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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第23報
感染症の拡大防止に奮闘するユニセフ

【2010年8月4日 ニューヨーク発】

© UNICEF/NYHQ2010-1557/Zak
避難先の急ごしらえのテントの前に座る女の子。彼女の住んでいた村では、今回の洪水で、80パーセントの家屋が倒壊した。

先週、集中豪雨に襲われたパキスタン北西部では、支援活動が全力で展開されています。洪水はゆっくりと引き始め、洪水被害に見舞われた地域へのアクセスも、徐々に可能になりつつある状況です。ユニセフは、現在、パキスタン政府や他の人道支援団体と共に、洪水の影響を受けた全地域の全容の確認を行っています。300万以上の人々が被災し、その半数近くが子どもと見られています。

一方、来週には再び大雨が予報されており、パキスタン政府は、全国各地に新たな洪水被害に対する警戒を呼びかけています。

ユニセフ・パキスタン事務所のモハメド・ラフィク医師は、洪水の影響を受けたカイバル・パクトゥンクワ州の州都ペシャワルのコミュニティから、今日(4日)戻ってきました。この地域は、洪水の影響が最も深刻な地域で、カイバル・パクトゥンクワ州だけで約250万人の人々が被災しました。

感染症発生の懸念
© UNICEF/NYHQ2010-1559/Zak
パキスタン北西部のカイバル・パクトゥンクワ州で、給水車から水を運ぶ男の子。ユニセフは、衛生キットや安全な飲料水、ポリバケツなどの支援物資を配布している。

アフガニスタン中部・東部も、先週の集中豪雨によって、洪水の被害に見舞われています。

ラフィク医師は、広範囲にわたり農地に破壊的な影響を与えた洪水が発生した直後から、食糧価格が上昇し始めたと話しました。この事態を受け、ユニセフ・パキスタン事務所は、数千人の子どもたちを対象に高カロリービスケットを配布しました。

こうした栄養面での支援に加えて、ユニセフは、パートナーと共に、汚染された水を利用し、不衛生な環境の中での生活を強いられている人々の間に、コレラ、疥癬、下痢性疾患、その他の疾患の流行を防ぐための対策を講じています。

水を媒介とする疾患は、特に幼い子どもたちを襲い、時に命も奪う危険性があるのです。

衛生キットと飲料水用タンク
© UNICEF/NYHQ2010-1558/Zak
カイバル・パクトゥンクワ州のペシャワルに位置するジャラベラ村でユニセフの支援で用意された給水車から、飲料水を受け取るために並ぶ子どもたち。

しかし、ラフィク医師は、被災地では通信手段が限られているため、支援活動も難航していると話します。被災地では、携帯電話の電波が入りません。このため、ラフィク医師は、1日2回、地元のコミュニティと無線を通じて連絡を取り合い、病気から子どもたちや自分自身を守る方法を被災者に伝えているのです。

「3階、あるいはそれよりも高いところに飲料水用のタンクがあるなら、そのタンクを世界で最も貴重なもののように扱い、そのタンクからしか水を飲まないようにと、伝えています。」「もし、そのようなタンクがない場合、雨を集めて利用します。もし、洪水の水を飲まなければならないならば、浄水剤を使用しなくてはいけません。」(モハメド・ラフィク医師)

水と衛生の問題を緩和するため、ユニセフは、洪水被災地に衛生キットと飲料水用ポリタンクを提供。73箇所の井戸を修復し、80万人の人々がこの恩恵を受けています。また、約100万人の被災者に対応できる医療用テント24基を迅速に設置しました。

孤立したコミュニティ

もうひとつの大きな課題は、現在、多くの道路が寸断され、情報網も遮断されている被災地で、洪水の影響を受けた人々に、健康を保つための情報をはじめ、様々な重要なメッセージを届けることです。

「ユニセフの最も大きな課題は、まだ、私たちが辿り着けない地域があることです」と、ラフィク医師は話します。「道路は崩壊し、橋は流されてしまいました。こうした状況が、支援活動をますます難しいものにしているのです。まだ今のところ病気の流行は何も確認されていませんが、支援が届かない地域がないようにしなければなりません。」

そして、既に緊急支援が届いている地域では、多くの子どもたちが、洪水の恐ろしい経験を今でも思い出して苦しんでいます。

「真夜中、洪水の水が家に入ってきて、親はベッドから子どもたちを引っ張り出して、安全な場所に走らなければなりませんでした。」「近所のモスクが発したものが、彼らが聞いた唯一の警報でした。みんな、着の身着のままで、靴も履かずに避難してきました。」(ラフィク医師)

長期的な影響

約140万人の子どもたちが、パキスタンを襲ったこの洪水の影響を受けました。水が引いて、人々が避難場所を見つけ、学校を再開できるまでにはまだ時間がかかる見込みです。

ユニセフやその他の人道支援団体は、できる限り早く子どもたちが日常の生活を取り戻せるように、学校を再開させるべく活動していますが、多くの子どもたちが教育の機会を受けられない状況に直面せざるを得ないものと見られます。

「この災害に対する支援は、今後数年間は必要になると思います。」(ラフィク医師)