財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ東部:大洪水がもたらした深刻な被害

【2006年11月14日、ニューヨーク発】

© UNICEF /HQ06-1425/Heavens
洪水によって家を失った人々が生活するウォルケ・メダ避難民キャンプで、ボロボロのブランケットに包まって寒さをしのぐ男の子。エチオピアの北アンハラ地域、タナ湖畔にて。

【2006年11月14日、ニューヨーク発】 アフリカ東部で最近発生した大規模な洪水により、何万人という人が家を失い、多くの死者が出ました。特にソマリアでの被害は非常に深刻なもので、国境を接するエチオピアやケニアでも被害が出ています。

今回の洪水では、ソマリア中部から南部にかけて流れるジュバ川とシャベレ川が決壊し、大量の水があふれ出ました。また、洪水はシャベレ川が流れているエチオピアとケニアでも大変な被害をもたらしました。

「現在、洪水で被害を受けた人々への人道支援を進めるにあたって、いくつかの障壁があります。」ユニセフの緊急支援担当官スーザン・ンゴンギ氏は、多くの橋や道路が洪水によって押し流されてしまったことを指摘しました。

また、ンゴンギ氏は、ソマリアでの支援活動にいたってはさらに難航している、と話します。「今回の洪水によって被害を受けたのは、これまでにも災害や紛争の影響を受け特に支援が必要な地域でした。ここ最近も武力衝突が多発しており、不安定な情勢が続いています。」と、ンゴンギ氏はいいます。「治安が悪いために、現地での支援活動は、ごく少数のスタッフによって行われています。」

悪化する健康状態

洪水によって被害をうけた地域では、数千人もの貧しい農民世帯が寒さに耐えながら野外で寝泊りしており、マラリアや他の感染症の危険に晒されています。支援関係者は、この状況を非常に危惧しており、今後の死者数の増加を懸念しています。

© UNICEF/HQ06-1431/Heavens
洪水によって水没した、エチオピアの北アンハラ地域にあるタナ湖周辺のアビアボ村。今回の洪水で、2000人以上が村から高台への避難を余儀なくされました

例えば、ケニア北部では、多くの避難民が生活するダーダブキャンプが洪水によって隔離され、キャンプでの健康状態は悪化の一途をたどっています。

「保健の分野に関しては、特に不衛生な水を介しての感染症の拡大が懸念されます。コレラ、赤痢、急性の水様下痢(重症の下痢性疾患)などの流行が考えられます。」と、ンゴンギ氏はいいます。

洪水の発生により、多くの避難民が発生し、トイレや安全な水の供給源が破壊されたことで、感染症が流行しやすい状況になっています。ユニセフとパートナー組織は洪水によって被害を受けた地域に安全な水を提供する活動を行っています。

辺境地への支援

キャンプ内の折畳式トイレが洪水によって破壊されたダーダブ避難民キャンプでは、下痢による脱水症状に対処するために、ユニセフが緊急支援保健キットに加えて、浄水剤や経口補水塩を提供しています。また現在、世界食糧計画(WFP)によって、空輸による緊急の食糧支援が行われています。

同様の取り組みは、エチオピア、ケニア、ソマリアの広い地域で行われています。

「これら3カ国に対して、ユニセフはパートナー組織と協力して、水や衛生に関する物資などを中心とする食料以外の支援物資や、子どもたちのために栄養強化ビスケットのような調理不要の食品を提供しています。また、エチオピアの多くの被災地域で、ユニセフは移動式診療所を支援しています。」

依然として、辺境の被災地で生活する子どもや家族への支援活動は、物資輸送の面で大きな課題を抱えています。時には、ヘリコプターや船による輸送が辺境地に物資を届ける唯一の手段になることもあります。しかし、ンゴンギ氏が指摘するように、このような輸送方法は、陸送の場合に比べて、非常に費用がかかります。