財団法人日本ユニセフ協会




コートジボワール:ユニセフ、避難民たちに緊急支援物資を空輸

【2011年4月18日 コートジボワール/ ドゥエクエ、マン発】

「ドゥエクエは、コートジボワールの中でも西部のほうにある町です。なんとかして、普通の生活に戻りたいです」と語るのはイブラヒムさん(39歳)です。8人家族を率いる一家の大黒柱。コートジボワール西部の町マンにある、避難民のための保護センターにやっとのことでたどりつきました。

「食べ物を火にかけたまま、家を逃げ出しました。カラシニコフの銃声がほうぼうで鳴っていました。私と妹、妊娠中の妻、そしてあそこにいる子どもたちとで、25キロ歩いてここまでやってきました」彼が指差した先には、小さな子ども3人と十代の子ども2人がいました。「食べるものと保健面でのケアが必要です。なんとか生活していかないと」

状況は逼迫したまま
© IRIN/Nancy Palus/2011
食料配布券を持って並ぶコートジボワールのドゥエケエにある避難民キャンプの子ども

政治的な混乱が始まり、西部地域と主要都市のアビジャンで闘いが始まって4カ月。選挙後の混乱と、闘いの暗雲はやっと、少しずつ晴れ、正常化への道を歩み始めたかのようです。

ローラン・バグボ前大統領が拘束されたとはいえ、人道的状況はまだ正常化していません。混乱を避けて逃げた人の数は75万人。15万人は隣国リベリアに逃げました。逼迫した状況の中、アビジャンでは2週間にわたって、500万人が家から出られない状況が続きました。食料、水、保健ケアも受けられない状態だったのです。

西部では、イブラヒムさんの家族のように避難民となっている人たちの状態が気になります。特に、マン、ギジオ、ダナン、そして特にドゥエケエなどの人々の状況が懸念されます。ドゥエケエでは、サッカー場2つ分にも満たないカトリック教会の所有地に、27,500人が避難しています。「人が多すぎて心配です」とシプリーン・アフネ神父。避難民たちのニーズを満たすために、彼は、ユニセフ、そのほかの人道支援団体と協力して、奮闘しています。

ユニセフが今最も心配しているのは、はしかや下痢性疾患などの感染症です。

「2万人ほどが急激に入ってきたので、避難民キャンプの対応が追いつきません。人道支援団体はみんな頑張っているのですが、きれいな水が手に入らず、衛生的にも問題があります。この状況を改善するには、避難民を収容する新たな避難場所が必要です」とユニセフで、水と衛を担当するバシール・ジェヂロさんは言います。

一触即発の緊張状態

ユニセフとパートナー機関は、避難民キャンプに、毎日15万リットルの水を提供するため、奮闘しています。これは、今日までに設置された80基のトイレを維持するためです。しかし、これではまだまだ不十分です。

「人が最低限必要とする水を確保するためには、水にして今の2倍、トイレの数としては400基以上を設置しなければなりません」と説明するのは、西・中央アフリカ地域の水と衛生を担当するフランソワ・ベレさんです。

「1,000人までなら、どうにか対応ができます。でも、今の状況を考えると、ほかの場所に人を移す必要があります」とアフネ神父。

故郷に帰る決意ができた人はほんの少ししかいません。多くの人たちは、場所によって情勢が不安定であることを心配しています。その地域出身の人たちと話をするだけで、部族間の緊張を感じ、不安を覚えているようです。州知事と地域の当局者たちは、新たな避難民キャンプの候補地をみつけました。また、ユニセフ、そのほかのNGO(民間組織)も、新しいキャンプで、基礎的なサービスが提供できるよう準備を進めています。

ユニセフ:支援物資を空輸
© UNICEF Denmark/2011
コートジボワールへの第一便の空輸物資を積み込むユニセフ・デンマークのスタッフ。4月16日に到着予定だ

医薬品や医療スタッフが不足し、政治的な混乱により物流がうまく流れない中では、保健ケアの提供が難しくなっています。

「咳と熱とで、ふたりの孫が、先週、避難民キャンプで寝込んでしまいました」と語るのは一家の真中に座るテヘ・フィエ・エルネストさん(72歳)です。ほかの孫たちが寝ているのを見守っています。「この子は弱っていて、1週間の間、何も口にしていません。でも、先日、キャンプで薬をもらうことができたので、少しは良くなるのではないかと期待しています」

ひとつ朗報が入りました。何週間かぶりで、ユニセフは、60トンに及ぶ医薬品、栄養、教育、水と衛生に関連する物資を、コートジボワールに空輸することができました。

「アビジャンに届けるのは依然難しい状態ですが、少しずつ、必要とされる支援物資がみなさんにも届くようになっています」とユニセフ・コートジボワール事務所のエルベ・ルドヴィック・デリ代表。

チャーター機は、4月16日に、アビジャン、西部の町マン、中央部のブアケに到着する予定です。