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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第22報
紛争地の子どもたちに命を守るワクチンを届けるために

【2012年12月7日 ダマスカス発】

© UNICEF/Syria2012/Bassel Halabi
保健センターで予防接種を受けるシリアの子ども。

内戦が続くシリアで、ユニセフは、幼い子どもを対象に、はしかとポリオの緊急予防接種キャンペーンを展開しています。これらの病気は、急速に流行し、時には命を左右することもあります。

140万人の子どもたち一人ひとりに必要なワクチンを届けることは、容易なことではありません。シリア各地で戦闘が起こる中、主要道路は遮断され、予防接種を行うための資材を届けることは、危険なだけでなく、困難を極めています。

「この予防接種キャンペーンを行うにあたり、シリア全国にいるキャンペーンの運営スタッフに支援物資を届けるため、ダマスカスで支援物資を集め、何度も回り道をせざるをえない中、各地へ物資を届けることは、ドライバーの方々にとって大変な作業だったと思います」「しかしながら、彼らの意志の強さと勇気のおかげで、全ての地方当局に必要な物資が届けられました」。ユニセフ・シリア事務所のイマン・バーナシ 子どもの保護・開発担当官はこのように語りました。

シリアの14県のうち11県から収集したデータによると、キャンペーンが開始された11月26日から、63万人以上の5歳未満の子どもたちが経口ポリオワクチンを投与され、51万人以上の1歳から5歳までの子どもたちが、はしかの予防接種を受けました。

また、1歳以上の子どもは、急性呼吸器感染症や下痢性疾患、その他の感染症を大幅に防ぐ働きのあるビタミンA補給剤も投与されています。

「実際に予防接種を受けた子どもの数は、もっと多いと思います。政情不安のために、人数を把握するのが困難な地域があるのです」ユニセフ・シリア事務所のアブデル・ジェリル代表はこのように語りました。

© UNICEF/Syria2012/Bassel Halabi
ダマスカスにある保健センターで予防接種を受けるため、順番を待つ生後1ヵ月半の女の子。

「本キャンペーンが機能していることは明らかです。ホムスをはじめとする全国の予防接種センターで、幼い子どもたちを連れたお母さん、お父さん方が長い列を作っていると報告を受けています」

予防接種は、約1,200箇所の保健センターで実施されている一方、100以上の移動予防接種チームがシリア全域の一時避難所に避難している子どもたちを訪れ、予防接種を実施。移動予防接種チームによる活動は、本キャンペーンの柱の一つとなっています。テレビや携帯電話のショートメール(SMS)を利用した啓発活動、また保健教育活動は、親が子どもに予防接種を受けさせる意識を高める助けとなっています。

ユニセフは、本キャンペーンのために、150万人分のはしかの予防接種ワクチンを支援したほか、注射器、使用後の針などを保存する安全ボックス、予防接種カード、登録用シート、広報用資材なども提供しました。

シリア国内の状況の悪化から、12月3日、国連は、一部を除く外国人スタッフを避難させると発表しましたが、このユニセフの支援活動は、その後も続けられています。

ユニセフは、世界保健機関(WHO)、保健省、NGO組織と共に、12月10日のキャンペーン終了期間までに、最大限に予防接種率を高めるべく、全力を尽くしています。

ユニセフは、最近の危機が勃発した後も、数十万人もの子どもたちのために、緊急救急必需品の提供や水と衛生、教育、子どもの保護といったプログラムの活動を継続して行っています。

2012年4月、ユニセフは、世界予防接種週間の一環として、シリアの28万4,000人以上の子どもたちの定期予防接種を支援しました。