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公益財団法人 日本ユニセフ協会
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緊急・復興支援における6つの取り組み

子どもにやさしい復興計画

©日本ユニセフ協会/2016

「未来の七郷〜20才になったときのまちの姿」をテーマに、仙台市立七郷小学校の子どもたちが10〜15年後のまちの模型を制作。

自然災害などによって生じた被害を目の当たりにし影響を受けた子どもたちは、大切なものを失ったショックや急激な生活環境の変化などから、少なからず心に不安を抱えます。こうした状況は、災害が起きた直後に留まらず、数か月さらには数年経った後に現れることも少なくありません。多くのモノやコトが長い間"仮"の状態におかれた東日本大震災の被災地では、子どもたちを支える立場にあるおとなの間にもストレスや不安が広がりました。

日本ユニセフ協会は、震災発生直後、ユニセフが世界の現場で展開する「子どもにやさしい空間」を多くの避難所で展開。一瞬にして"日常"を奪われてしまった子どもたちが安心して遊べる場所を確保するとともに、自らも被災しながら手探りで子どもたちを支え続けた保育園や幼稚園の先生方のサポートという形で心理社会的ケア支援をスタート。これらの活動を基礎に、自治体の心理ケア専門家や子育て支援関係者に対する研修の実施を通じて、行政や地域の体制づくり・機能強化を目的にした支援を行いました。

さらには、子どもの心理ケア専門家の知見と東日本大震災で得た経験を将来の万が一への備えに活かすための取り組みも実施しました。

子どもにやさしい復興計画 実施プロジェクト

活動分野 内容 連携団体
子ども復興会議開催支援
  • 子どもが考える東日本大震災
    震災や津波、原発事故により大きな被害を受けた福島県相馬市で、市教育委員会の発意により開催された「相馬の子どもが考える東日本大震災」発表会を支援しました。この発表会は、子どもたちが震災に向き合い、お互いに意見を交換して課題を明らかにするとともに、相馬市の未来について考えを深めていくことを目的に実現しました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2011_1118.htm
  • ふるさと相馬子ども復興会議
    「相馬の子どもが考える東日本大震災」(2011)は、2012年には「ふるさと相馬子ども復興会議」に発展。相馬市内の小学校10校、中学校5校の子どもたちが、総合学習の時間を使い、ふるさとである相馬市の復興の様子や今後の課題、そして未来の相馬の姿について考え、秋には市内小中学校の対象学年全員が集まり、地域の方にも開かれた場所で発表しました。こうした機会を通じ、子どもたちをエンパワーメントするとともに、復興計画に子どもたちの声が積極的に取り入れられるよう支援しました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2012_1116.htm
 
「子どもと築く復興まちづくり」
  • 被災地復興プラン国際提案協議への協力
    ユニセフは、子どもたちが支援を受ける側としてだけではなく、様々な活動のプロセスにも参加し、支援や施策そのものにも子どもたちの声が取り入れられる機会作りに力を入れています。2011年5月にはこども環境学会の「東日本大震災復興プラン国際提案協議『知恵と夢』の支援」コンペ開催に協力。子どもから専門家まで国内外の500名を超える方々から寄せられたアイディアから最優秀賞として選ばれたのは、被災地の子どもたちを復興プロセスの主役の一人に位置付ける取り組みを形にした株式会社竹中工務店の提案でした。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2011_0610.htm
 
  • 各地へのヒアリング
    こども環境学会の国際コンペで最優秀賞として選ばれた竹中工務店の提案「子どもと築く復興まちづくり」のコンセプト案を実現するため、日本ユニセフ協会が緊急支援活動で特につながりのあった自治体に、コンセプト案の説明と震災後の子どもを取り巻く状況についてヒアリングを行いました。これらを基に、2012年後半から具体的なプログラムを実施しました。
  • 未来の七郷まちづくり
    小学校の総合学習の一貫として、宮城県仙台市立七郷小学校の6年生を対象に、10〜15年後のまちを考え、模型で表現するプログラムの支援を2012年から続けてきました。2015年3月の第3回国連防災世界会議の会場では、子どもたちによってこの取り組みの一部が発表されました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/news/2015/0068.html
  • 未来の教室ワークショップ
    津波により被災した大槌町内4つの小学校(2013年4月に統合)の5年生の子どもたち約90人を対象に、子どもたちが考える理想の教室や学校施設の模型を製作する連続3回のワークショップを2012年に実施しました。このワークショップには、復興庁の担当者と町議会議員なども参加し、子どもたちの思いを熱心に聞いていました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2012_1119.htm
  • 指針案提出
    「未来の教室」ワークショップの内容と子どもたちの意見交換会の内容をまとめた「実施記録」やワークショップ資料、子どもたちのアイディアを技術的・専門的な観点から咀嚼したデザイン指針案をまとめた「復興提言」で構成された報告書を大槌町教育委員会に提出しました。また、これとは別に、子どもたち向けの報告書も作成しました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2013_0507.htm
  • 新校舎完成
    大槌町が新設する小中一貫校の基本設計者の選定コンペを2013年に実施する際、選定要項として「小学校5年生によるワークショップ(特別授業「未来の教室を考えよう」)の提案を踏まえる」ことが明記され、教育委員会に提出した報告書の全文が参照資料として添付されました。新校舎は2016年9月に完成。子どもたちのアイディアも、工夫されながら様々な場所に反映されています。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/news/2016/0303.html
  • 子どものまち・いしのまき
    子どもたちが仕事を疑似的に体験し、社会的な仕組みや役割を学ぶことのできる実体験型のまちづくり学習プログラム「子どものまち・いしのまき」。宮城県石巻市内の実際の商店街を舞台に、公共機関や行政、お店などで働き、お金を稼ぎ、遊んだり買い物したりできるイベントです。震災後に生まれた新たな石巻の年中行事として定着させるべく、地元商工会や行政との調整を進める地元NPOや市民団体、商店街の方々の取り組みを2012年からサポートしました。「子ども会議」も年々活発になり、イベントに留まらない、子どもたちの居場所となっています。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/news/2016/0256.html
  • さとやままるごとプレーパーク
    岩手県大槌町では、2014年8月、町内を流れる大槌川と小鎚川が形成する、緑豊かな里山を遊び場にする取り組みをスタートしました。おもいっきりやりたいことを表現できる日常的な場所は、復興活動が続く中での子どもたちの居場所となり、子ども自身のレジリエンスを回復するだけでなく、地域にも元気を与えると考えています。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/news/2014/0079.html
  • 「子どもたちが描くみんなの公園」ワークショップ
    宮城県石巻市の旧門脇地区大規模区画整理事業の一環として進められる公園づくりに、地元の子どもたちが参加する連続6回のワークショップを実施しました。子どもたちはクラスの枠を超えたグループごとに公園のアイディアを模型に表現し、保護者や地域の方を招いた発表会で披露しました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/news/2015/0235.html
  • 公園計画提出
    子どもたちのアイディアを基に専門家が公園の計画案を作成し、その後子どもたちや設計担当者との意見交換が行われました。ワークショップの内容や子どもたちのアイディアをまとめた報告書と、最終的にまとめられた基本構想提案書は、石巻市長にも手渡されました。子どもの意見を基に計画された公園は、2017年に完成する予定です。
  • シンポジウム開催
    2014年にはユニセフハウスでシンポジウム「未来をつくる私がおとなに伝えたいこと」を開催し、相馬市、大槌町、仙台市で活動に参加した子どもたちが、震災の体験から自分たちが学び、地域の復興のために考えたことを発表しました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2014_0328.html
 
居場所づくりのための支援
  • 大槌町子どもの公園づくり
    津波で遊び場を失った子どもたちや住民が集うことができ、安心して遊べる場所が欲しいという岩手県・大槌町の要請に応え、2011年に2カ所、2013年にはさらに1か所への児童公園の整備支援を決定。住民の意見を反映した公園づくりを目的としてワークショップが開催されました。子どもたちの意見や要望を取り入れて作られた遊具が設置された公園が、仮設住宅団地内と敷地隣接地に完成しました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2012_0511.htm
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2013_0108.htm
  • 放課後児童クラブ再建支援
    2016年9月の大槌学園新校舎完成に伴い、隣接する放課後児童クラブの整備も検討されていました。大槌町は将来的にこの施設を「子どもセンター」(児童館の機能)と一体化させ、福祉部局、教育委員会の枠を超えて運営したいという強い希望を持っていました。日本ユニセフ協会はBuild Back Betterの考え方に基づき、家庭環境にかかわらず町の子どもであれば誰でも放課後に集える場所をつくるために、大槌町からの要請に応え、再建費用の一部を支援しました。2017年度中には完成が予定されています。
 
  • プレーカー出張による遊び場
    子どもが"遊び"をつくる遊び場=「プレーパーク」や、子どもが"遊び"をつくる道具を載せたワゴン車=「プレーカー」の出前活動を通じて、全国各地で子どもたちに遊びの機会づくりの活動を続けている日本冒険遊び場づくり協会と協力。子どもに「遊び」を出前し、東北の空き地や里山を、子どもたちの「居場所」に変えました。「子どものまち・いしのまき」にも出張し、"まち"の中に、小さな子どもも遊べる空間をつくりました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/kinkyu/japan/2014_0522.html
  • 冒険遊び場
    「プレーカー出張による遊び場」支援は、2013年にプレーカーとプレーリーダーを増やし、子どもたちに"遊び"の機会を提供しながら、各地の復興の取り組みの中で"遊び場"が確保されるよう、地元行政などへの働きかけを続けてきました。2015年7月には、地元の方々のイニシアティブで、福島県猪苗代町の山林に、新たな拠点が誕生しました。
    関連記事:https://www.unicef.or.jp/news/2015/0210.html
  • シンポジウム開催
    震災で遊び場がなくなってしまった子どもたちの居場所をつくり、子ども自身のレジリエンスを回復するために活動を続けたプレーカー出張による遊び場、冒険遊び場支援。今回の支援活動の経験を基に、災害時にできるだけ早く「遊び場」をつくることの重要性や、平時から子どもが思いっきりやりたいことをできる場所の必要性を伝えるミニシンポジウム(報告会)を開催しました。
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