公益財団法人日本ユニセフ協会




コートジボワール:何十万人もの子どもたちが学校に戻る

【2011年5月11日 コートジボワール/マン発】

© UNICEF/NYHQ2011-0586/Asselin
コートジボワールの西部の村ブルルで、学校の授業を受ける子どもたち。学校が再開されたものの、教師は3分の1しか戻ってきていない。

アンジェ・ミチェル・クゥアクさん(13歳)は、コートジボワールの街アビジャンのクマシ地区での学校再開第一日目を楽しんでいます。彼女は、家のそばで起きた暴動を逃れ、一時避難していましたが、最近、また家に戻ってきました。ここ2ヵ月の間、混乱の影響が少ないコートジボワール東部にある父親の故郷に避難していたのです。

ところが、家に戻ってみると、家財はほとんどなくなっていました。学校の教科書も、持ち物もなくなっていたのです。昨年11月、コートジボワールの大統領選挙後に混乱が起き、約100万人の子どもたちがその影響を受けました。

今のところ、全国で、70万人以上の子どもたちが、どうにかこうにか学校に戻ってきました。しかし、農村部を中心に、授業を再開できない学校も多く、20万人の子どもたちがまだ学校に行くことができていません。

場所によっては、いまだ混乱が続いており、子どもたちも、治安が悪いために怖くて学校に戻りたがりません。「子どもたちが学校に戻ってくれるのを待っているのですが、安全だと感じないのでしょうか、来てくれません」と説明するのは、ガビン・ゼラビ・ツブイさんです。アビジャン郊外のアブブの町にあるフェング小学校の校長先生です。

ツブイさんとそのスタッフは、すでに戻ってきた子どもたち数人のために授業を再開するつもりでおり、もっと多くの子どもたちが学校に帰ってくれることを願っています。「子どもたちには、学校が再開したことを親たちに伝えるように言ってあるんです。そうしたら、口伝えでその情報が伝わると思いまして」

元の生活
© UNICEF/NYHQ2011-0586/Asselin
コートジボワール西部の町ロゴアレにある、ユニセフ支援の「子どもに優しい空間」では、食事、レクリエーション・キット、学習の場を提供しています。

子どもたちを学校に戻すために、ユニセフは50万組のスクール・キット(文具・教材キット)や教育キットを配布し始めました。「多くの子どもたちは一時期避難を余儀なくされました。そして、自宅に戻ってきても、自宅が荒らされて何も残っていない状態だと言います」と語るのは、ユニセフ・コートジボワール事務所のジルベルト・イェブレ・アマリ教育担当官です。「こういうときに役立つのがこうしたキットで、自信を取り戻し、学期末までに元の生活に戻ってもらえれば、と思います」

ユニセフの目的は、100万人近い子どもたちを、なるべく早く学校に戻すことにあります。西部では、今回の混乱に村々が大きな影響を受け、学校の80%が被害を受けています。多くは略奪に遭い、ほとんどの学校では、机と椅子が暴徒化した人々によって燃やされ、なくなってしまいました。授業が再開されたところは、教室が子どもたちで溢れかえっています。

子どもたちが戻った学校でも、教師が不足しています。ミシェル・テヘ・セルーさんは、コートジボワール西部にあるブルル村の学校の校長兼教師です。ここ1ヵ月、ひとりで200人の生徒を教えています。「一番大変なのは、授業の始まりのときです。全員を座らせて、静かにさせるだけで苦労します。6クラス受け持っていますからとても疲れます。でも、子どもたちも協力してくれるし、学校に来られるだけで嬉しいようです。私自身もそうですしね。でも、できれば、ほかの教師たちにも早く戻ってきて欲しいです」学校には、まだ教師の3分の1しか返っていないと言います。

コートジボワール国内で、ユニセフは教師の研修と採用を行い、コミュニティには、子どもと教師たちを早く学校に戻すよう説得しています。