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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金第84報
シリア難民の子どもたち、サッカーがトラウマを克服する手助けに

【2014年1月 トルコ・イスラーヒエ】

© UNICEF/Turkey-2013/Yurtsever
「子どもにやさしい空間」の近くのサッカー場でゴールを決めて喜ぶエクレムくん

ユニセフと首相府防災危機管理庁(AFAD)によって建設されたイスラーヒエ難民キャンプの学校の廊下でチャイムが鳴り響いています。子どもたちはそのチャイムを背に、心を躍らせながら「子どもにやさしい空間」の近くにあるサッカー場に向かいます。ユニセフのシアンブルーの鞄をゴールポストやネットの近くに置き、チームのメンバー決めが行われています。そして時間が惜しいとばかりに、すぐにゲームを開始しました。

気候の厳しい1月ですが、太陽の光や運動で温まった子どもたちに、冬の寒さは関係ないようです。太陽は空高く上り、子どもたちの影がグラウンドにはっきりと映し出されます。

試合の後は、友達とのおしゃべりの時間です。エクレム・アクズくんは10歳、5年生です。お父さんはこの学校の副校長、お母さんは先生として働いています。サッカーであがった息を切らせながら、「毎日放課後に友達とサッカーをするんだよ」とエクレムくんは話します。

ゴールキーパーでもストライカーでもあるエクレムくん。お気に入りのサッカー選手を尋ねると、迷うことなく、「メッシ!」と答えました。世界で最も優れた選手だと多くの人から称えられているリオネル・メッシ選手。ユニセフの親善大使としても活躍しているメッシ選手は、エクレムくんの大のお気に入りの選手です。しかし、エクレムくんの将来の夢は、サッカー選手ではなくお医者さんです。

様々に使われる「鉄のフェンス」

© UNICEF/Turrkey-2013/Yurtseve
ゴールキーパーをつとめる男の子

ここでは子どもたちがサッカーをして遊ぶ姿が見られます。しかし、サッカー場の周りは、鉄のフェンスで囲まれています。このフェンスは安全面を考慮し、保護のために設置されています。しかし時には、母親にとっては洗濯物を乾かす場所、子どもにとってはゴールポストに変わります。子どもたちにとって遊ぶ場所や時間は大きな問題ではないのです。大切なのは、一緒に遊ぶ友達と、追いかけるボールがあることです。

サッカーは、世界中の子どもたちと同じように、トルコの難民キャンプに身を寄せるシリアの子どもたちの心を捉えてやみません。しかし、ここに身を寄せる子どもたちにとっては、それ以上の意味を持ちます。サッカーが、紛争のトラウマを乗り越える手助けになるのです。

難民キャンプで授業を受けている子どもたちは、放課後のゲームを心待ちにしています。