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財団法人日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第31報
震災から1ヵ月、子どもたちへの支援は

【2011年4月11日 東京発】

世界を揺るがした東日本大震災の発生からちょうど一ヵ月。被害の全貌も未だにわからない状況が続いていますが、日本ユニセフ協会は震災直後から現地入り、ニーズ調査を進めながら子どもたちへの支援活動を続けています。

これまでの活動

© 日本ユニセフ協会/2011/ Grehan

3月11日(金)午後におきた大震災・津波による被害の甚大さに鑑み、日本ユニセフ協会では2日後の13日に、史上初めて国内での支援活動実施を決定し、募金活動を開始しました。同日深夜には、ユニセフ事務局長アンソニー・レークが「被災した子どもたちのために可能なあらゆる支援を日本ユニセフ協会と協力して行う用意がある」ことを発表。日本ユニセフ協会はユニセフの全面的なサポートを受けて、ユニセフ日本人職員の現場派遣、支援活動の実施、物資の調達などを進めてきました。

現在も東京・ユニセフハウス内の東日本大震災緊急支援本部、宮城県と岩手県の現場チームが日本政府、地方自治体、NPOを含む市民社会のみなさまと連携しながら、全力で被災地の子ども支援にあたっています。

緊急支援物資の提供

日本ユニセフ協会は宮城、岩手、福島の3県に飲料水、子ども用肌着、おむつ、靴などの緊急支援物資を各県の災害対策本部と調整しながら被災者の方々に提供してきました。この活動には当協会のパートナー組織から必要物資を数多くご寄贈いただいた他、搬送にもご協力をいただきました(支援物資の被災地到着状況のアップデートは下表をご参照ください)。

今後も現地のニーズに応じた支援物資の提供を継続していきます。

保健医療・栄養

© 日本ユニセフ協会/2011/ k.shindo
岩手県大槌小学校。

被災から1ヵ月、現場では救急救命から妊婦や乳幼児、高齢者といった災害弱者に重点を置いた保健医療・栄養サービスにニーズが移行しつつあります。避難所に医療サービスや食料などの援助が集中する一方、アクセスの悪い小規模な避難所や自宅に戻った被災者には十分な支援が行き届いていません。保健医療支援には地方自治体の役割が重要ですが、その中心となる市役所や保健医療人材も被災し、十分な保健医療サービスを提供するのには依然として厳しい状況が続いています。

その中で宮城、岩手県で活動を展開している現場チームは、震災直後より両県の災害対策本部への技術支援をしてきた他、現場のニーズアセスメントの実施、巡回チームを含む医療サービス提供における連携、中長期保健システムの構築など、少しでも早い復興に向けて協力を継続しています。

災害弱者であるお母さんと赤ちゃんを応援する活動も国内の専門家団体との協力により進んでいます。ユニセフ東京事務所と母乳育児を推進する団体は、「安全で適切な乳幼児栄養を支援する声明*1」、「災害時の乳幼児栄養に関する指針*2」を発表しました。また、「赤ちゃん一時避難プロジェクト」では、新潟県でお母さんと赤ちゃんに優しい空間を提供しています。

教育

© 日本ユニセフ協会/2011/ Grehan
宮城県女川の小学校

今回の震災で多くの学校が全壊もしくは半壊、残った校舎も避難所として使われてきました。しかし、学校は新しいことを学ぶだけでなく、子どもたちが友達と遊び、子どもが子どもらしくいられる大切な場所です。

日本ユニセフ協会は、子どもたちが子どもらしい環境に一日も早く戻れるように、「学校へ戻ろう(バック・トゥ・スクール)キャンペーン」を支援します。具体的には4月の入学式、新学期に間に合うように、学校カバンや文房具、その他学校再開に必要な物資の提供をすべく被災地の教育委員会をはじめ関係者の方々と調整を進めています。

子どもの保護

東日本大震災の甚大な被害による子どもたちへネガティブな心理的影響が懸念されています。子どもたちは地震や津波で恐ろしい体験をしたばかりでなく、慣れない避難所での生活が続く中で我慢を強いられたり思う存分に遊べなかったりするとストレスや不安が募ります。

日本ユニセフ協会は子どもたちの心のケアのために、10ヵ所以上の避難所で「子どもに優しい空間」を実施してきました。コペンハーゲンの物資供給センターから取り寄せた「箱の中の幼稚園」や「レクリエーション・キット」といったツールを使いながら、子どもたちが「ふつうの日常生活」を取り戻していくお手伝いをしてきました。

被災地では学校再開に向けて、徐々に避難所が集約され、未就学児たちも幼稚園や保育園に戻っていきます。その動きに合わせて、当協会はプレイセラピーの専門家団体と協力して、「子どもに優しい空間」のボランティアさんの他、幼稚園・保育園の先生やご両親を対象にこれまで130名以上に研修を実施してきました。研修に参加された方々が子どもたちの心理的ケアの現場で活躍されることが期待されています。

また、みなさまの厚いご支援により、「ちっちゃな図書館」には大変多くの絵本や紙芝居が寄贈され、既に60ヵ所以上の「子どもに優しい空間」や幼稚園、学校に「ちっちゃな図書館」が設置されました。現在、「ちっちゃな図書館」の送付手続きは進んでおり、被災地の子どもたちへと順次届けられています。

日本ユニセフ協会とユニセフ東京事務所は孤児に対する支援に関して、子どもの権利条約をはじめとする国際条約と日本政府の法的枠組みを基軸に、「東日本大震災孤児の代替的養護(ケア)に関する見解*3」を発表、子どもたちにとって最善の対策を講じるべく今後も支援活動を行っていきます。

みなさまとのパートナーシップ

東日本大震災の支援活動には、一般のみなさま、パートナー団体のみなさまのご協力が大切です。国内での支援活動を目的とした募金活動を開始して以来、現時点までに9億円の募金をいただいております。

日本ユニセフ協会はユニセフのサポートを受けて、子どもにとって最善の環境を整えていくべく、今後も日本政府、地方自治体、学校、保育園、幼稚園、病院、関係団体などのみなさまと協力しながら支援を続けていきます。

現在の支援物資到着状況

支援先
(県別)
支援物資 到着日 数量 寄贈企業 備考
宮城 3月19日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
福島 3月22日 12,672本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 男児・女児用下着 3月22日 20万枚    
岩手 男児・女児用下着 3月23日 3万枚    
福島 3月23日 4680本 キリンMCダノンウォーターズ(株) 2Lペットボトル
宮城 子ども用靴 3月23日 10000足  
宮城 子ども用おむつ 3月24日 80パック P&G  
岩手 子ども用下着 3月24日 9700枚    
福島 3月24日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
岩手 3月26日 1404足 アキレス(株)  
岩手 男児・女児用下着 3月27日 28,266枚    
岩手 長靴 3月27日 7462足    
岩手 お尻ふき 3月28日 1200個 P&G 赤ちゃん用
宮城 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 ランドセル 4月6日 70個 日本ニューバッグチェーン  
岩手 ランドセル 4月6日
-7日
340個 セイバン  
宮城 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
岩手 防犯ブザー 4月8日 5,000個    

※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。

2011年4月8日午前9時現在 (広報室まとめ)