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財団法人日本ユニセフ協会




スーダン・ダルフール緊急支援情報 第8報
ダルフールの子どもたちの命を守るため 支援が緊急に必要とされています

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ダルフール西部の州都郊外にある避難キャンプで顔を洗う男の子。ユニセフは手押しポンプの修復や取り付け、水と衛生に関する支援を行っています。

ダルフールでは、世界で最も悲惨な人道危機が広がり続けています。紛争前の人口の約半分にあたるおよそ350万人の人々が紛争の影響を受け、180万人が住む場所を失いました。

2005年1月に、スーダン北部と南部の間で包括的な平和協定が結ばれ、アフリカで最も長く続いた20年間もの内戦に公式に終止符を打ちました。

しかし、「ダルフール危機の政治的な決着はまだ少なくとも数ヵ月後になる」とユニセフスーダン事務所代表のテッド・チャイバンは言います。現在、ユニセフやその他の国連機関、地元パートナー団体は、困難な状況下にある子どもやその家族へ水と衛生、保健、栄養、教育、子どもの保護に焦点を当てた支援活動を行っています。ユニセフはまた、紛争で住む場所を失った人々への緊急支援や住居の提供も行っています。

「200万人近くの子どもたちがユニセフの支援に頼っています。支援によって子どもたちは病気や紛争の脅威から守られ、教育の機会が提供されているのです。ダルフールでの紛争は3年目に入り、もはやトップニュースにはなりません。水や衛生、保健、教育、保護といった支援活動の資金が不足しているという新たな脅威に子どもたちは直面しているのです。」とチャイバンは言います。

ダルフールの現状とユニセフの支援活動

支援活動のおかげで、死亡率が全体的に低下しています。粗死亡率は、2004年には1万分の2だったものが2005年には1万分の0.8にまで低下しました。しかし、支援が不足するにつれて、命を救うために最も必要な分野の活動が縮小され、死亡率がまた上がってしまう恐れがあります。

ユニセフは他の機関やパートナーと協力して活動を行い、栄養不良率は2004年の21.8%から2005年には11.9%まで減りました。しかし、水と衛生に関するサービスや食料と栄養に関するプログラムが少しでも後退すれば、特に前年度に貯蔵した食料が枯渇する季節が近づくにつれて、現在までの進歩を蝕むことにもつながりかねません。

保健、栄養、教育、水と衛生、そして子どもの保護に関する支援活動を地方へ拡大することは、主に治安の悪さから困難となっていました。しかし現在は資金不足によって、避難民や紛争の影響を受けている住民に対する公平なサービスの提供が難しくなっています。そのため、国際支援をよりしっかりと受けられる地域へ人々が移動し、避難民キャンプへ人々が集まるという状況が加速しかねません。

水:ユニセフは、関連機関やパートナーとの協力の下、1,301の給水所を改修・整備するとともに770の給水所を新たに設置し、被災者の70%にあたる230万人が水へのアクセスを確保できるよう支援しました。給水所の維持と拡大には多くの資金が必要となります。政府によるサービスを確実にしないまま水と衛生に関する支援を縮小させてしまうと、水に関連する病気の増加につながる可能性があります。

予防接種:現在ユニセフが支援する保健センターの80%が予防接種サービスを提供しており、1歳未満の子どもの61%がジフテリア・百日咳・破傷風の3種混合ワクチンの予防接種を受けました。支援が不足すれば、伝染病の増加につながる可能性があります。

栄養:2005年、ユニセフはパートナーと共に54の栄養補助療法センターと100の補助栄養センターを支援して、重度の栄養不良の子ども20,571人と、中度の栄養不良の子ども65,752人を支援しました。支援が不足すれば、一度栄養不良となった子どもが回復できなくなる可能性があり、子どもの死亡率を上昇させることになります。

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ユニセフが支援しているダルフール西部の避難キャンプの学校で小学校3年生の子どもたちが教育を受けている。

教育:ダルフールでは今かつてない数の子どもが学校へ通っています。2005年末までに、382,794人の子ども(そのうち46%が女子)が就学しました。支援が不足すれば、学習環境が悪化し、教師が不足し、就学率の低下につながるだけでなく、結果的にダルフールのコミュニティと個人の能力を低下させることになります。

子どもの保護:172,385人の避難民と子どもたちがユニセフの「子どもに優しい空間」作りや心のケアの活動による支援を受けました。このような支援がなければ、子どもたちは安全で安心できる場所を失い、心の安定を取り戻すための地域的な取り組みも無くなってしまいます。更に、子どもの保護を主張し確実にしていくには、この鍵となる人権の分野に外国人スタッフを配置することが欠かせません。

今後の支援計画

ダルフールでの支援要請額である9,170万米ドルに対して、ユニセフは現在246万米ドル(3%)しか確保していません。現在確保できている支援によって、5月の中旬までは基本的なサービスの提供を継続できると思われます。

しかしその後は、ユニセフは通常のプログラムの実施ができなくなります。もし5月までに支援要請額が集まらなければ、活動を縮小しなければならず、ダルフールでの不可欠な人々の生命を救う極めて重要な支援を削減せざるをえません。そうなれば、ユニセフの主要なパートナーの活動にも影響を与えることは必至で、これまでの大きな成果が徐々に損なわれ、ダルフールの子どもたちの健康と生存にも悪影響を与えます。

多くのNGOが資金不足に加えて治安の悪化にも直面しており、ユニセフの多くの重要なパートナーが撤退や規模を縮小しています。NGOが撤退するにつれて、水と衛生、栄養、教育、子どもの保護の分野でユニセフは更なる役割を担う必要があり、より多くの支援が必要とされます。

2006年3月 緊急に必要とされている優先事項
優先分野 プロジェクト 対象者・範囲 必要額 (米ドル)
水と衛生給水システムの維持
トイレの整備・キャンプの清掃等による衛生の確保
給水システムの維持→180万人
公衆・家庭のトイレの整備→137000人
4,000,000
栄養栄養不良の子どもに必要な治療とケアを提供重度の栄養不良の子ども→3万人
中度の栄養不良の子ども→30万人
61の栄養補助療法センターと115の補助栄養センター
1,000,000
教育教員の研修教員2,175人とその生徒約20万人1,300,000
基礎保健ケア保健センターへの必須医薬品の配布と調達(470の医薬品キットと300の助産キット)200万人の子ども、女性、男性1,700,000
子どもの保護地域に根ざした心のケアの活動「子どもに優しい空間」を通じた15万人の子どもの支援1,300,000
食料以外の物資生存のために不可欠な食料以外の物資のパッケージを国連共通輸送路を通じて配布24万の家庭2,000,000

子どもや女性の人道的状況が悪化しないよう、ユニセフは資金調達を最優先課題としています。それと同時に、生存を確保するためのプログラムへの影響が最小限に抑えられるように、活動の合理化を図っていきます。

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◇ 募金のお願い ◇

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