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財団法人日本ユニセフ協会




バングラデシュ・サイクロン第6報
ユニセフ、被災した子どもと女性の支援のために
約3,000万ドル(約32億円)の支援を要請

【2007年11月27日 ダッカ発】

  • 最新の政府からの情報によると、700万人が被災し、半数が子どもです。
  • 260万人が緊急の支援を必要としています。
  • 100万戸の家が損害を受け、36万6千戸が全壊しました。

1. 被害状況

© UNICEF/HQ07-1812/Shehzad Noorani

11月15日夜(現地時間)、サイクロン「シドル」はバングラデシュ沖合の島を襲ったあと、沿岸部に上陸しました。風速は秒速66mにまで達し、約4mの波がサンドウィープ島を襲いました。全体で30県が被害を受け、現在までに3,000人の死者が確認され、島と沿岸部で未だに多数の行方不明者がいます。電気供給が止まり、家屋や公共施設、学校、道路が大規模な被害を受けています。

政府は、サイクロン上陸前から早期警戒・災害対策を発動し、約320万人を沿岸の15県から避難させました。被災した人々の大多数が家を失いました。366,000戸の家屋が全壊、845,000戸が半壊しました。被災者の約半数が子どもで、およそ60万人が5歳以下です。これから寒くなるにつれて、子どもや女性の生存のために緊急の支援が必要になります。小さな農村に援助を行き渡らせるには、未だ困難が伴っています。

2. ユニセフの対応:今後6ヶ月間の緊急支援と活動

ユニセフは、国の要請に応じて、水と衛生、栄養、保健、子どもの保護、食料以外の物資供給などの支援を行っており、特に水と衛生分野を主導しています。

水と衛生 (6,184,500米ドル)

緊急の課題は、今後6ヶ月間、次の雨季まで、安全な水と衛生設備へのアクセスを確保することです。ほとんどの給水設備とトイレが壊れてしまったので、被災した人々は安全な水へアクセスすることができずにいます。沿岸地域では、伝統的に池が水源となっていますが、それらは瓦礫や死体、海水で汚染されてしまったため、飲料水や家庭用の水に使うことはできません。ユニセフとバングラデシュ政府、国際機関は協力して今後6ヶ月間様々な水と衛生プロジェクトを行います。

  • 貯水容器の提供(既に11万個を調達)
  • 浄水剤の提供(730万錠を既に提供)、移動式浄水施設の設置、水源の清掃
  • 井戸や水処理設備の修理、新たな井戸の建設
  • 石鹸や衛生物資の調達、トイレの建設資材調達
  • 問題の調査、活動、評価、技術的ガイドラインの作成

保健(200,000米ドル)

被災した地域では、推定52万3千人が医薬品や医療器具、医療サービスを必要としています。人々は不衛生な水を介して伝染病にかかる危険にさらされており、ユニセフは政府の要請を受けて被害の大きい地域に医薬品や医療チームを送る予定です。また、長引く電力供給の停止によって、保冷が必要なワクチンなどの劣化が報告されており、はしかやポリオの再発生を防ぐ子どもの予防接種活動への影響も懸念されています。

  • 被災地への医薬品の配布
  • 医療チームの派遣とワクチンの保冷チェーンの被害状況調査、予防接種実施体制の再構築
  • 浄水剤、経口補水塩、注射に使う生理食塩水の供給
  • はしかなどの集中予防接種プログラム

栄養(13,500,000米ドル)

© UNICEF/HQ07-1849/Shehzad Noorani

食料、安全な水、医薬品の不足に加えて、農作物への被害が食料の価格を上昇させるとみられます。また、人々は大量の家畜も失いました。そのため、栄養不良率は増加傾向にあり、子どもと女性が病気にかかる率も高くなります。5歳未満の子ども、妊娠または授乳中の女性の栄養状態をこれ以上悪化させないよう、ユニセフはWFPによる食料配給を補完する形で、栄養価の高い補助食(BP5という高カロリービスケットや混合食)を提供します。これは5歳未満の子ども33万8,000人と、12万3,500人の妊娠/授乳中の女性を対象とします。

  • 46,000人の子どもと妊娠/授乳中の女性を対象に、92トンの高カロリービスケットを提供
  • 混合食の調達と配給
  • 完全母乳育児と適切な補助食による育児の促進と支援
  • 予防接種キャンペーンと連動したビタミンA補給
  • 栄養調査とモニタリングシステムの構築

教育(3,000,000米ドル)

© UNICEF/HQ07-1850/Shehzad Noorani

政府とユニセフの現地事務所からの情報によると、被害の大きかった9県で3,046の公立小学校が全半壊しました。全体で約1万以上の学校(公立校以外や中学校含む)が被害を受けたとの報道もあり、その多くは閉校してしまいました。ユニセフは、被災した地域の子どもと学校の状況をより細かく調査して教育における支援をしていきます。

  • 倒壊した小学校の再建に対する政府の迅速な資金援助の配分と追加手的な資金配分の呼びかけ
  • 損害の規模とニーズを把握するための調査
  • 教員への教材提供とトレーニング
  • 子どもたちへの遊び道具や教材の提供
  • NGOと協力した一時的な学習場所の設置
  • コミュニティの動員と啓蒙活動

子どもの保護(1,500,000米ドル)

© UNICEF/HQ07-1851/Shehzad Noorani

多くの子ども達が家を失い、親から引き離され、危険な状況にあります。学校や保健センターも倒壊してしまったために、子どもたちを守る環境が必要です。子どもたちの基本的なニーズを満たすだけでなく、困難を立ち向かい、彼らの回復力を養わなければなりません。「子どもにやさしい空間」は、子ども達が遊び友達を作るだけでなく、日常を取り戻す手助けし、虐待や暴力、搾取などから守ります。


  • 中・長期的な保護の必要性を特定するための調査
  • 子どものトラウマやショックを和らげるための心理的サポートのための、「子どもにやさしい空間」の構築(380ヶ所、19,000人の子どもが対象)。ここでは、日中子どもたちが集い、ケアを受け、遊ぶことができる。スポーツ道具や遊具などが入ったレクリエーションキット1,900も提供される。
  • 保護者と離れ離れになった子どもたちの追跡と登録、家族や親戚との再会支援
  • 子どもたちの人身売買や性的搾取からの保護

食料以外の物資支援(4,550,000ドル)

最も弱い立場にある家族は、家を失ったり、所有物をすべて奪われて避難所で生活している人たちです。ユニセフは彼らに家族キットやビニールシート、毛布、子ども服などを配布しています。徐々に寒くなるにつれ、子どもたちの命を守るために、暖かい服や避難所といった緊急の支援が必要になります。

  • 家族キット(6万セット、14種類の日用品が入っている)、女性用の服(サリー)、
    子ども用衣服(6万着)、皿、スプーン、コップ、バケツ、石鹸、毛布(10万枚)、
    ビニルシート(3万枚)や防水シート(3万枚)の配布

通信(326,000ドル)

サイクロンはすべての主な遠距離通信網に影響しました。ユニセフは他の国際機関と協力して調査を実施し、通信網が行き渡っている範囲の特定を行っています。また、緊急支援において、そこで働くスタッフが効率的で効果的に働けるように通信網を回復する必要性があります。現在までに、2局のラジオ局が設置され、新たに1局が近々完成する予定です。

  • バジェハトでの情報通信調査の実施
  • バリサル事務所での電気状況を改善するための発電機やその他備品の提供
  • バリサルとブルゴナ、バジェハトにおける衛星通信用超小型基地局の設置
  • 現地のスタッフの通信手段の確保(無線通信カード、超短波通信セット、充電器の提供等)
  • バリサルとジェソワにおける、最低2つの公衆交換電話線の追加
  • 国連事務所内のラジオ局、コンピュータワークステーションの設置

3. 資金ニーズ

ユニセフは、今後6ヶ月間の活動に必要な資金として、29,260,500米ドル(約32億円)の支援を国際社会に要請しています。国連中央緊急対応基金(CERF)等から既に、3,420,459米ドルを受領していますが、まだ25,840,041米ドルの資金を必要としています。

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◇ 募金のお願い ◇

ユニセフは、世界各地で発生している洪水や地震などの自然災害の被災者のために、緊急・復興支援活動を行っています。日本ユニセフ協会では、ユニセフが各地で実施する自然災害への緊急・復興支援活動を迅速に支援するため、自然災害緊急募金を受け付けています。
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