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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第74報
シリアの子どもたちに厳寒の備えを

【2013年12月3日 ジュネーブ/アンマン発】

© UNICEF Jordan/2013/Noorani
ヨルダンの難民キャンプに身を寄せる姉妹。9歳のアヤちゃんが2歳の妹にユニセフが支援した防寒着を着せてあげています。

厳しい寒さが、シリア危機に巻き込まれている約550万人の子どもたちに迫ってきています。シリアと周辺地域には、今年初め、過去10年で最も寒い冬が訪れました。ユニセフは、冬の厳しい寒さとじめじめとした生活環境が、シリア難民の子どもたちの健康状態へ悪影響を及ぼすことを懸念しています。

悪化する状況

迫りくる冬に備え、過去最大規模の人道支援が求められています。昨年12月時点では、シリア危機に巻き込まれた子どもたちはシリア国内でおよそ115万人、周辺国に逃れ難民となった子どもたちは23万2,000人でした。紛争発生後3年目の現在、紛争下にある子どもたちはシリア国内で430万人、国外へ逃れ難民となった子どもたちは120万人と激増しています。

© UNICEF/Jordan-2013/Noorani
ヨルダンのザータリ難民キャンプに支援物資の冬の衣類キットを届けるユニセフ職員。

ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所のマリア・カリビス代表は、「何百万人ものシリアの子どもたちは、不十分な生活環境のなかで、”安全”を求めなければならない状況に置かれています。凍るような寒さの中で雨が降れば、特に5歳未満の子どもたちは、人が密集している場所で移りやすい呼吸器感染症のような病気に感染しやすくなります」 と話します。

シリア難民のうち、5歳未満の子どもたち43万6,000人は、レバノン、ヨルダン、イラク、トルコ、北アフリカの難民キャンプやテント式住居、受け入れ先のコミュニティで暮らしています。「ユニセフは、パートナーと協力し、緊急物資をシリアと周辺国に輸送しています。これらの物資は、子どもたちが、あたたかく、じめじめとしていない環境で生活し、健康を保つために役立てられます」 (カリビス代表)

レバノンに避難している40万人のシリア難民の子どもたちが直面する状況は特に不安定です。現在、何千もの家族が、洪水の起こりやすい地域に立てたテント式住居の避難所で生活をしています。雨が降ると住居のテントやトイレが水没し、水に起因する感染症発生のリスクが高まります。

厳寒に備える支援物資を

© UNICEF/Lebanon2013/Salam Abdulunem
レバノンの難民キャンプで、支援物資の防寒着を身にまとう、シリア避難民の子どもたち。

ユニセフ・レバノン事務所は、冬の衣類キット8万8,000箱をレバノン国内全域のテント式住居で暮らす子どもたちに配布しました。一つのキットには、ジャケット、防水加工された靴、手袋、マフラー、ウールの帽子、あたたかい下着が入っています。ユニセフは、排水システムや排泥水処理タンクの整備やテント床面へのコンクリート土台建設も進めています。また、温水を沸かすためのボイラーなどの支援物資も、難民キャンプ内に設置されてきています。

シリア国内では、200万人の子どもたちを対象に、冬用の緊急物資一式(子ども服や毛布、防水シート、衛生キット)を届ける予定です。 ヨルダンでは、ユニセフが5歳未満児の子どもを対象に3万5,000の冬服一式セットを提供し、また毛布2万4,000枚を配布します。

イラクやトルコのシリア難民キャンプでは、教室や「子どもにやさしい空間」の設置用に冬用のテント370張と暖房用の燃料を提供し、子どもたちが学校に通い続けられるように支援しています。

ユニセフは、厳冬に備えるための緊急支援活動への資金の提供を呼びかけています。現在、必要支援額に対し、1300万米ドル(約13億3,900万円/1米ドル=103円で換算)が不足しています。

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