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財団法人日本ユニセフ協会




スーダン・ダルフール緊急支援情報 第9報
スーダン・ダルフールの現状

【2006年3月13日、ユニセフ現地事務所発】

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スーダン・ダルフールの状況は、現在でも世界最悪の、かつ世界でももっとも複雑な緊急事態ですが、その一方で、同地域で活動を続ける国連機関やパートナー団体に寄せられる支援は劇的に減少しています。残念なことに、メディアの関心が徐々に薄れてきた過去2年の間に治安状況はさらに悪化。紛争の影響を受ける人々の数が増えるとともに、コミュニティの人道援助に対する依存度も深まりました。すなわち、いま充分な支援が届かなければ、子どもやその家族に直接的な影響がおよぶことになります。

ダルフール紛争の影響を受けている人々は、2006年始めの時点でおよそ350万人にものぼります。2005年には和平合意が成立する事が期待される中、180万人の国内避難民の帰還が望まれましたが、その願いは時期尚早だったようです。アブジャ会談の進展が遅々として進まないなか、人々は避難民キャンプからますます抜け出せない状況に陥りつつあります。その一方で、農村部のコミュニティや避難民を受け入れている地域では、治安の悪化や資金不足のために基本的な社会サービスの供給が滞ったままです。村を追われ避難民となった人々とわずかな資源を分けあったり、社会的・経済的崩壊のために生計手段を失った人々の数はおよそ170万人にものぼります。

ユニセフは、紛争の影響を受けている180万人の子どもの状況を深く憂慮しています。こうした子どもたちのなかには、繰り返される襲撃のなかで幾度も避難を余儀なくされた子どももいるのです。暴力や病気、栄養不良、絶望的な貧困、そして援助に対する依存の影響により、子どもたちの能力が蝕まれ、貧困の悪循環のなかに子どもたちが陥りつつあります。

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過去2カ月の間に、少なくとも7万人が住む家を追われました。同時に、チャドとの国境沿いで緊張が高まりつつあるなか、チャドとスーダンの双方が兵力を増強し、紛争が国際化の様相を帯びています。こうした状況を受けて、ダルフール西部では一部の地域でセキュリティレベルが引き上げられ、支援団体スタッフの現地へのアクセスもより困難になりました。このため、物資の運搬コストの上昇やプログラムのモニタリング・評価が難しくなっただけでなく、必要な支援が届かない地域も出てきています。

現時点でユニセフは、継続する紛争のために、ダルフール北部の国内避難民10万人と、避難民を受け入れているコミュニティに暮らす7万1,000人に支援を届けることができずにいます。またダルフール西部の状況はさらに深刻です。現在支援の手が届いていない人々の数は18万4,000人。避難民を受け入れているコミュニティでは、およそ20万9,000人にのぼる人々が治安状況の悪化により外部との接触を絶たれています。支援を届けることができる人々も、その手段が空路に限られる人々が多数にのぼります。資金不足によりユニセフをはじめとする援助機関が撤退を余儀なくされれば、こうした人々も孤立状態に置かれる危険性があります。さらに、農村部が必要な援助を受けられる望みもほとんどありません。

緊急に大規模な資源を投入しないかぎり、2004〜2005年にかけて平静が保たれていた危機が再燃し、これまでに積み重ねられてきた進展も後退を余儀なくされてしまうでしょう。資金不足により、ユニセフは現在、支援計画の縮小、および支援プログラムの政府への移管の検討を余儀なくされています。しかし、そのスーダン政府にも十分な財政的資源はなく、運用能力も限られています。ユニセフは現在の手持ち資金で、5月の中旬までは活動を続けることができます。しかし、今後3カ月の間に、8700万ドル(約100億円)が確保できなければ、6月以降、支援活動を大幅に縮小せざるをえず、子どもたちの生活や命に重大な結果をもたらすことになります。

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