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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第60報
まずは備蓄していた物資から−ユニセフの緊急支援活動が本格化

【2011年9月14日 パキスタン発】

© UNICEF/2011/ Pakistan/Page
洪水で水が溢れた道を子どもを抱えてわたる男性(2011年9月11日、パキスタン・ディグリ)。

一日何十万リットルに及ぶ飲料水はじめ、ユニセフの緊急支援物資が、大規模なモンスーンによる洪水被害で厳しい立場に立たされているパキスタン南部の被災者に届けられています。

再び大雨に見舞われた被災地では、洪水の水が引く気配は見られておらず、被害状況は悪化する一方です。被災者は540万人にのぼり、うち約270万人が子どもと推定されています。シンド州では、30万人以上が、浸水した自宅から高台に避難を余儀なくされました。多くの人々が、自宅近くの路上に設置されたテントや学校、公共施設に身を寄せています。

今最も必要とされているのは、飲料水と衛生施設(トイレ)、保健医療と栄養の分野での支援です。こうした状況の中で最も弱い立場に立たされる子どもたちは、特に、下痢性疾患やはしかといった病気に罹るリスクが高くなっています。多くの子どもたちが、(僅か1年あまりの間に)こうした洪水の被害を2回も受けているのです。

「ユニセフは、すでに飲料水の提供や予防接種活動を実施していますが、あらゆる手段を講じて、早急に規模を拡大し、更なる支援を迅速に行う必要があります。」 被災地の一つ、バディン地域を13日に訪れたユニセフ・パキスタン事務所のダン・ローマン代表は、このように話しました。

ユニセフは、現在、約4万人の被災者に、毎日約20万リットルの飲料水を提供。被災地の子どもたちが罹患する危険が最も高い下痢性疾患などの水を媒介とする病気の蔓延を食い止めるべく、今後数日以内に、更に40台の給水車を動員し、提供できる飲料水の量を劇的に拡大させるべく準備を進めています。また、こうした支援と並行し、浄化剤の第1陣5万袋が、被災地の飲料水の改善のために提供されました。

この他、約6万張の殺虫処理済みの蚊帳も配布。今週中には、さらに8万張が届けられる予定です。一方、保健チームは、被災地を巡回しながら、これまでに10万人の子どもたちにはしかとポリオの予防接種を実施。14日には、新生児ケア用の医療キット977個とともに、最大5万人の患者への簡単な医療支援を可能とする基礎医薬品のセットを被災地に急送しました。

「まずは、万が一のために備蓄していた緊急支援物資を利用し、ユニセフは緊急支援を拡大しています。パキスタン政府とパートナー団体と連携しながら、最も弱い立場の最も厳しい立場に置かれている子どもたちのための緊急支援に全力をあげています。」(ローマン代表)

「貧しく、厳しい立場に立たされている子どもたちは、深刻な洪水により、最も大きな影響を受けています。緊急に支援が必要とされています。数十万に達する数の人々が、住む場所を追われ、避難を余儀なくされ、直ぐに自宅に戻れる可能性がほとんどありません。人々の生活を維持する最低限のサービスさえ、殆ど機能していません。そんな中、緊急支援物資は徐々に到着しています。被災者の方々も、目の前の状況に、懸命に立ち向かわれています。」(ローマン代表)