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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第59報
史上最悪の大洪水から1年あまり
子どもたち250万人が、新たな洪水の被害に

【2011年9月11日 パキスタン・イスラマバード発】

250万人にも及ぶ子どもたちが、パキスタン南部を襲った大規模なモンスーンの深刻な影響を受けています。今回被害を受けている子どもたちの多くは、わずか1年前にこの国を襲った建国史上最悪と言われた大洪水の被害から、未だに立ち直っていない状況でした。ユニセフは、状況が悪化する前に、一刻も早く子どもたちへのさらなる支援が必要であると訴えています。

パキスタン政府によると、このモンスーンによる豪雨と洪水により、モンスーンの直撃を受けた南部のシンド州を中心に、パキスタン全土で少なくとも500万人が被災したと推定されています。

シンド州の23地域中、22地域が被災。100万棟にも及ぶ家屋が浸水し、被害を受けています。大勢の人々が避難を余儀なくされましたが、その多くが洪水で行き場を失い、道端で身動きが取れない状態となっています。国家防災管理庁の暫定的な報告では、20万人以上が、主に公立の学校や政府の建物、そしてテントなど、1,400箇所に設けられた避難所に避難を余儀なくされているものと見られています。

© UNICEF/NYHQ2011-0073/Shehzad Noorani
2010年の洪水被害を受けた地域のひとつパンジャブ州にある村で、深刻な栄養不良に苦しむ生後11ヵ月の娘にご飯を食べさせる母親。

子どもたちとその家族は、いまだに2010年の洪水被害から立ち直っていません。この2010年の洪水被害により、(この国の子どもたちを以前から苦しめてきた)広範囲に及ぶ慢性的な栄養不良や不衛生な衛生習慣、初等教育の低い出席率(特に女の子)、多くの子どもの保護の問題はさらに悪化しました。そして、この新たに発生したモンスーンによる洪水被害のために、これまでの支援によって積み上げられてきたものが、失われかけようとしています。

「子どもたちは、こうした状況の中で最も弱い立場に立たされます。この災害で、多くの子どもたちが1年間に2度にわたる洪水被害に見舞われ、壊滅的な影響を受けています。子どもたちは既に衰弱しており、こうした子どもたちの状況はさらに厳しいものとなっています。」ユニセフ・パキスタン事務所のダン・ローマン代表はこう話しました。

「広大なシンド州全域が壊滅状態であるのを目の当たりにしています。今現在、こうした深刻な地域で、保健と栄養、安全な飲み水や子どもの虐待や搾取などの問題が懸念されています。緊急支援活動の最初の段階で、子どもたちの命を救う支援を届け、一日でも早く日常の生活を取り戻す手助けをすることが非常に重要です。」(ローマン代表)

「子どもたちの家を奪った洪水は、さらに井戸などの水源を汚染し、不衛生な環境と下痢性疾患といった水を媒介とする病気を引き起こします。感染症の流行を防ぐための追加の医療保健分野での支援と共に、飲料水と衛生施設(トイレ)の提供、また適切な衛生習慣を伝えるメッセージを子どもたちに早急に届ける必要があります。」(ローマン代表)

パキスタン政府の要請を受け、ユニセフは、国家防災管理庁、州災害管理局、また、他の国連機関と密接に連携し、被害状況の調査・確認作業を急いでいます。パキスタン政府が既に進めている緊急支援活動を、今後、国連機関や州政府、市民団体も連携して進めていく予定です。

「今回の緊急事態においても、私たちは、‘人道支援活動におけるユニセフの主要な任務’のひとつである、最も厳しい立場の子どもたちに最低限必要とされる支援を届けられるよう、活動を続けていきます。子どもたちの命を守り、苦しみを取り除き、権利を守るため、あらゆる手段を講じることが必要です。」(ローマン代表)