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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第52報
シリア危機 気温の上昇・衛生環境の悪化による感染症拡大のリスク増加

【2013年6月25日 ヨルダン発】

© UNICEF/UKLA2012-00968/KARIN SCHERMBRUCKER
イラクのドミズ難民キャンプで水を汲んでいる女の子

シリア内戦下にある約400万人の子どもにとって、最新の脅威は、夏に向けた気温の上昇と人口過密の生活空間、衛生環境の悪化であると、ユニセフは指摘します。

ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所のマリア・カリビス代表は「清潔で安全な水や衛生設備(以下、トイレと記載)が十分になければ、シリアや周辺国にいるシリアの子どもたちが、下痢やほかの病気にかかる割合は、間違いなく上がります」と述べました。

■生活と健康に欠かせない水と衛生の不足

シリア国内で清潔で安全な水が使える割合は、内戦前と比べ3分の1まで低下しました。現在、425万人以上ものシリア人が、シェルターに身を寄せて暮らしており、トイレやシャワーを十分に使えません。下水道システムは破壊されるか、使用する人が増えてひっ迫しています。

難民キャンプも厳しい状況です。イラクのドミズ難民キャンプには、収容人数2万5千人の倍の5万人が暮らしており、環境はより厳しいものになっています。ヨルダンのザータリ難民キャンプは、今や世界で2番目に大きな難民キャンプとなり、12万人が避難。支援機関は、難民とニーズの増加に対応すべく、支援活動を行っています。

シリア国内での水とトイレの県別利用状況(2013年2月時点)色が濃い県ほど利用が厳しい状況にある

レバノンには、50万人以上のシリア難民がレバノンの町や村で避難生活を送っています。また、シリア人が独自に立てたテント型住居もあり、既存の給水設備やトイレに深刻な影響を与えています。複数の世帯がアパートなどの小さな家で共同生活を送っている、または、簡易なテントに住んでいるといった場合は、水やトイレ、ごみ収集といったサービスがさらに利用しにくくなっています。女性と子どもたちは、長時間歩いての水汲みをしなければなりませんが、こうして手に入る水も、多くの場合、安全なものとはいえません。

■支援活動の一方で深刻化する資金難

内戦の激化に伴い、人の移動は増える一方です。ユニセフは、水と衛生分野で継続して支援活動を実施しており、今年に入ってからすでに約900万人を支援しています。

シリア国内では、新たな発電機や既存のシステムの復旧により、紛争が激しい地域においても、給水網と浄水設備が稼働しています。

ヨルダンでは、ユニセフとパートナーが、毎日400万リットル以上の水をザータリ難民キャンプにトラックで運搬。キャンプ近郊の給水設備やネットワークの修繕も行っています。今後数週間で新たに完成するアズラク難民キャンプでも、給水設備の設置準備が進められています。

レバノンでは、ユニセフとパートナーが、水と衛生分野を主導的に支援しています。今年に入ってから、シャンプーやせっけん、洗剤などが入った衛生キットを今年だけですでに約1万セット配布しており、43万人以上に支援を届けました。

ヨルダン・ザータリ難民キャンプで難民自身による衛生習慣普及活動の様子

支援活動は、深刻な資金難に直面しています。「水と衛生分野での支援において、最もコストがかかるのがオペレーションです。しかし、最も財政的支援がつきにくいのです」と、カルヴィス代表は支援の必要性を訴えます。

ユニセフは、シリア、レバノン、ヨルダン、イラクの水と衛生分野における2013年末までの必要資金として、2億米ドル(約196億円※)の支援を求めています。しかし、現時点で、1億2400万米ドル(約121億5,200万円※)が不足しています。
※1米ドル=98円で換算

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