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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第99報
シリア危機3年 報告書発表
支援を必要とする子どもは550万人

【2014年3月11日 アンマン(ヨルダン)/ジュネーブ/ニューヨーク発】

報告書『包囲されて―3年に及ぶシリア紛争による子どもたちへの壊滅的な影響(原題:Under Siege – the devastating impact on children of three years of conflict in Syria)』(原文:英語)
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シリア紛争が始まった3月15日を前に、ユニセフは本日、報告書『包囲されて―3年に及ぶシリア紛争による子どもたちへの壊滅的な影響(原題:Under Siege – the devastating impact on children of three years of conflict in Syria)』を発表。

1年前と比べ、紛争下で支援を必要とする子どもがこの1年で倍以上となる550万人になったと報告しています。特にシリア国内で紛争が激しい地域では、100万人もの子どもが包囲によって身動きが取れず、戦闘が続いているために、人道支援を届けるのが極めて困難になっています。

報告書は、550万人もの子どもたちに広範囲にわたって及んでいる影響に着眼し、直ちに紛争を停止し、子どもたちへの支援を増強することを求めています。

■心のケアを必要とする子どもは200万人以上

3年に及ぶ紛争で崩壊した子どもたちの生活も報告されており、多くの子どもたちが経験したトラウマについて強調しています。実例として紹介されたのは、家族と共にレバノンへ逃れた4歳の男の子アデン君。自宅が爆撃を受けた際にアデン君は顔に大やけどを負い、今でも心に大きな後遺症を負っています。「アデンは夜中の間、泣いています。あらゆるものに怯え、わずかな時間でもひとりにすると怖がります」という母親の言葉が取り上げられています。

ユニセフは、アデン君のように心のケアと治療を必要とする子どもは、200万人に上るとみています。

ユニセフ事務局長のアンソニー・レークは「シリアの子どもたちにとって、この3年間は人生で最も長い時間でした。またさらに苦痛に満ちた1年を過ごさねばならないのでしょうか」と述べました。

報告書は、シリア国内と周辺国で難民として暮らす子どもたち550万人の将来は、暴力と保健と教育サービスの崩壊、重度の心理的苦痛、家庭への経済的影響の悪化に瀕しており、このままでは子どもたち世代の崩壊を招くと警告しています。

■命を狙われる子ども、家計のために働く子ども、結婚を強いられる少女

また、数カ月にわたり、包囲によって身動きが取れずにいる子どもとその家族についても取り上げています。人道支援は絶たれ、がれきの中で暮らし、必死に食糧を求める環境下で、多くのシリアの子どもたちは子どもとして守られることなく、医療サービスや心のケアもなく、教育を受けることもほぼできません。最悪の場合、子どもや妊婦は、スナイパ−に狙われ、負傷や殺害されているのです。

周辺国に逃れ、難民となったシリアの子どもたちは120万人。難民キャンプや難民であふれる地元社会に身を寄せ、清潔な水や栄養のある食事、教育機会を受けることは極めて難しい状況です。

報告書は、紛争下の3年でシリアの子どもたちは、どの子どもたちよりも早く成長することを強いられていると指摘。ユニセフは、難民の子どもの10人にひとりは家計のために働き、ヨルダンに避難しているシリアの少女の5人にひとりは、若すぎる結婚を強いられていると推定しています。

■求められる取り組み

報告書は、国際社会に向けて次の6つのステップの実行を呼びかけています。

  1. ただちに、シリアでの暴力の連鎖を止めること
  2. 国内で包囲され身動きがとれない子どもたち100万人への即時のアクセスの確保
  3. 子どもたちを搾取や危害から守る場所の設置
  4. 子どもの教育への投資
  5. 心のケアと支援を通じて、子どもの心の回復の支援
  6. シリア周辺国の政府と地域社会において紛争による社会的経済的影響の軽減のための支援を実施

レーク事務局長は「この紛争を終わらせねばなりません。そうすれば、子どもたちは自分の家に戻り、家族や友人と共に、自分の生活や人生を取り戻すことができるのです。壊滅的な3年は、もう終わりにしなければいけないのです」と語りました。

* * *

■数字で見る状況(報告書より抜粋)

破壊された町を歩く親子。シリア、マアラタル・ヌマーンにて。
© UNICEF/NYHQ2013-0698/Diffidenti
破壊されたマアラタル・ヌマーンの町を歩く少女と母親。2013年9月、シリアで撮影。
  • 人道支援を必要とするシリアの子どもたち−550万人(シリアの子どものうち56%)
    (2012年3月 50万人、2013年3月 230万人、2014年3月 550万人)
  • 紛争下にある子ども−国内430万人、国外(難民)120万人
  • 人道支援を必要とする人(子どもを含む)― 国内930万人、国外(難民)250万人
  • 3年間の紛争で亡くなった子ども ―1万人以上
  • 難民として生まれた子ども−3万7,498人
  • 学校に通えていない子ども−およそ300万人(学齢期の子どもの約40%に相当)
  • 包囲またはアクセス困難な地域にいる5歳未満の子ども−32万3,000人
  • 親を伴わずにシリア国境のチェックポイントにたどり着いた子ども−8,000人以上
  • 崩壊またはシェルターとして使用されている学校―4,072校(シリア国内の学校の18%に相当)

■ユニセフの活動(2013年)

学校から帰宅する少年。ヨルダン・ザータリ難民キャンプ。
© UNICEF/NYHQ2013-0672/Noorani
ヨルダン・ザータリ難民キャンプ内の学校を後にする2人の少年。
  • シリア国内
  • 1,000万人に飲料水や家庭用水を提供
  • 29万1,678人の子どもが学習プログラムに登録
  • 230万人の子どもにポリオ予防接種、200万人の子どもにはしか予防接種を実施
  • 49万1,488人の子どもに心のケアを実施
  • レバノン
  • 6万6,303人に飲料水や家庭用水を提供
  • 6万6,679人の子どもが学習プログラムに登録
  • 58万770人の子どもにポリオ予防接種、71万1,012人の子どもにはしか予防接種を実施
  • 29万6,760人の子どもに心のケアを実施
  • ヨルダン
  • 17万2,884人に飲料水や家庭用水を提供
  • 10万8,046人の子どもが学習プログラムに登録
  • 110万人の子どもにポリオ予防接種、400万人の子どもにはしか予防接種を実施
  • 12万8,809人の子どもに心のケアを実施
  • イラク
  • 10万4,259人に飲料水や家庭用水を提供
  • 2万645人の子どもが学習プログラムに登録
  • 510万人の子どもにポリオ予防接種、4万6,637人の子どもにはしか予防接種を実施
  • 1万1,269人の子どもに心のケアを実施

■ 参考情報:日本政府、新たに1920万米ドルの支援を決定、主に教育分野に

3月6日、ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所は、日本政府がユニセフのシリア人道支援活動に対し、シリアと周辺国に1,920万米ドル(19億7,760万円※1米ドル=103円で換算)の支援を行うことを発表。これにより、これまでに日本政府によるシリア人道支援への支援額は、計3,500万米ドルとなります。

今回拠出される資金は、教育分野の支援に多くが割り当てられる予定です。 残りの資金は、シリア国内で保健ケアや子どもの保護に使われるほか、周辺国のレバノン、イラク、ヨルダン、トルコおよびエジプトに避難した推定250万人のシリア人難民の支援に役立てられます。

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