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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第72報
ユニセフが支援する学校クラブ
約29万人の紛争に巻き込まれた子どもに教育を提供

【2013年11月21日 シリア・ダマスカス/ ヨルダン・アンマン発】

© UNICEF Syria Arab Republic/2013/Youngmeyer
タルトゥースにあるこの学校クラブを含め、シリア全土に設置された学校クラブでは、国内避難している子どもたちが、紛争によって失った学習の機会を取り戻しています。

紛争下のシリアにおける支援活動は極めて困難ですが、ユニセフがシリアで支援をする学校クラブで、補習授業やレクリエーションに参加する子どもは、約29万人に達しました。

シリア紛争は学校の建物に深刻な損害を与え、国内全土で、子どもたちの教育の機会を制限しています。4,000校以上の学校、つまり5校に1校が、被害を受けるか破壊されており、そうでなくても避難所として使われています。

多くの子どもたちが1〜2年もの間、学校に通うことができないでいます。学校に戻れる、あるいは、他の手段で教育を受けられる可能性がほとんどないことから、退学する子どももいます。シリアでは、学校に通えていない、あるいは退学のリスクにある子どもたちが、およそ230万人います。

参加する機会

© UNICEF Syria Arab Republic/2013/Youngmeyer
ユニセフが支援するタルトゥースの学校クラブで、新しい学用品をうけとった女の子。

教育に対する緊急なニーズにこたえるため、ユニセフは、教育省や他のパートナーとともに、何百もの学校クラブを運営しています。学校クラブでは、5歳から18歳の子どもたちが、認定された教師やカウンセラーの保護のもと、補習授業へ参加したり、スポーツや音楽などのレクリエーション活動を通じて心のケアを受けることができます。

学校クラブは、様々な場所で運営されています。学校の構内や、NGOが運営するセンター、あるいは、避難民が身を寄せる避難所であったりもします。

「学校クラブは、子どもたちの学習能力を向上させ、退学を防ぎ、あるいは再び学校に戻れるよう支援することをめざしています」とユニセフ・シリア事務所の園田教育専門官は話します。

ユニセフは教育省や教育セクターのパートナーとともに、830以上の学校クラブを設置しました。これによって、シリア国内の14行政区のうち11行政区の28万7,000人の子どもたちが、補習授業を受けたり、レクリエーション活動に参加したりしています。この数は、2013年のシリア人道支援計画で設定した、26万人の子どもたちへの教育支援という目標も上回っています。

教育がもたらす将来

© UNICEF Syria Arab Republic/2013/Youngmeyer
教師やカウンセラーたちは、補習授業だけでなく、音楽などのレクリエーション活動を通して子どもたちの心のケアを支援しています。

「ここで多くの友達ができてとてもうれしいです」と話すのは、ホムスから避難してきたアマル(10歳)。タルトゥースでユニセフが支援する学校クラブに6か月以上通っています。アマルが、受け入れ先のコミュニティーに家族と一緒に身を寄せ、他の家族と1つの家をシェアし始めてから、もう2年以上たちます。

「アラビア語が一番好き」と話すアマルは、学校クラブで、絵をかいたり、歌を歌ったり、スポーツにも参加しています。

昨年からアマルと同じ学校クラブに参加しているもう一人の子どもが、アレッポから避難してきた9歳のサミです。

「学校クラブが楽しいです。数学とアラビア語が好きです。なぜなら、将来に役立つからです」とサミは言います。家族と一緒に避難しているサミは、工場の建物にある避難所で、他の8家族と一緒に暮らしています。

また、ユニセフは最近、アドボカシー活動にも成功しました。ユニセフが教育省に、夏季休暇の間も学校を開校するように申し入れたことで、9行政区にある122の学校が、7月から8月にかけて開校されました。これにより、子どもたちは国が定めるカリキュラムにそって、4つの主要教科であるアラビア語、数学、科学、英語の補習授業を受けることができました。

シリアの子どもたちにとって必要不可欠な教育支援には、クウェートからの財政支援が使われています。ホムス郊外など、支援が届きにくい、紛争で大きな被害を受けている地域でも、その支援は実施されています。

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