公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第90報
みなさまのご支援で−85万人の子どもたちが、
ユニセフの支援で命を繋ぎとめました

【2012年12月11日 ダカール/ジュネーブ発】

昨年から深刻な干ばつの影響を受けてきたサヘル地域の9ヵ国で、本年末までに、85万人以上の重度の栄養不良の子どもたちの命が、みなさまのご支援で守られる見込み・・・ユニセフは、12月11日に発表した、サヘル一帯の干ばつ被害地域に関するレポートで、こう報告しました。

この85万人超という数字は、今年1月から9月末までの間に、この地域の保健センターなどで実際に治療を受けた5歳未満児が73万人にのぼったことを元に算出されたものです。

昨年12月、ユニセフは、110万人の子どもたちが重度の栄養不良に陥り、特別な治療が必要になる恐れがあると、警鐘を鳴らしました。そしてユニセフは、現地の各政府や他の国連機関、人道支援団体など協力し、各国政府や各国のユニセフ協会(国内委員会)を通じてみなさまからお寄せいただいた資金や募金に支えていただき、サヘル地域で、こうした内容のものとしては史上最大規模の人道支援活動を展開しました。

本レポートは、スイス政府、ドイツ政府、欧州連合、米国国際開発庁といったドナーからの早い段階で拠出された資金によって、すぐに口にできる栄養治療食などの重要な支援物資を、早い段階で仕入れ、備蓄しておくことが可能となったと伝えています。一方、今年は、マリで武力紛争や政情不安が起こり、また大洪水も発生し、近隣諸国に多くの人々が避難を余儀なくされる自体が発生するなど、(人道支援活動の展開には)大きな困難もありました。

© UNICEF/NYHQ2012-0465/Brandt
モーリタニアのゴリゴリ州南部にあるユニセフが支援している保健センターで、重度の栄養不良の男の子を抱え、スタッフに付き添われながら歩く母親。

「この地域で行ってきたこれまでの支援活動の経験から、ユニセフは、全ての子どもに支援を届けるためには、深刻な問題に直面せざるを得ないということを知っていました」「(昨年暮れに心配していた規模の)大惨事は避けられました。しかし、これに甘んじるべきではありません。いまだに、予防可能な原因で命を落としている子どもたちがいるのです」 ユニセフ西アフリカ地域事務所のマニュエル・ フォンテイン代表代行はこう話し、次のように続けました。

「また、今年の経験は、苦しんでいる子どもの人数を、私たちは常に過小評価している可能性があるということを教えてくれました。私たち一人ひとりが、地域の人々が、例え一度に複数の危機に見舞われても、それらに上手く対処できるようにするため、より抜本的な解決方法を真剣に検討しなければなりません」

© UNICEF/NYHQ2012-0249/Asselin
コミュニティ保健員から、高カロリーの栄養補助食の重要性について話を聞く親子。

サハラ以南の大部分の地域に雨が降り、作物の収穫高は上昇しています。しかし、今回の干ばつで家畜を失い、長期にわたり食糧価格の高騰にさらされてきた人々が、元の生活を取り戻すためには、少なくとも2年は必要です。また、例えおとなが十分と思う程の食糧が手に入れられるようになったとしても、それが、子どもたちの栄養不良問題の解決に必ずしも直結しないという事実もあります。栄養不良状態の子どもたちは、栄養を吸収する力も損なわれてしまっているため、継続的な治療・ケアが必要なのです。

「残念ながら、重度の急性栄養不良を予防できるワクチンはありません」「サヘル地域では、非常に貧しい家庭の多くの子どもたちが、常に生死を左右する負の連鎖に直面する可能性にさらされています。今年、こうした状況に陥った全ての子どもたちが治療センターで適切な治療を受けられるようになり、大きな成果をあげました。しかし、さらに強固なシステムを確立し、治療センターにやってくる子どもたちの数そのものを大幅に減らす必要があるのです」(マニュエル・フォンテイン代表代行)