財団法人日本ユニセフ協会



カメルーン:チャド難民3万人に緊急支援
ユニセフ、国際社会に支援を要請

【2008年2月13日 ヤウンデ、ジュネーブ、ニューヨーク発】

チャド地図

今月3日、チャドの首都ンジャメナで発生した武力衝突からカメルーンへ逃れた人々は約5万人。ここ2日で数百人の「帰国」が確認されましたが、難民の大半は極めて厳しい環境の難民キャンプに留まっています。

今日現在、難民約3万人が、チャドとカメルーンを隔てているチャリ河を渡ったカメルーン北部のクーセリとその周辺地域に逃れており、特に困難な状況におかれています。もし今後数日から数週間の間にチャドの状況が再び悪化すれば、難民の数は更に増加することが予測されます。今週月曜日現在、反乱軍はチャド東部に移動したと報じられています。

こうした難民の大半は子どもと女性です。ほとんどがンジャメナから徒歩でカメルーンに逃げたため、身の回りのものは、ほとんど持ち合わせていません。毛布や飲料水、食べものや食器、衣類、そしてお金にも事欠いています。トラウマを抱えている人も少なくなく、また、栄養失調状態の子どもも既に確認されています。ンジャメナから逃げる途中、混乱の中で親と離れ離れになった子どももいます。急性弛緩性麻痺(AFP)の症例も1例見つかりました。分析の結果を待たなければなりませんが、ポリオも確認されるかもしれません。もともと子どもの予防接種率が低く、クーセリの難民キャンプの極めて不衛生な環境を考えれば、難民の間に、はしかや髄膜炎、ポリオ、コレラなどが流行する危険性は極めて高いのです。

難民キャンプの様子

現在、難民は国境の橋に近い2箇所のキャンプに仮住まいをしていますが、国境にあまりにも近いため危険と判断されるため、国連は、1週間以内にクーセリから32Kmあまりのマルタムに準備している、10万人を収容できる新たなキャンプに難民を移動させる予定です。

最大の被害者は子どもと女性です。クーセリでは、寒さや飢え、心の傷や感染症の恐怖に苛まれています。生きるために必要な緊急支援を必要としています。 生活に必要な最低限の設備もない場所で、野宿を強いられる難民たち。彼らが現在置かれている潜在的な危機的状況は、食料や水、テント、毛布やワクチンなどの緊急人道支援の一刻も早い展開を求めています。女性と子どもの保護のため、様々な支援団体の間の連携も必要です。

ユニセフをはじめ、現地で活動する国連機関や国際NGOは、この危機に迅速に対応するため、カメルーン政府と密接に連絡を取り合っています。また、緊急人道支援活動に必要な資金の一部を、国連の中央緊急対応基金(CERF)から工面する準備も始めました。ユニセフも、水や衛生、予防接種、栄養失調児のケア、妊産婦と新生児のケア、そして、心のケアを念頭に置いたレクリエーションと教育支援活動に必要な資金の本基金からの拠出を求めています。

しかしながら、仮に国連の中央緊急対応基金からの拠出が、ユニセフの要請通りに認められたとしても、それが、ユニセフが今回必要としている資金が全て賄われるわけではありません。刻々と変化する現状に迅速に対応するため、また、中長期的に必ず必要となる支援が続けられるように、ユニセフは、国際社会に対し、186万ドル(約2億円)の支援を求めています。