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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第2報
拡大する内戦

【2009年5月11日 パキスタン発】

© UNICEF Pakistan/2009/Paradela

パキスタン北西部での武力衝突の影響で避難を余儀なくされている大半が、子どもと女性です。

キャネットちゃん(10歳)は、支援物資を手に入れるために、多くの男性グループに混じって歩いていました。その近くでは、パキスタン北西部のマルダンのキャンプに新たに辿り着いた、汗とほこりまみれの人々が、避難民の登録を受けようとしていました。

キャネットちゃんたちは、武力勢力に対抗する軍の攻撃によって、数万人もの人々が避難を余儀なくされているスワートの近隣からやってきました。

国連難民機関の推定では、スワート渓谷の最近の武力衝突により、新たに36万人が避難を余儀なくされているとのことです。北西辺境州と部族地域では、2008年8月から55万5,000人の避難民がキャンプでの生活を続けています。最近の戦闘の激化により、新たに住む場所を奪われた人々も、こうした人々が住む難民キャンプに逃れてきているのです。

死の恐怖

© UNICEF Pakistan/2009/Paradela

彼女の家族が暮らしていた家が武力衝突に巻き込まれた際、キャネットちゃん(10歳)は死の恐怖に脅えました。

わずか数日前に設置されたばかりのジャララキャンプを歩きながら、キャネットちゃんはフロアマットを探していました。彼女の家族はテントは受け取りましたが、床には何も敷くものが無く、最近まで農地だったキャンプ地の地面は、押しつぶされた木の切り株が露出したままの状態なのです。

キャネットちゃん一家は、前日の午後に避難キャンプに到着しました。母親のマスカル・アクータルさんは、武力紛争で家が破壊されてから、6人の子どもたちを連れてマルダンへ避難してきました。運転手をしているマスカルさんの夫は、彼の雇い主の家族を避難させるため、既に村を離れていました。

「爆弾が炸裂する音と振動があまりに怖くて、トイレに隠れていたこともあったの。」キャネットちゃんは当時を振り返ります。「もう死んじゃうんだって思った。」

自宅が迫撃砲の直撃を受けた時、キヤネットちゃんは、床に伏せ、顔に傷を負いました。村の人々は全員、村を捨てなければなりませんでした。

緊急の支援を必要としている子どもたち

スワートやローアー・ディール、ブネルで続く武力衝突によって家を失っているキャネットちゃん一家のような家族が、ジャララ避難キャンプをはじめとする避難キャンプに続々と到着しています。こうした避難民の半数以上は、緊急の人道支援を必要としている子どもたちです。

「不安や暴力、脅威に晒されながら住む場所を追われている多くの人々が、着の身着のままで避難してきています。」ユニセフ・パキスタン事務所のマーティン・モグワイジャ代表は話します。「ですから、こうした数千人にものぼる子どもたち一人ひとりの保健、衛生、教育などの緊急支援ニーズに、早急に応えることが絶対に必要です。」

他の国連機関との協調

© UNICEF Pakistan/2009/Paradela

ユニセフは、パキスタン北西部の紛争地域で新たに避難を余儀なくされた人々のために、避難キャンプに飲料水を搬送しています。

ユニセフは、他の国連機関と協調し、避難生活を強いられている子どもたちのために、安全な飲料水や衛生施設を提供し、予防接種を手配し、学校教育の一日も早い再開のための支援活動を行っています。また、様々な形態の虐待や搾取から子どもたちを保護するべく活動しています。

今回の大量の避難民の発生を受け、ユニセフは、3箇所の避難キャンプに、給水車による飲料水の提供活動を行っています。また、家族と離れ離れになった子どもたちや、キャネットちゃん一家のように、女性が一家を支えている世帯の確認を進めています。人々の確認を行っています。

子どものたちの生活に「日常」を取り戻すべく、避難キャンプで生活している子どもたちのために小学校3校を設置し、新しい避難キャンプ2箇所では、教材の配布も行っています。

さらに多くの支援が必要に

キャネットちゃんは、キャンプでの生活は村の家で暮らしていたときと比べて楽しいと話します。しかし、キャネットちゃんのような子どもたちが増え続けています。既に避難生活を送って居る人々への支援を継続しながら、こうした子どもたちの緊急ニーズに応えるためにも、更なる支援が求められています。

ユニセフは、パキスタン北西部の緊急危機への支援活動費用として、1,000万米ドルの支援を国際社会に求めています。