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財団法人日本ユニセフ協会



教師からコーディネーターへ 
〜避難民キャンプで働く、あるコーディネーターの1日〜

【2006年6月6日、ディリ発】

©UNICEF/2006/Gomes
アントニオ・ソラレスさん(左)とユニセフ現地職員 ロドルフ・ペレイラ氏(水と衛生担当)

朝4時に起き、仕事が終わるのは深夜−2,000人もの国内避難民を抱えるキャンプで働くアントニオ・ソアレスさんにとって、毎日がこのくり返しです。コモロ・ハス-ラランのカノッサ学校にあるこの避難民キャンプは元々、混乱が生じる前に、アントニオさんが教師として働いていたところです。

今アントニオさんは、同じ学校内でボランティアのキャンプ・コーディネーターとして働いています。教師をしていたときに生徒たちにとても慕われていたので、彼がキャンプの代表になることに誰も異論はありませんでした。

そのほかのボランティアとともにカノッサに到着したばかりのユニセフ現地職員 ロドルフ・ペレイラ氏(水と衛生担当)は、キャンプ住民にゼリー缶を配る作業に追われています。先週は水と衛生面でのニーズの把握に奔走していましたが、今日はゼリー缶の配布と衛生状況の調査にあたっています。

アントニオさんは、ロドルフが率いるチームとユニセフの支援活動を歓迎しています。これによって、学校内での水の貯蔵とその利用の問題が大いに改善されるはずだからです。「今の水タンクではたった半日分の水しか貯めておくことができず、すぐ使い果たしてしまいます。ゼリー缶があれば、各家庭で水を貯めておくことができ、無駄遣いも減ると思います」

しかし、問題は水だけではありません。アントニオさんもロドルフ氏も、住民がこのままキャンプに残る場合に備えて、トイレの増設が不可欠であることを指摘しています。2,000人近くのおとなと子どもが、1日のほとんどをキャンプで過ごし、身体を洗ったり、洗濯や料理のために水を使っているのです。

ロドルフ氏は、これだけ多くの人数に対応するには、簡易トイレの設置が急務だと感じています。今週中にもユニセフは、学校の裏手にいくつかトイレを設置する予定です。ユニセフはまた、国内避難民キャンプでのごみの収集、汚物タンクや簡易トイレの清掃、排水作業を行なうための専門業者を雇いました。

「少なくとも74世帯の家族は、家が焼け、キャンプで生活しています」カノッサの専門研究所員マドレ・ビオレタさんは述べています。「治安が悪化して、家族は家を失っただけでなく、子どもたちの日常の生活も一変してしまいました。」

UNICEF/2006/Ashok
女の子たちとその家族には帰る家がありません

3人の女の子が隅っこに座って、手際よくカードをさばいて一心不乱に遊んでいます。このような女の子の家族の多くは、何もかも失ってしまい、学校の体育館での生活を強いられています。今でこそすべての家族がシェルターに収容されているものの、将来や今後の生活については漠然とした不安が心に重くのしかかっています。

アントニオさんももちろん、今後どうなるかについては分かりません。彼が望むのは、子どもたちの未来、そしていつまでも続く平和が訪れることです。「子どもたちの暮らしを少しでも楽にしてあげたい」−アントニオさんはつかの間の休息のあと、今日も20時間近くの勤務についています。