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財団法人日本ユニセフ協会




 

スマトラ沖地震・津波緊急支援情報

復興のカギ・・・学校が徐々に再開へ
(第16報)

インド洋で発生した津波によって数千の学校が倒壊し、もしくは何らかの打撃を受け、さらに教員も数千人が命を落としましたが、そのような中で被害地域にすむ子どもたちは徐々に学校へと戻り始めました。

最も津波の被害がひどかったインドネシアでは、被害を受けた学校の数が765校から1,151校にのぼると政府は概算しています。スリランカでは51校が全壊しさらに100校が部分的な被害を受けました。モルディブでは44校が被害を受けましたがこれは全学校数のうち大きな割合を占めます。教育への津波の影響が比較的少なかったタイでは、被害を受けた学校は30校未満とされています。

たとえ、教室がテントや仮設の施設であったとしても子ども達たちを学校へ戻すことは復興に向けて必要不可欠なことだとユニセフは考えています。ユニセフのキャロル・ベラミー事務局長は「子どもたちが平常の感覚を取り戻すためには、学校へ戻すことが最も良い方法です」と話します。「学習環境は子どもたちを再び“子ども”に戻してくれるだけではなく、子どもたちがこれまで耐えてきた悪夢から逃れられる子どもに優しい環境を提供します。被災地域で学校が再開されることで子どもたちの親を含むみんなが希望を感じています」

子どもたちを学校に戻しそして学校生活を続けることは、緊急事態においてだけではなくすべての子どもたちのより良い人生を確実なものにするために必要なのです。今回の被害によって、これまで質の高い基礎教育を行おうと前進してきた国々が逆戻りしてしまったとベラミー事務局長は言及しています。子どもたちを一刻も早く学校へ戻すことでこういった前進に対する逆行が最小限に抑えられるだろうと事務局長は話します。

インドやタイでは季節休暇が終わり学校が再開されましたが、スリランカ、モルディブ、インドネシアでは被災地域での学校の再開を1月20日、25日、26日に予定しています。

バンダアチェ近郊では、ユニセフ支援の2つの学校が408人の生徒を迎えてすでに再開しました。現場で活動するユニセフの職員によると、学校の一刻も早い再開を依頼したのは生徒の親たちでした。学校の再開は、人生の再スタートの力強いサインですとユニセフ事務局長は話しています。

アチェ全土に、ユニセフは学習資材を大量に届けています。その中には2,000張の学校用テント、2,000個のスクール・イン・ア・ボックス(50人分の文具や学習資材が入ったセット)、2,000個のレクリエーション用キット(50人分の運動やゲームの道具)が含まれています。提供される資材は、アチェの被災地域に暮らす10万人以上の子どもたちと4,000人の教員を支援するものです。
また、2,000人の教員の採用と研修を実施し、さらに被災した教員の精神的回復を手伝うことでインドネシア政府を支援しています。アチェの関係当局によると、命を落とすかもしくは行方不明になっている教員は合計で1,592人にのぼります。

すでにいくつかの学校が再開したスリランカでは、学校の破壊によって影響を受けた子どもは7万1,928人、教員は2,673人におよびます。さらに240の学校が被災した家族の避難所として使用されています。
1月20日までに被災地域のすべての子どもを学習環境に戻すという目標を達成するため、ユニセフはスリランカ教育省に対して学用品、教科書、教員用資の提供を行っています。すでに4,000人の子どもを対象にしたスクール・イン・ア・ボックス500セットを届け、また追加的に3,200セットが近いうちにコロンボに到着し、配布される予定です。また、破壊された校舎の瓦礫の撤去を手伝ってもらったり、制服や出生届がない子どもでも学校が受け入れるということを保護者に周知するため、ユニセフはコミュニティで数百名のボランティアに協力を求めました。

被災地域の一つを除いてすべての地域で学校が再開したインドでは、子どもたちの出席率が30%と低いものです。出席率の低さは、津波によって犠牲になったり負傷したりした子どもが多数いることが原因です。また、被災した親たちはまだ子どもを学校へ通わせる余裕がないということも出席率が低い原因になっているとベラミー事務局長は話します。
「このような状況にいる子どもの親は、学校が安全な場所であるというだけではなく、学校へ通うことで子どもがさらに強い精神力をもつことができるという確証を必要としています。我々は、積極的に子どもを学校へ戻す環境作りに重点を置いていきます」

国、地方双方が強力で敏速な救援活動を主導しているインドでは、ユニセフは補佐的な役割を果たしています。主に学用品や運動用具の配布、図書館の再建、子ども向けの遊戯活動の組織、疲労のサインを見つけ基礎的なカウンセリングを実施するための教員の研修を支援しています。

大半の学校が1月4日に再開したタイでは、ユニセフは被災地域の子どもに調理器具、学用品、教科書、制服、校庭、運動用品を提供しそして仮設校舎の再建を支援しています。

モルディブでは、1月25日の学校再開を目指して、73の仮設校舎の再建を支援しています。また、校舎内部の清掃や衛生施設の確保という面でも政府を支援しています。その他、150セットのスクール・イン・ア・ボックス、レクリエーション用キット、数百個のクレヨン、粘土、お絵かき帳、ブロック、パズル、人形、おもちゃの車やボールを配布しました。

津波の被害を受けたすべての国で、学校が子どもだけでなく親たちをも救うものとなるようユニセフは活動しているとベラミー事務局長は話します。
「学校が、食糧、制服、教科書、心理的なケアといった子どものニーズをより多く提供すればするほど、家族の背負っている重荷を軽くしそして個々の生活に集中できるようになるのです。学校はコミュニティの中心にあります。そのため人々を元気づけるような活動は長期的な復興にむけてとても良い影響を与えます。活気のある校庭は、傷を負った多くの人たちにとって最善の治療薬です」

 

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◇ 募金のお願い ◇

 (財)日本ユニセフ協会では、被災地域におけるユニセフ活動を支援するための募金を、下記の方法で受け付けています(当協会への募金は寄付金控除の対象となります)。皆様のご協力をお願い致します。