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財団法人日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第83報
子どもたちのための復興支援を考える青空座談会

【2011年7月1日 岩手・大槌町発】

町長はじめ役場の職員も大津波で失った岩手県大槌町で、30日、様々な視点や立場から子どもたちのための復興支援を考える住民集会が、日本ユニセフ協会の後援で開催されました。

会場となった大槌町吉里吉里の吉祥寺本堂には、平日午後3時という開催時間にも関わらず、町内の小中高校や幼稚園、保育園の先生方や保護者の方々だけではなく、学校に通う子どもたちの安全を毎日街頭で見守っている地域の方々など、総勢34名が参加。それぞれの立場から、今、大槌町の子どもたちが直面している問題と今後の支援のあり方について、意見を交えました。

大切にされたことを忘れない

参加者の意見交換を促す森田教授。

「子どもたちは、あまり震災のことを話そうとしていなかったので、私たち教員も、それに触れないようにしていました。」と語ったのは、大槌高校で教鞭を取られている女性。「そんな中、授業の中で、子どもたちの中から、『商店街が復活しないとね』とか、『ここをこういう風にすれば良いのに』といったような声が出るようになったので、市民の立場で町の復興会議を始めた方々の議論に参加させたところ、普段自分の意見を言わない子まで、大槌の将来や自分の将来を語るようになりました。将来は臨床心理士になって帰ってきて、この町の復興に貢献したいと言い出すような子どもたちも出てきました。」

岩手県立大学の山本克彦准教授とともに、この座談会に有識者のアドバイザーとして参加した東洋大学の森田明美教授は、長年、子育て支援や子どもに優しい街づくりなどに取り組んできた経験から、コミュニティに大事にされた子どもたちは、そのコミュニティにまた帰りたいと思う傾向があると、参加者に伝えました。「被災した大槌の子どもたちが、どうしておとなになっても大槌に戻りたいと思っているのか?どんなことで『大事にされている』と感じているのかを聞いてみる必要があるかも知れません。」(森田教授)

子どもたちの「力」

子どもに優しい復興を訴える日本ユニセフ協会。コミュニティのイニシアティブで企画された今回の座談会の開催を応援した。中央は、参加者に挨拶する岩手の近藤フィールドマネージャー。

「一見子どもたちは元気です。でも、いつも何か抱えているのではないでしょうか?」異なった年齢層の子どもたちに接している参加者でしたが、異口同音に出てきた言葉でした。一方、こうした状況は、おとなの間でも同様との声も。「小さなコミュニティなので、かつては、どの人がどんな境遇にいるか、みんな知っていました。でも、今回の震災で誰がどんな苦難を背負っているのか、ほとんどわからない状態。かと言って、お互い根掘り葉掘り聞くわけにもいかないし。」(参加者の女性)

しかし、こうした状況に置かれている人々の元気の源のひとつが子どもたち。遊び場がなくなっても、教室の中で、文房具などを使って工夫して遊んでいたり、活動を再開した少年野球チームにも、少しずつ新しいメンバーが集まり始め、「以前のライバルチームが、お互いを応援するようにもなっています」(少年野球チームのまとめ役を勤める男性)。今回の震災をきっかけに、子どもたち自身が、コミュニティに新たな「力」を与え始めています。

少子高齢化の町

会場となった吉祥寺の本堂には、平日午後にも関わらず、幅広い年齢層の男女34人が集まった。

今回震災の被害を受けた地域の多くは、被災以前から少子高齢化問題の深刻さが訴えられていた地域でした。今回の座談会の開催を呼びかけた大槌町PTA連合の東梅守会長は、「大槌町の復興を考える時に、子どもたちのことを考えなくてはいけません。」「いろんな方々の力を借りて、良い大槌をつくっていきたい。その時に、子どもたちの目線で、子どもたちがこの町に住みたい、ここに戻ってきたいと思う町をつくっていかなければ。」と、子どもの声を反映させ、子どもの視点を入れた復興計画づくりの重要性を訴えます。

子どもたちの力を借りて,おとなは元気になっていくと語ったのは、森田教授。関東大震災後に始まった日本の社会福祉の歴史。その最初が貧困救済(セツルメント)活動であり、その拠点(入り口)だった子どもたちがまず変わり、子どもたちが変わったことで、おとなが変わり、社会が変わったと森田教授は言います。

「わずか1週間のお知らせで、これだけの数の方々が集まったのは感動です。関東で同じことをやっても、住民が数十倍居る地域でも、この半分も集まらない。大槌のみなさんの意欲に勇気付けられました。」「無いものを上げたらきりがない。しかし、今日集まった人々は『ある』し、みなさんに支えられている子どもたち『ある』。」「みなさんが考えていることを、具体化にしてもらうために、みなさんの努力が必要。子どもたちの声をきいて、政策に反映させていく努力が必要です。」「大槌で、(行政への)働きかけを続けてください。」(森田教授)

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

現在の支援物資到着状況

支援先
(県別)
支援物資 到着日 数量 寄贈企業 備考
宮城 3月19日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
福島 3月22日 12,672本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 男児・女児用下着 3月22日 20万枚    
岩手 男児・女児用下着 3月23日 3万枚    
福島 3月23日 4,680本 キリンMCダノンウォーターズ(株) 2Lペットボトル
宮城 子ども用靴 3月23日 10,000足  
宮城 子ども用おむつ 3月24日 80パック P&G  
岩手 子ども用下着 3月24日 9,700枚    
福島 3月24日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
岩手 3月26日 1,404足 アキレス(株)  
岩手 男児・女児用下着 3月27日 28,266枚    
岩手 長靴 3月27日 7,462足    
岩手 お尻ふき 3月28日 1,200個 P&G 赤ちゃん用
宮城 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 ランドセル 4月6日 70個 日本ニューバッグチェーン  
岩手 ランドセル 4月6日
-7日
340個 セイバン  
宮城 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
岩手 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
宮城 軽自動車 4月8日 3台    
宮城 サプリメント 4月上旬〜 4,000ボトル    
福島 4月11日 1,536本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 レクリエーションキット
補充素材
4月12日 60セット
宮城 ミニカー 4月12日 約1,200 タカラトミー
相模原* 4月12日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 プレイマット 4月13日 2種
各80枚
IKEA
宮城 お絵かきセット 4月13日 60セット IKEA
岩手 保育園用いす・テーブル・座卓 4月14日 いす75脚・テーブル11台・座卓9台   被災した各幼・小・中・高と移転先へ
宮城 原付バイク 4月15日 5台    
岩手 小・中学生用ノート・文具セット 4月15日 (16,700セット)    
福島 ノート・文具セット 4月16日 390セット    
宮城 PC183台・コピー・FAX複合機(57台)・プリンター(61台) 4月18〜21日     各幼・小・中・高と移転先へ
福島 移動式黒板 4月21日 10台    
福島 仮設トイレ 4月22日 20基    
福島 放射能量測定器 4月28日 14台   相馬市各学校へ
岩手 更衣室・授乳用仕切りシステム 4月29日 21セット    
埼玉* 牛乳 4月末〜     加須市双葉町避難所
埼玉* ヨーグルト 5月初旬〜   ダノンジャパン(株) 加須市双葉町避難所
岩手 クーピー(120セット)/絵の具(240セット) 5月13日      
岩手 卓上電気スタンド 5月14日 15台    
岩手 文具セット 5月16日 840セット    
福島 ロッカー 5月16日 22セット   南相馬市教育委員会へ
福島 PC 5月16日 1台   石川町教育委員会
宮城 コピー機(2台)/PC(2台)、プリンター(2台) 5月     東松島市保育所/亘理町保育所2ヶ所)
岩手 受水槽、浄化槽、給水タンク 5月工事      
宮城 ソーラー式ワクチン冷蔵庫 5月18日      
福島 扇風機 5月30日 112台   南相馬市教育委員会
福島 マスク 5月30日 10万枚   南相馬市教育委員会
岩手 コピー機1台 6月2日     保育所
埼玉* 6月15日 460足 コンバースフットウェア(株)  

ちっちゃな図書館送付状況:約15万冊が900箇所以上に届けられています。(6月20日現在)
福島「おもいっきり!そとあそび」プロジェクトの参加児童数(予定含む):約5600名(5月26日現在)

*被災者受け入れ場所

※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。

2011年6月17日午前9時現在 (広報室まとめ)