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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第58報
難民となった子どもたち、100万人を超える

【2013年8月23日 ジュネーブ/ニューヨーク発】

3年目に入って久しいシリア危機。故郷を追われ難民となったシリアの子どもたちの数が、100万人を超えてしまいました。

ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、次のように語っています。「難民になってしまった100万人もの子どもたち。これは、単なる数字ではありません。その一人ひとりが、この世に生きている子どもたちなのです。それぞれの子どもたちが、家を失い、中には家族とも引き裂かれ、私たちが、まだその片鱗しか知らない恐ろしい出来事に直面しているのです」「私たちは、このような恥ずべき状況を生んだ責任を負わなければいけません。国際社会は、紛争に巻き込まれた人々の苦難を取り除くための支援をしてきました。しかし、子どもたちへの責務は果たせていないのです。一旦立ち止まり、良心を顧みて、自らに問わなければなりません。私たちは、シリアの子どもたちが絶望的な状況に追い込まれることを、いつまで放置し続けるのかということを」

© UNICEF/NYHQ2013-0490/LUCY LYON
ヨルダンの首都アンマンに住む親戚の元に身を寄せる女の子。家族や親戚と一緒に避難してきたが、アンマンに無事にたどりつけたのは彼女と従兄弟、そして叔母だけだった。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアントニオ・グテーレス高等弁務官も、次のように述べています。「危機に晒されているのは、(シリアの)丸ごと一世代の純真無垢な子どもたちの命と生活にほかなりません」「シリアの若者たちは、家や家族、そして未来を失っています。安全を求めて国境を越えても、トラウマに苦しめられ、心に傷を負い、未来を信じる理由を捜しています」

小さな子が中心

ユニセフとUNHCRによれば、シリア内戦を逃れた難民の半数は子どもで占められています。多くはレバノンやヨルダン、トルコ、イラク、エジプトに逃れ、北アフリカやヨーロッパに避難する人も増えています。最新の統計では、シリアの子どもの難民のうち、76万8,000人は、11歳にも満たない幼い子どもたちです。

さらに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、シリア国内で紛争に巻き込まれて殺された子どもの数は約7,000人にのぼり、ユニセフとUNHCRは、シリア国内で家を失った子どもたちは200万人を超えると推定しています。

多くの子どもたちが味わった環境の劇的な変化や恐怖、ストレス、トラウマは、シリア危機のほんの一部に過ぎません。

© UNICEF/NYHQ2013-0494/JOHN WREFORD
トルコとの国境付近のアトマに設置された国内避難民を収容するキャンプで、テントの隙間からこちらの様子を伺う女の子。シリア国内で住む家を失った子どもたちも、200万人を超えたと報告されている。

ユニセフとUNHCRは、難民となった子どもたちは、児童労働や早婚、性的搾取、人身売買などの脅威にも晒されていると警鐘を鳴らしています。ヨルダンやレバノン、イラクに逃れてきた子どもたちのうち3,500人以上は、最初から子ども単独で、または途中で家族とはぐれてしまったまま、国境を越えて避難しているのです。

ユニセフとUNHCRは、史上最大規模となった人道支援活動を通じて、紛争に巻き込まれてしまった子どもたちやその家族を含む何百万人もの人々を支えています。

例えば、ユニセフは今年、パートナー団体と協力して、難民キャンプとシリア周辺国のコミュニティに身を寄せている子どもたち130万人に、はしかの予防接種を実施。約16万7,000人の難民の子どもたちに、心のケア支援を提供し、公立学校内外で、11万8,000人以上に教育の機会を提供。また、22万2,000人以上に、安全な水を供給しています。

UNHCRは、これまでに100万人の子どもを難民として登録し、身分証明を発行。避難中に生まれた赤ちゃんが無国籍とならないよう、出生証明が発行されるよう必要な支援もしています。また、難民となったばかりの人々や子どもたちが、少なくとも露天での生活をせずに済むように、安全なシェルターを提供しています。

国際社会の責務

しかし、課題は山積していると、ふたつの国連機関は訴えます。(国連諸機関などがまとめた)『シリア地域難民対応計画(Syria Regional Refugee Response plan)』は、今年12月末までの難民支援活動を展開するために喫緊に必要な資金として、総額30億米ドルの支援を要請していますが、国際社会から寄せられた金額は、これまでに、全体の38%に過ぎません。

国連は、シリア危機全体に対応するための資金として、50億米ドル以上の支援を要請しています。これは、シリアから逃れた子どもたちやそうした子どもたちを受け入れている(貧しい)地域の子どもたちの教育や保健などの支援を実施するための費用も含まれています。様々な危機に晒されている難民の子どもたちを発見し、そうした子どもたちや、子どもたちが身を寄せているコミュニティを支援するために、より多くの資金が必要です。

© UNICEF/UKLA2012-00873/KARIN SCHERMBRUCKER
イラクのドミズ難民キャンプの子どもたち。スペースが限られた難民キャンプでは、ゴミが散乱している路地が子どもたちの遊び場。下痢などの感染症にかかる子どもたちも少なくない。

多くの資金は、しかし、子どもたちが必要としているものの一部に過ぎません。

政治的解決への一層の努力が必要です。また、同時に、紛争に関わるあらゆる勢力は、市民を標的にした行為や子どもを徴兵する行為をやめなければいけません。子どもたちや彼らの家族が、安全に国外に逃れられるようにする必要があります。そして、彼らが安全を求めてシリア国外に出られるよう、国境は開け放たれたままでなくてはなりません。

ユニセフとUNHCRは、国際法の下でこれらの義務を課せられた者がその責務を果たさなかった場合、彼らは、その行為の結果に対する責任を負わなければならないと訴えます。

みなさまのあたたかいご支援を、よろしくお願いいたします。

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