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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第49報
離れ離れになった子どもたちのためのコールセンター

【2010年6月15日 ハイチ発】

© UNICEF Haiti/2010/Monier
ポルトー・プランスにあるユニセフが支援しているコールセンターで、電話対応するオペレーター

「こんにちは。『離れ離れになった子どもたちのためのコールセンター』です。どうされましたか?」オペレーターが応えます。「どこにその子がいるか教えてもらえますか?保健センターにいるのですね?その子は一人でセンターへ行ったのですか、それとも誰かがセンターへ連れてきてくれたのですか?お電話ありがとうございます。今から30分以内にスタッフ2名がお伺いします。」    

この『離れ離れになった子どもたちのためのコールセンター』は、1月12日の地震の後、すぐに設立されました。地震被災という緊急事態の中、できる限り早く、家族と離れ離れになったり、家族を失った子どもたちを見つけ、登録する必要がありました。

ユニセフは、協力団体であるセーブ・ザ・チルドレンや国際赤十字委員会、国際救済委員会と共にこのコールセンターの設置と支援に取り組んでいます。また、ユニセフのハイチにおける子どもの保護プログラムでは、10を超える地元の協力団体と家族を見つける活動をしています。

機関を超えた取り組み
© UNICEF Haiti/2010/Monier
ユニセフ、セーブ・ザ・チルドレン、国際赤十字委員会、国際救済委員会が共同で行っているコールセンター

コールセンターの電話番号はフリーダイヤルになっていて、この番号は、看護婦や医者、子どもに優しい空間モニター、ユニセフ、NGOといった前線に立ってサービスをしている人たちが使用されることを目的に設置されています。というのも、前線に立っている人たちは、家族と離れ離れになった子どもたちの情報を最初に知る人たちだからです。彼らは、離れ離れになった子どもたちのニーズに応えられるように、また、見つけることができるように、研修を受けています。

コールセンターのスタッフはユニセフ・ハイチ事務所におり、データ管理者2名、コーディネーター1名、オペレーター4名等います。

「この機関を超える協力により、より早く適切に子どもたちを守り、子どもたちの声に応えやすくなるため、地域や政府のソーシャルワーカーを動員しやすくなります。」とユニセフ・子ども保護専門官クリスティーナ・トールセンさんは言います。

着実な方法

最初に電話を受けたとき、スタッフが最初にすることは、子どもの所在地を正確に認識することです。ポルトー・プランスでは、できるだけすぐスタッフを派遣し、業務の効率をあげるため、区域に分けて活動しているからです。

子どもの地理的情報が判明したら、スタッフは、この特定できた地域を受け持っているNGOに連絡を取ります。そして、いつも二人で行動しているケースワーカーをその場所へ派遣します。

ケースワーカーは子どもと会い、登録をします。また、子どもが安全な状況にいるのか、安全な場所にいるのか確認します。これが終了すると、家族探しが次の重要課題となります。すぐに家族が見つかることもあれば、状況によっては数週間かかることもあります。

重要な問題

家族再会には、子どもが以下の4つをできるのかが鍵となります。

  • 子どもは自分のことを説明できるか。
  • 子どもは自分の家の住所を覚えているか。覚えていない場合、電話番号など思い出せるか。
  • 子どもは両親や兄弟、親戚の名前を覚えているか。
  • 子どもは家の近くにあった何か特別な目印となるような建物などを覚えているか。

子どもに絵を描いてもらうことも、子どもの記憶を呼び起こしたり、忘れていたのを思い出させることができるため、家族を探す手助けとなります。

近所の人たちの優しさ

今までに約1700人の子どもたちが登録されています。多くの子どもたちが、肉親や親戚が見つかるまで、近所の人たちによって面倒を見てもらっています。

近所の人たちは、自分たちの食べるものも十分ない状態ですが、面倒を見ている子どもたちにも平等に食べ物を分け与えるなど、面倒をちゃんと見てくれています。

「個々に追跡が必要であるという難しい点もあります。早く子どもたちと家族と再会させてあげたいと思っていても、時間がかかることもしばしばあります。時には、家族がどこにいるのかという情報や追跡が全くできないケースもあります。」と、トールセン氏は言います。
「家族が地震によって亡くなったり、移動させられていて、その結果、家族と再び会うのが遅れているのです。」