公益財団法人日本ユニセフ協会
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ソマリア干ばつ緊急募金 第29報
飢餓宣言から100日−75万人にはしかの予防接種を

【2011年10月28日 ナイロビ/ジュネーブ発】

ソマリア南部の一部に飢餓状態が宣言されてから、今日(28日)で100日。ユニセフは、武力紛争が続く困難な状況の中、他の人道支援団体とともに、今回の干ばつ被害が、感染症を拡大させ、さらなる大きな被害を生まないよう、全力で活動しています。

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首都モガディシュにある難民キャンプで食糧の配給を待つ子どもと女性。

「今、ソマリアや近隣諸国の干ばつ被災地に、待望の雨が降っています。しかし、この恵みの雨は、感染症の危険を高め、支援活動にも支障となっています。」「また、ソマリア南部の武力紛争が激化し、子どもたちに安全に救援物資を届けることは、さらに困難な状況となっています。」ユニセフの東部・南部アフリカ地域事務所のエルハジ・アスシ代表はこう話しました。

アスシ代表は、ソマリアを含むアフリカの角地域の人道危機はさらに悪化する可能性があると語ります。「ユニセフは、いかなる場所にいる子どもたちにも手を差し伸べ、状況の悪化を最小限に食い止めるべく、支援活動を拡大していきます。いつも非常に貴重な支援をしてくださっているみなさまに、さらなるご支援を求めています。」

ソマリアの首都モガディシュでは、今週、生後6ヵ月から15歳の子ども75万人を対象にした、はしかの予防接種キャンペーンが行われています。7月に飢餓状態が宣言されて以来、ソマリアでは、100万人以上の子どもたちがはしかの予防接種を受けました。

「ソマリアでは、この数ヵ月間で何万人もの子どもたちが亡くなっています。毎日数百人もの子どもたちが命を落としているのです。いかなる物資配給の遅延も、生死に関わる問題となっています。」ユニセフ・ソマリア事務所のシカンデール・カーン代表はこのように話しました。

「全ての紛争当事者に、人道的観点に立ち、国際法を遵守し、災害に直面している子どもと女性たちの安全を確保するよう求めます。」(カーン代表)

© UNICEF/NYHQ2011-1189/Holt
首都モガディシュにある保健施設にいる下痢性疾患の子ども。

重度の栄養不良の子どもは、健康な子どもに比べて、はしかやコレラ、マラリアといった感染症で死亡する確率が8倍以上も高くなります。ソマリアでは、飢餓状態に陥る前でさえ、2010年の同じ時期と比べて、子どもたちがはしかにより死亡する確率は4倍も高かったのです。

大勢の人々が非常に混雑した難民キャンプでの生活を強いられています。(予防接種を受けている割合が少ないため)感染症への免疫力が低い状況の中、劣悪な水と衛生環境も大きな危険をもたらしています。一般に、雨期が始まると、急性水様性下痢症やマラリアといった水を媒介とする疾患に苦しむ人の数が急増します。

こうした感染症の患者数は、デング熱が流行している隣国のケニアでも増加する傾向にあります。

国境地帯で勃発した武力衝突と、それに伴い厳格化された警備体制によって、10月17日から23日までの一週間の間にケニアへ逃れたソマリアからの避難民の数は、その前週の3,400人から100人に大きく減少しました。

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治療を受けるために順番を待つ女性と子どもたち。モガディシュにあるこの施設には、毎週1,000人以上が訪れている。

人道支援活動家2名が拉致されたため、ケニア北部ダダーブにある難民キャンプでの支援活動を除き、全ての人道支援活動が一時停止されましたが、ユニセフは、深刻な栄養不良や病気の子どもたちへの支援と、安全な飲料水の提供、教育や子どもの保護といった活動も続けていきます。

7月20日に飢餓状態が宣言されてから、ユニセフが支援している保健センターで、約11万人の重度の栄養不良の子どもたちが治療を受けました。また、260万人以上に安全な飲料水を提供。150万人以上を対象に衛生面の啓発を行い、支援物資を配給しました。7月からこれまでに、ソマリア南部・中部地域に、空路と陸路、水路を駆使して送られた支援物資の総量は8,700トンにのぼります。

「飢餓状態が宣言されてから、国際社会から非常に大きなご支援が寄せられています。」「しかしながら、この人道危機の大きさは、こうした大きな支援をもってしても、全ての子どもに手を差し伸べるには程遠い状態です。」(アスシ代表)

ユニセフは、本年末までにアフリカの角地域の緊急支援活動に必要な資金として、国際社会に対し、4億2,400万米ドルの支援を求めました。2012年も、アフリカの角地域の子どもとその家族が“食べ続けられる”よう、引き続き大きな規模の資金が必要とされます。

ソマリアだけでも、現在の支援活動を継続しながら、更に、必要としている場所に支援を届けるために、2012年の活動費用として3億米ドルの資金を必要としています。「子どもたちの命を繋ぐ支援物資を届けるための輸送経路を確保するため、できる限り早くこうした資金を確保することが必要です。」(カーン代表)

ソマリア緊急報告会 ユニセフ・ソマリア事務所國井修氏による報告
11月6日夕方 東京大学で開催(入場無料) »