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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第47報
難民キャンプとキャンプ周辺で予防接種キャンペーンを展開

【2013年5月22日 イラク発】

© UNICEF/Iraq 2012/Salam Abdulmunem
イラク北部のドミズ難民キャンプで避難生活を送る子ども。国連高等弁務官事務所(UNHCR)によると、イラクでは、15万人以上が難民登録を受け、その約半数は18歳未満の子どもである。

ユニセフの予防接種キャンペーンが展開された、シリア難民が避難するイラクのドミズ難民キャンプを訪れた、ユニセフ北アフリカ中東地域事務所のマヘンドラ・シェス保健支援専門官の報告です。

シリアとの国境から約60キロ離れた場所に位置し、深い山々に囲まれたドミズ難民キャンプは、当初、収容人数2万2,000人の規模を想定して設置されました。しかし、現在この難民キャンプでは、約4万人が避難生活を送っています。

私は、ここに住む数百世帯の方々の生活状況をこの目で確認し、ユニセフが、そうした状況の改善のために、今後実施すべき支援の内容を検討するためこのキャンプを訪問しました。

キャンプの水と衛生設備(トイレ)は、現在、十分というには程遠い状況で、このキャンプが感染症の温床となる危険が高まっています。

こうした中、ユニセフは、はしかなどの感染症の流行を防ぐため、ドミズ難民キャンプを含むこの地域一帯で、予防接種キャンペーンを拡大展開しています。私がドミズ゙難民キャンプを訪れた時には、丁度、生後半年から30歳までの1万9300人が、はしかの予防接種を受けていました。

収束の目途が立たないシリア危機。今後、さらに多くのシリア国民が、周辺国への避難を余儀なくされるものと見られています。シリア国内の保健・医療サービスが機能していないために、難民の多くは予防接種を受けていない状況です。感染のリスクは、難民キャンプに暮らす特に子どもたちだけでなく、難民を受け入れている地域の人々の間でも高まっています。こうした状況にあるイラクでは、ユニセフがパートナー団体と協力して展開している予防接種キャンペーンは、命に関わる疾患から子どもたちの命を守るためになくてはならないものなのです。

そもそも、(シリア危機以前から)イラク国内の基礎的な保健・医療サービスの質の問題は、長年、この地域の国々の中で最も懸念されていました。イラクの新生児死亡率は危険なレベルにあり、予防接種普及率は、世界でも最も低い国の一つです。さらに、イラク国内でも、同国内の政情不安から、120万人のイラク人々が住み慣れた場所を追われているなど、状況の悪化に拍車をかけています。

15万人以上のシリア難民が、イラクの国境沿いの難民キャンプやコミュニティで避難生活を強いられています。ユニセフをはじめとする人道支援団体による支援が、これまで以上に求められています。ここで紹介したユニセフの予防接種キャンペーンは、そうした支援の一例です。

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