000
輸送 90,000
研修と管理 86,000
モニタリングと評価 50,000
合計 616,000