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財団法人日本ユニセフ協会



フィリピン台風緊急募金 第2報
台風の被害を受けたフィリピンでの母親の愛

[2009年10月01日 フィリピン マニラ発]

© UNICEF Philippines/2009/Francia
生後11ヶ月のブンソちゃんに母乳をあげる、5人の子どもの母親のリア・マニラノさん。洪水の水位が上がって来た時には、ブンソちゃんを手放さないように懸命だったと言います。

9月26日はリア・マニラノさんにとって忘れることができない一日になりました。その日、マリアノさんは、フィリピンの他の9000万人の人々と同じように、家族と土曜日を楽しんで、用事を済ませて、ショッピングモールで買い物し、赤ちゃんを世話したりといった、いつもの週末を過ごしていました。

数時間後にまさか、自分の命と、多くの子どもたちの命を守るために賢明に闘わなければならないような事態に陥るとは、思ってもみませんでした。

台風16号(現地名「オンドイ」)と12時間に渡り途切れることなく降り続いた集中豪雨により、フィリピンは大きな被害を受けました。月間降水量に相当する量の雨が1日以内に降り、マニラ市内4分の1が浸水し、被害はフィリピンの24以上の州に及んでいます。

「救助隊もすぐには来ることができませんでした」

大量の水が、お金持ちの家も貧しい家も関係なく、多くの家々を襲いました。母親と離ればなれになってしまった子どももいれば、刻々と増す水になすすべを失うお年寄りもいました。また、屋根に上って救助が来るのを待つ人々の姿が見受けられました。

「水面が急激に上がってきたので、私はしっかりと子どもを抱きしめながら、無意識に薄いコンクリートの壁を登り、辺りに流されないように何か掴まるものがないか必死に捜しました。」とマリアノさんは語ります。「水位があまりにも高かったので、救助隊もすぐには助けに来ることができませんでした。安全な場所に避難した時には、赤ちゃんは水でびしょ濡れになって震えて、寒さのために青ざめていました…。」

マリアノさん一家、マリアノさん、夫と5人の子どもたちは、家を避難することを余儀なくされましたが、幸運なことに安全に避難することができました。今回の洪水により、200人以上が死亡、その他多くの人々が行方不明になっており、数十万人が避難センターに身を寄せています。

避難センターでの生活

台風の被害から命を取り留めたマリアノさんですが、これからは避難所生活を送らなくてはなりません。洪水により国内の電気・水道などの基本社会的インフラ設備が浸水したため、避難センターとして使われている学校の建物は、現在電気や水の供給がない状態です。

マリアノさんは、生後11ヶ月目になるブンソちゃんを母乳で育てています。母乳による育児は子どもを病気から守る上で重要な役割を果たします。しかし、母親であるマリアノさんの食糧が不足しているため、十分な量の母乳をブンソちゃんに与えることができません。

緊急下において、ユニセフはマリアノさんやブンソちゃんのように、緊急支援を必要としている多くの母親と子どもを代表し、国際社会に働きかけを行っています。今回、フィリピンの首都マニラが今回の台風の被害を受けてから24時間以内に、ユニセフは食糧とそれ以外の支援物資、そして仮設避難センターを設置するための資材を、社会福祉開発省を通じて、被害にあったコミュニティに届けました。

今後、感染症が蔓延する可能性が高まっていることから、ユニセフは他の人道支援団体とともに今後数週間にわたり、より多くの洪水の被害を受けた子どもたちとその母親を感染症から守るための活動を実施する予定です。