公益財団法人日本ユニセフ協会




アンソニー・レーク事務局長 声明を発表
サヘルで子どもたちの緊急事態

【2011年12月22日 ニューヨーク発】

国際社会が行動を起こさなければ、2012年、アフリカ西部・中部に位置するサヘル地域の推定100万人の子どもたちが、重度の栄養不良に陥る恐れがあります。

サヘル地域の8ヵ国が、子どもたちの緊急事態に見舞われているのです。雨不足と不作により、早ければ3月には作物の収穫が少なくなり始め、食糧備蓄が底をつく国もあることが懸念されています。

家庭での食事の量が減ったり、摂れる栄養が限られてしまうと、特に幼い子どもたちには大きな影響があります。多くのサヘルの子どもたちは、以前から栄養不良に苦しんでいるため、こうした状況で、さらに危険な状態に陥ってしまうのです。既に、重度の栄養不良児の割合が、危険域を上回っている地域もあります。

特に、すぐに食べられる栄養補助食は、重度の急性栄養不良に陥っている5歳未満の子どもたちの命を救い、体力を回復させる最善の方法のひとつです。いま我々に課せられている最大の課題は、危機的状況にある子どもたちのために、今後数ヵ月間でニーズの増加が見込まれているこうした必須栄養食品を十分に確保することです。

© UNICEF Chad/2011/ Esteve
チャドにある治療用の食事センターで、母親に手を握られる重度の栄養不良の子ども。

サヘル地域の人道危機の拡大を食い止めるため、ユニセフは、パートナーと共に、手遅れになる前に、この地域に緊急救援物資を急送しなければなりません。

2010年、支援者、政府、人道支援団体の熱心な活動によって、サヘルでの大惨事を免れることができました。私たちは、もう一度、力を合わせてこの難局に立ち向かうことができるはずです。そして、私たちは、いま動き出さなくてはなりません。なぜならこの地域は広く、課題は山積みであり、解決の糸口はまだ見つかっていないのです。

いま、危機に瀕しているサヘルの子どもたちは、人道危機の規模を示す単なる統計数字ではありません。ひとりひとりの女の子であり、男の子であり、彼らはみな生きる権利や育つ権利、社会に貢献する権利をもっています。こうした子どもたちの権利を奪うことは、許されることではありません。